仮想通貨ウォレットの種類やメリットを徹底比較
デジタル通貨の登場は、金融のパラダイムシフトを巻き起こしています。その最前線にあるのが仮想通貨(暗号資産)ウォレットです。単なるデジタル資産の保管ツールの枠を超え、ブロックチェーンのエコシステム全体においても重要性が高まっています。ビットコインの草創期から、分散型金融(DeFi)と非代替トークン(NFT)の時代である現在に至るまで、仮想通貨ウォレットは革命的な進化を続けてきました。
この記事では、仮想通貨ウォレットの難解な世界を掘り下げ、ウォレットが単なる保管ツールから多様なニーズを満たす高度なプラットフォームへと進化した道筋をたどります。ウォレット開発の各段階について取り上げ、さまざまな種類のウォレットを分類するとともに、ウォレットの将来についても検討します。また、ウォレットを選ぶ際に考慮すべき重要なポイントを解説し、初心者・中級者・上級者のそれぞれに最適なウォレット選びをお手伝いします。
Bybitアカデミーの「エキスパートと学ぶWeb3」シリーズでは、こうした複雑なトピックをわかりやすく解き明かすとともに、業界のリーダーから本質を突いた視点を得たいと考えています。第2回となる今回は、仮想通貨ウォレットのエキスパートであるCoboのLucas氏、UniPass WalletのBobby W.氏、SafeheronのJag Foo氏の3名をお招きし、複雑な仮想通貨ウォレットの世界を解き明かすために必要な知識と洞察を提供していただきます。
仮想通貨ウォレットの開発サイクル
1.0から3.0への歩み
ウォレットの開発段階 | 時期 | 中心的機能 | 主な特性 |
1.0時代 | 2009~2013年 | 送金、会計 | ビットコインの保管 |
2.0時代 | 2014~2020年 | 送金、受領、スマートコントラクトのやり取り | スマートコントラクトのやり取り、DeFiエコシステムのやり取り |
3.0時代 | 2021年~現在 | マルチチェーン、マルチ資産管理プラットフォーム | ユーザーエクスペリエンスを重視 |
仮想通貨ウォレットはブロックチェーン技術の進化と歩調を合わせて発展し、14年前のビットコイン誕生以来3つの段階を経てきました。初期の仮想通貨ウォレットはビットコインの保管や送金に用いるシンプルなツールでした(1.0時代、2009~2013年)。その後、イーサリアムとスマートコントラクトの登場によりブロックチェーンの世界が拡大する中で、ウォレットは分散型アプリケーション(DApp)や急成長するDeFiエコシステムに対応できる高度なプラットフォームへと進化していきました(2.0時代、2014~2020年)。この期間には仮想通貨取引が急増し、DeFiの流動性マイニングが人気を集め、仮想通貨ウォレットの利用者数は5,000万人を超えました。
現在の段階(3.0時代、2021年~現在)は、大きな飛躍の時代です。今日のウォレットはマルチチェーンのマルチ資産管理プラットフォームであり、ユーザーエクスペリエンスとインタラクティブな機能に重点を置いています。この時代は、NFTやDAOの急速な普及とWeb3アプリケーションの登場に象徴され、仮想通貨ウォレットはデジタル資産の保管や取引に欠かせないものとなっています。
仮想通貨ウォレットの種類
仮想通貨ウォレットは、インターネット接続性やアカウント管理を基準として分類できます。
インターネット接続性による分類では、ウォレットをホットウォレットとコールドウォレットに分類します。コールドウォレットにはハードウェアウォレットとペーパーウォレットがあります。ホットウォレットにはソフトウェアウォレット(外部所有アカウントウォレット)、コントラクトアカウントウォレット(スマートコントラクトウォレット)、マルチパーティ計算(MPC)ウォレット、および利用が拡大しているアカウント抽象化(AA)ウォレットなどがあります。
アカウント管理による分類では、利用者アカウントに対する管理のレベルにより、カストディアルウォレット、セミカストディアルウォレット、ノンカストディアルウォレットに分類します。
基本的に、利用者がウォレットを評価する際は、利便性、使いやすさ、セキュリティを重視します。こうした利用者の要件に応えるため、ウォレットのサブカテゴリーが数多く生まれました。モバイルウォレット、ブロックチェーンエコシステムウォレット、取引所ウォレット、資産カストディウォレット、ハードウェアウォレット、マルチチェーンウォレット、Web3ウォレット、アイデンティティウォレットなどです。
仮想通貨ウォレットの種類 | セキュリティ | 使いやすさ | アクセシビリティ | 適性 |
ソフトウェアウォレット(EOA) | 中 | 高 | 高 | 日常的な取引、初心者・中級者に最適 |
コントラクトアカウントウォレット(スマートコントラクト) | 高 | 中 | 中 | DeFiやスマートコントラクトのやり取りを行う利用者に最適 |
マルチパーティ計算(MPC)ウォレット | 高 | 中 | 中 | 多様な取引を行っており、高度なセキュリティを必要とする利用者に最適 |
アカウント抽象化(AA)ウォレット | 中 | 高 | 高 | 機能を集約したシンプルなユーザーエクスペリエンスを求めている利用者に最適 |
ハードウェアウォレット | 最高 | 中 | 低 | 大口資産の保有者やセキュリティを最優先する利用者に推奨 |
ペーパーウォレット | 最高 | 低 | 低 | 長期保管に適しているが、頻繁な取引には不適 |
カストディアルウォレット | サードパーティごとに異なる | 高 | 高 | 初心者には便利だが、資産に対するコントロールは弱い |
セミカストディアルウォレット | 中 | 高 | 高 | 使いやすさと中程度のユーザーコントロールを両立 |
ノンカストディアルウォレット | 高 | 中 | 中 | 資産を完全に管理したい利用者に最適 |
モバイルウォレット | 中 | 高 | 高 | 外出先での取引や日常利用に最適 |
ブロックチェーンエコシステムウォレット | 高 | 中 | 中 | 特定のブロックチェーンエコシステムに深く関与している利用者に最適 |
取引所ウォレット | 取引所により異なる | 高 | 高 | 特定の取引所で頻繁に取引を行っている利用者には便利 |
資産カストディウォレット | 最高 | 低 | 低 | 機関投資家や大口資産保有者に最適 |
マルチチェーンウォレット | 高 | 中 | 中 | 複数のブロックチェーン上で資産を保有する利用者に最適 |
Web3ウォレット | 高 | 中 | 中 | DAppやDeFiプラットフォームに深く関与している利用者には必須 |
アイデンティティウォレット | 高 | 中 | 中 | Web3や分散型アイデンティティ管理に関与している利用者には重要 |
インターネット接続性による分類
ホットウォレット
ホットウォレットはインターネットに接続されているウォレットで、すばやく取引を行える点が便利です。ホットウォレットには次のような種類があります。
ソフトウェアウォレット(外部所有アカウント、EOA):コンピューターやモバイルデバイス用のアプリケーションで、インターネットに接続できるため頻繁な取引に最適です。
コントラクトアカウントウォレット(スマートコントラクト):スマートコントラクトを用いて取引を管理するウォレットで、高度な機能性とセキュリティを実現します。
マルチパーティ計算(MPC)ウォレット:プライベートキーの管理を複数の関係者に分散することにより、セキュリティを強化したウォレットです。
アカウント抽象化(AA)ウォレット:取引機能とスマートコントラクト機能を統合した新しいタイプのウォレットで、シンプルなユーザーエクスペリエンスが人気を集めています。
コールドウォレット
オフライン保管手段の1つであり、オンラインの脅威に対抗する高度なセキュリティを実現します。コールドウォレットは2種類に大別できます。
ハードウェアウォレット:オフラインでプライベートキーを保管する物理的デバイスで、大口資産の保有者に高度なセキュリティを提供します。
ペーパーウォレット:プライベートキーの生成に必要なすべてのデータを記載した物理的文書です。完全にオフラインであるため、デジタルの脅威から資産を守れます。
利用者のアカウント管理による分類
カストディアルウォレット
サードパーティが管理:取引所や金融サービスプロバイダーなど、別の事業体が保管や管理を行うウォレットです。使いやすいものの、自分ではあまりコントロールできず、カストディアン(保管者)のセキュリティに依存するというデメリットもあります。
セミカストディアルウォレット
利用者が部分的にコントロール可能:カストディアルウォレットとノンカストディアルウォレットの中間的なものです。サードパーティが管理する部分と利用者がコントロールできる部分とを併せ持っています。
ノンカストディアルウォレット
利用者が全面的にコントロール可能:利用者はキーや資金を全面的にコントロール可能です。自己主権型の資産管理が重視されています。
ウォレットのサブカテゴリー:さまざまなニーズに対応
モバイルウォレット:スマートフォン向けに設計されており、外出先での取引が簡単で便利になります。
ブロックチェーンエコシステムウォレット:特定のブロックチェーンエコシステムに統合されているウォレットで、関連するDAppや各種サービスをシームレスに利用できます。
取引所ウォレット:仮想通貨取引所が提供するウォレットで、取引所プラットフォーム内での取引や資産管理が簡単になります。
資産カストディウォレット:大口資産を安全に保管・管理することに重点を置いており、機関投資家がよく利用します。
ハードウェアウォレット:デジタル資産を安全に長期保管することに重点を置いたものです。
マルチチェーンウォレット:複数のブロックチェーン上にある資産の管理が可能で、多様なポートフォリオを保有する利用者に最適です。
Web3ウォレット:DAppや各種サービスを直接利用することが容易なウォレットで、Web3のエコシステムに深く関与している利用者に最適です。
アイデンティティウォレット:分散型アイデンティティや分散型認証情報を管理するウォレットで、新しいWeb3の世界で重要な役割を果たしています。
仮想通貨ウォレットの将来見通し
仮想通貨ウォレットはWeb3の中核ハブとなる資格を十分に備えており、従来の取引プラットフォーム以上に重要なものとなる可能性があります。その将来的な価値が実現する用途は、以下のように複数考えられます。
分散型アイデンティティ(DID)証明
イーサリアム考案者のVitalik Buterin氏は、分散型社会とWeb3思想の探求に関する共著論文で、アプリケーション層におけるWeb3の現在の限界について論じています。Web3の限界は、人間のアイデンティティや社会的関係を表すネイティブコンポーネントがWeb3に欠けていることに由来しています。ウォレットは、その欠点を補う完璧なWeb3コンポーネントとして登場します。スマートコントラクトを利用して、身分証明書、運転免許証、医療記録、住所などの各種個人情報を独自のDIDシステムに統合できる可能性があります。ウォレットは将来、オフチェーンでの本人確認、オンチェーンでのアイデンティティアグリゲーション、オンチェーンでのクレジットスコアリングや行動認証などの機能を提供することも考えられます。
Web3ゲートウェイ
現在、Web3スタックはプロトコル層、インフラ層、ユースケース層、アクセス層という4つのレイヤーで構成されています。しかし、構造的な問題と各レイヤーの複雑性により、これらのレイヤーは統合されていません。ウォレットはこのスタックの最上位に位置しており、さまざまなWeb3アクティビティへのエントリポイントとして機能することにより、Web3スタックを実現します。
たとえば、ウォレットが既存のログインシステムに置き換われば、すべてのウェブサイトでFacebookやGoogleの認証情報なしに新しいアカウントを作成できるようになる可能性があります。また、ウォレットがログイン認証に使用されるようになり、ほとんどのWeb3アプリケーションの主なエントリポイントとなる可能性もあります。
パブリックチェーンのコネクター
Web3アプリケーションの開発は、スマートコントラクトのプラットフォームを基盤として行われています。そうしたプラットフォームには、イーサリアム、ソラナ、アバランチ、コスモスなどがあります。レイヤー0、レイヤー1、レイヤー2のどれであっても、ウォレットは各オンチェーンエコシステムに適合するように開発されており、各エコシステムにおける繁栄とトラフィックの獲得の両方を目指しています。一方、マルチチェーンフレームワークの競争環境では、DeFi商品の流動性とコンポーザビリティが断片化されているため、デジタル資産はすべてのパブリックチェーン内を自由に動き回れません。ウォレットはこれらのパブリックチェーンの橋渡しをするコネクターとなる可能性があります。
メタバースのハードウェアデバイス
今後、ウォレットは進化して小さなチップになり、バーチャル世界とリアル世界をシームレスに融合するようになると期待されています。そうしたコンタクトレンズ状のチップは、スマートフォンのような操作端末と併用され、肉眼での拡張現実(AR)体験を実現する可能性があります。また、年齢、職業、婚姻その他の状態、社会的関係、デジタル資産などの個人情報が、ARにより顔面に直接表示されるようになる可能性もあります。
メタバースでは、各個人の情報が透明でインタラクティブになると考えられます。ユーザーはメタバースにログインしてさまざまな体験をしたり、メタバースで販売されているものを購入したり、ウォレットの相互運用性を十分に活用して豊かな体験を味わったりできるかもしれません。
課題
しかし、ウォレットの今後の発展には課題もあります。
規制の遵守:Web3のサービス側では、実在する人々のデジタル人格が反映されます。グローバルな規制の遵守やWeb3における大量導入を考慮すると、実際の身元情報の検証は避けられないかもしれません。現実世界のアカウントを検証することと、Web3の世界でより多くの権利を享受し、純粋なデジタル人格として活動することは、共存可能です。
プライバシー保護:ウォレットを使ってさまざまな検証を行い、オフチェーンの情報をリンクするようになると、利用者の本人情報をどのように保護するかという問題が生じてきます。この問題に対処することは、技術の導入において重要です。
仮想通貨ウォレット選びの重要ポイント
いろいろな種類の仮想通貨ウォレットについて紹介してきました。次はウォレットの選び方をご説明します。
一般に、仮想通貨ウォレットを選ぶ場合、利用者はデジタル資産を適切かつ安全に管理するために必要な重要ポイントについて検討します。それらのポイントを理解することは、仮想通貨の初心者・上級者のどちらにとっても非常に重要です。
セキュリティ
仮想通貨ウォレットの価値を決める最も重要な要素はセキュリティです。最先端の暗号化方式とセキュリティの高い通信プロトコルを採用しているウォレットを選ぶ必要があります。そうすることで、プライベートキーや取引の詳細といった機密情報を不正アクセスから保護できます。
もう1つの重要な点はプライベートキーの管理です。最もセキュリティの高いウォレットは、プライベートキーが利用者のローカルデバイスに保管されるタイプです。それに対して、リモートサーバーにプライベートキーを保管するウォレットは、ハッキングを受けやすくなります。また、高水準のセキュリティを維持することに真摯に取り組んでいるウォレットは、定期的にソフトウェアをアップデートし、独立したセキュリティ監査を受けています。そのようなウォレットには安心感があります。
ユーザーインターフェースとユーザーエクスペリエンス
仮想通貨ウォレットにとって、使いやすさはセキュリティ機能と並んで重要です。特に、初心者には、直感的で使いやすいインターフェースが欠かせません。操作方法が明確で、取引の実行や残高確認、あるいは各種機能へのアクセスがスムーズに行えることが必要です。上級者には、高度な機能(DeFiプラットフォーム、NFTマケプレ、詳細な取引履歴など)が効率的に使えるインターフェースも必要になります。また、パフォーマンスとスピードも重要です。スムーズに動作して取引をすばやく処理できるウォレットを使えば、ユーザーエクスペリエンスが全体的に向上します。
取扱対象資産
さまざまな資産が利用できることも重要なポイントです。対応している仮想通貨やトークンの種類が豊富なウォレットを使えば、すべてのデジタル資産を一元的に管理できます。この点は、多くの種類の仮想通貨に投資している利用者、あるいは新しいICOやトークンに興味がある利用者にとって特に重要です。それらの資産をウォレット内で簡単に追加・管理できる機能は、多くの利用者にとって貴重です。
費用
現実的な点として、手数料などウォレットの使用に伴う費用についても考慮する必要があります。ウォレットの手数料体系は多種多様なので、各自の取引習慣や頻度に合ったウォレットを選びましょう。取引高が多いほど手数料が安くなるウォレットもあり、頻繁に取引を行っている場合にはメリットがあります。料金体系が透明で、隠れた手数料がないことは重要なポイントです。
バックアップとリカバリー
バックアップとリカバリーの機能はセーフティネットであり、正しく評価する必要があります。シードフレーズなどの信頼できるバックアップ手段を装備しているかどうか、そしてデバイスの紛失時や破損時に新しいデバイスで簡単にウォレットを復元できるかどうかを確認してください。こうした機能は不測の事態から資産を守る保護措置として非常に重要です。
その他の機能
中級者や上級者にとっては、DeFiプラットフォームへの直接アクセスやDApp機能、あるいは他のブロックチェーンサービスとの統合といった機能に大きな価値があります。これらの機能があれば、仮想通貨エコシステム全体に対して、ウォレットのインターフェースから直接深く関与できます。
コミュニティと開発者による支援
最後に、強力な開発チームが積極的に活動しており、コミュニティがその開発チームを支えているようなウォレットは、信頼性と将来性があると考えられます。強力で前向きなコミュニティと、定期的にアップデートをリリースする積極的な開発チームに支えられているウォレットは、信頼できる可能性が高く、将来も有望でしょう。
あなたに最適な仮想通貨ウォレットは?
利用者のタイプ | 適しているウォレットの種類 | 主な特長 | 適している理由 | おすすめのウォレット |
初心者 |
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| 使いやすさを重視し、仮想通貨を簡単に管理したい利用者に最適 |
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中級者 |
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| DeFi、NFT、マルチチェーン資産などに投資対象を広げたい場合に最適 |
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上級者 |
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| 仮想通貨のヘビーユーザーや高度なセキュリティを求める利用者に最適 |
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初心者
初心者は仮想通貨の世界について、難しそうだと感じることが少なくありません。普通の初心者は、デジタル資産の取引や管理の経験がほとんどありません。楽観的な強気相場の時期には取引に参加したくなるものですが、選択肢の多さや専門用語に圧倒されてしまうでしょう。初心者は仮想通貨の世界へのわかりやすい入口を探しています。
初心者の特性
経験が少ない:これまでに仮想通貨ウォレットを使ったことや仮想通貨の取引を行ったことがほとんどない、または一切ない。
簡単さを求める:初心者は高度で難解なプラットフォームにとまどうことがあり、使いやすいインターフェースを好みます。
ガイダンスが必要:一般に初心者は、仮想通貨取引や資産運用を始めるにあたり、多くの学習リソースやガイダンスを必要とします。
初心者に最適なウォレットの特長
直感的なユーザーインターフェース:インターフェースがシンプルですっきりしており、操作も簡単なウォレットが最適です。仮想通貨の売買や安全な保管などの基本的な機能を備えていることが重要です。高度な機能はむしろ初心者から敬遠されます。
学習リソース:アプリ内ガイド、チュートリアル、カスタマーサポートなどが利用できるウォレットは特に有用です。これらのリソースは、仮想通貨の基本、ウォレットのセキュリティ、および取引の手続きを初心者が理解するうえで役立ちます。
簡単に設定可能なセキュリティ:セキュリティはどのような利用者にも重要ですが、初心者には複雑な設定を行わなくても強固なセキュリティ機能が利用できるウォレットが必要です。2段階認証やバックアップオプションのような機能は、設定が容易でなければなりません。
初心者には、以下の選択肢をお勧めします。
ソフトウェアウォレット(EOA):ソフトウェアウォレットは使いやすいインターフェースで、初心者に最適です。仮想通貨の保管や送受信などの基本機能を備えており、機能が難解で利用者が困るようなことはありません。
モバイルウォレット:利便性を追求したウォレットで、日常的な取引に最適です。初心者向けの基本的なセキュリティ機能を備えています。
こうした種類のウォレットはシンプルで使いやすく、仮想通貨管理の入門に最適です。
初心者に最適なウォレットの例
Bybit Wallet:わかりやすいプラットフォームで、仮想通貨の初心者に最適です。Bybitは使いやすさで知られており、初心者でも抵抗なく取引を始められます。Bybit Web3ポータルでは、仮想通貨取引に必要な情報を満載したガイドを豊富にご提供しています。お困りの際は、24時間年中無休・多言語対応のBybitカスタマーサポートにいつでもご相談ください。
Trust Wallet:使いやすいインターフェースと対応仮想通貨の多さで有名で、初心者にとって優れた選択肢です。
初心者は、自分の特性に合ったウォレットを選択することにより、大きな自信と安心感を持って仮想通貨取引を始められ、デジタル資産管理に対する理解を少しずつ高めながら仮想通貨取引になじんでいくことができます。
中級者
仮想通貨の中級者とは、初心者の段階を脱してデジタル資産への取り組みを広げようとしている人々のことです。仮想通貨やウォレットの基本的なしくみを理解しており、DeFiへの参加、ステーキング、NFTといった基本以上の機能を探求しようとしています。
中級者の特性
ある程度の経験がある:中級者は基本的な取引に慣れており、仮想通貨の基礎的な概念を理解しています。
基本以上の機能に関心がある:DeFiプラットフォームとの統合やステーキングへの対応など、単なる保管や取引以上の機能を持つウォレットに関心があります。
使いやすさと高度な機能のバランス:使いやすいインターフェースを重視する一方で、複雑な機能も使いこなせます。
中級者に最適なウォレットの特長
高度な機能:DeFiプラットフォームの統合、ステーキング対応、スマートコントラクトとのインタラクションなどの機能を備えたウォレット。
高度なセキュリティ機能:中級者の場合、ポートフォリオが成長するに従って、充実したセキュリティ機能の必要性も高まります(ハードウェアウォレット対応や高度な暗号化技術など)。
カスタマイズとコントロール:取引手数料のカスタマイズや同一ウォレット内での複数アカウント管理に役立つ機能。
基本的な取引に慣れ、仮想通貨の世界を深く探求する段階に進んだ後は、以下のような選択肢の検討をお勧めします。
マルチカレンシーウォレット:各種の仮想通貨に幅広く対応しているウォレットで、ポートフォリオの分散化が容易です。
Web3ウォレット:Web3ウォレットは分散型ウェブとの直接的なインタラクションを円滑化するため、DAppやDeFiへの関与に興味がある利用者に適しています。
これらのウォレットは、DeFiやNFTプラットフォームへの参加など、多数の機能とさまざまな仮想通貨アクティビティに対応しているため、中級者にとって有益です。
中級者に最適なウォレットの例
Bybit Wallet:DeFi、NFTゲーム、NFTなどの分散型ウェブを探求したい中級者に最適です。Bybit Walletはクロスチェーン互換性とプライベートキー管理の機能を備えており、使いやすさとセキュリティを高度に両立させています。また、エアドロップ管理機能を持ち、DeFi商品にアクセスできるため、仮想通貨活動を広げたい利用者に最適な用途の広い選択肢となっています。
MetaMask:使いやすさと、イーサリアムベースのDeFiプラットフォームやNFTマケプレとの統合により人気を集めています。
Exodus:ユーザーフレンドリーなインターフェースとさまざまな仮想通貨への対応、およびウォレット内ステーキングが可能なことで知られています。
上級者
上級者は仮想通貨の世界におけるベテランです。上級者は各種の仮想通貨に関する幅広い知識を持っており、活発に取引を行っています。また、DeFi、イールドファーミング、流動性マイニングなどブロックチェーン技術のあらゆる側面に頻繁に参加しています。
上級者の特性
経験が豊富:仮想通貨市場のしくみを深く理解しており、リスクの高い投資にも習熟しています。
活発な関与:上級者は頻繁に取引、ステーキング、イールドファーミングなどを行うため、それらの活動を効率的にサポートするウォレットに関心があります。
セキュリティと多機能を優先:上級者が求めているのは、最高レベルのセキュリティを備え、さまざまな仮想通貨とブロックチェーンアプリケーションに対応しているウォレットです。
上級者に最適なウォレットの特長
マルチチェーン対応:さまざまなブロックチェーン上の資産をシームレスに管理する機能。
高レベルのセキュリティ機能:マルチシグネチャー対応、コールドストレージオプション、ハードウェアウォレットとの統合などの機能。
最先端の取引ツール:詳細な分析や取引戦略立案を目的とした、取引プラットフォームやツールとの統合。
難解な仮想通貨の世界に精通しており、専門知識に見合ったウォレットを必要とする上級者には、以下の選択肢をお勧めします。
ハードウェアウォレット:仮想通貨をオフラインで保管するため、最高レベルのセキュリティを実現できるウォレットです。大口資産保有や長期投資に最適です。
高度なソフトウェアウォレット(MPCウォレットやAAウォレットなど):仮想通貨エコシステムのさまざまな側面に深く関わる利用者を対象として、高度なセキュリティ機能などを提供します。
この種類のウォレットは、高度なセキュリティ機能と、複雑で多様な仮想通貨取引を管理する機能を備えているため、上級者に適しています。
上級者に最適なウォレットの例
Bybit Wallet:分散型アイデンティティ管理とDeFi商品が幅広く利用できるBybit Walletは、上級者にも最適です。分散型ウェブとのシームレスなインタラクションが可能であり、クロスチェーン互換性やエアドロップ管理などの機能と併せて、Web3エコシステムに参加する上級者の理想的な入口となっています。また、Bybit Walletは2024年1月10日からMPC機能と統合する予定であり、高レベルのセキュリティを求める利用者にとってさらに魅力的な選択肢となります。
Ledger Nano X:トップクラスのセキュリティとさまざまな仮想通貨を管理できる機能で知られるハードウェアウォレットです。
Argent:DeFiの統合、シードフレーズなしのウォレット回復、イーサリアムの取引手数料無料などの高度な機能を備えています。
エキスパートの見方
仮想通貨ウォレット分野の著名なエキスパートによるディスカッションが2023年12月20日に開催され、進化する仮想通貨ウォレットについて貴重な情報を得られる機会となりました。BybitのDanielが司会を務めたこのディスカッションには、CoboのLucas氏、SafeheronのJag Foo氏、UniPass WalletのBobby W.氏という著名人が参加し、豊富な経験とユニークな視点について語ってくれました。この魅力的なディスカッションのハイライトと重要なポイントをご紹介します。
仮想通貨企業のソリューション戦略に関して豊富な経験を有するCoboのLucas氏は、仮想通貨ネイティブ市場などを対象としたセキュリティの重要性を強調しました。また、セキュリティは優先すべきだが、効率性とのバランスを取る必要もあると指摘しました。この点は、特にユーザーエクスペリエンスが重要な役割を果たす市場において、ウォレットの社会的評価と信頼性を維持するためにきわめて重要です。
SafeheronのJag Foo氏は、従来型のセキュリティからWeb3セキュリティに移行した経験について語ってくれました。法人分野についても取り上げ、Web3業界に幅広く存在するSafeheronの顧客はセキュリティとコンプライアンスを優先事項としていることを強調しました。また、Ledger社に対するサプライチェーン攻撃など最近のセキュリティ侵害を取り上げ、セキュリティ実務において常に警戒することが必要だと訴えました。
Web 2.0と広告収益化の経歴を持つUniPass WalletのBobby W.氏は、ウォレットの普及促進における使いやすさの重要性を強調しました。また、すべての利用者がDeFiやNFTに深く関わっているわけではなく、実用的で利用しやすい金融ソリューションを求めている利用者が多いと指摘しました。同氏の洞察からは、正式なIDを持たない人々や、単に金融取引の合理化を図りたい個人など、利用者の多様なニーズが明らかになりました。
Lucas氏、Jag Foo氏、Bobby W.氏とのディスカッションにより、仮想通貨ウォレットを選ぶ際の重要ポイントに関する理解が深まりました。特筆すべき点は、ウォレットにとって最も重要なのはセキュリティである一方で、ウォレットが市場で成功するかどうかは使いやすさや利用者の多様なニーズに対応できるかどうかにも左右されるということです。これらのエキスパートの視点は、資産保護という点からウォレットを選ぶ場合だけでなく、進化し続ける仮想通貨の世界で自分が必要としているものに見合ったウォレットを選ぶという点でも、初心者から上級者まですべての利用者に役立つものだといえるでしょう。
エキスパートが語った洞察についてさらに詳しく知りたい方は、ぜひディスカッション全体をお聞きください。録音はBybit Web3のX(旧:Twitter)で公開しています。これは仮想通貨ウォレット業界のリーダーから深い知識や視点が得られるすばらしい機会です。デジタル通貨への理解を深め、進化の最前線に立ち続けることができるでしょう。
終わりに
この記事では、仮想通貨ウォレットの世界を探求してきました。その中でわかったのは、ウォレットが多様性に満ちたダイナミックなものであり、拡大と変化を続ける利用者層のニーズを満たそうと常に進化していることです。初期の仮想通貨ウォレットはビットコインの単なる保管手段でした。しかし現在では、さまざまなデジタル資産やブロックチェーンの機能に対応する多面的なプラットフォームとして、デジタル資産の世界に欠かせないツールとなっています。
初心者の場合、Trust WalletやBybit Walletなど、基本的なセキュリティ機能を備えた使いやすいウォレットを用いて仮想通貨の世界に参加することにより、基礎をしっかりと固められます。仮想通貨の世界で新たな領域に挑戦しようとする中級者は、高機能と使いやすいインターフェースのバランスが取れたMetaMask、Exodus、Bybit Walletなどのウォレットが役に立つでしょう。仮想通貨のあらゆる領域で活躍する上級者には、総合的な機能と高度なセキュリティを備えたLedger Nano X、Argent、Bybit Walletなどの堅牢なソリューションが必要になります。
仮想通貨ウォレットの選択は個人的かつ非常に重要なものであり、セキュリティに対するニーズ、専門知識のレベル、希望する特定の機能などを反映して決定されます。最初の一歩を踏み出そうとする初心者も、さまざまな可能性を探求している中級者も、そしてデジタル金融の限界に挑戦している上級者も、自分の特性に合ったウォレットを必ず見つけられます。
仮想通貨の世界が進化を続ける中で、仮想通貨ウォレットの機能や特長も進化していくでしょう。拡大し続ける仮想通貨の世界において、資産を保護するだけでなく豊かな体験をもたらしてくれるウォレットを選ぶには、常に情報を入手し、自分のニーズを把握することが重要となります。