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【ダイジェスト】暗号資産取引におけるレバレッジとは?

上級者向け
取引
2021年11月10日

「足場を与えてくれ、そうすれば地球すら動かして見せよう」。

– アルキメデス(古代ギリシャの物理学者)

投資家にとって、暗号資産取引におけるレバレッジとは、まさに「足場(支点)」に該当します。足場が十分しっかりしてさえいれば、てこで何でも持ち上げることができるのです。

市場では、一般に「エビで鯛を釣る」のことわざでおなじみです。

例えば住宅ローンの場合、100万米ドルの住宅を購入するにあたり、購入者は頭金として10万米ドルを支払い、残りの90万米ドルを銀行から借り入れて、銀行ローンの利息を支払います。

これと同様に資本金が少ない企業は、資本金を借り入れて生産に当て、収益を高めるという選択をする場合があります。ただし、これにはリスクが伴います。ビジネスの業績が計画どおりに上がらなかった場合には、その会社は資産よりも多くの負債を最終的に抱えることになるからです。

簡単に言うと「レバレッジとは、借金(借入資本)を自分のビジネスに活用すること」なのです。レバレッジは、借入またはデリバティブによって実用化することができます。

どんな場合にレバレッジを利用するのか?

前出の例と同様、株式市場においても、5万米ドル相当の株式を購入するのに資金が足りない場合には、レバレッジが実用的な選択肢となる可能性があります。

仮に、最小ロットサイズが500ドルの株式Aを購入したいけれど、手元には$100しかないとしましょう。どうしたら良いでしょうか?

ここでレバレッジの出番となります。

例 1:

レバレッジ倍率5倍:100ドル × 5 = 500ドル。この場合、たった100ドルで500ドル相当の株式を購入することができます。

レバレッジ倍率10倍:100ドル × 10 = 1,000ドル。この場合、たった100ドルで1,000ドル相当の株式を購入することができます。

このことから、より高いレバレッジを設定すれば、より少ない資本で同数の株式を購入できるということがおわかりいただけるでしょう。

例 2:

100ドルに10倍のレバレッジを設定 100ドル × 10 = 1,000ドル

50ドルに20倍のレバレッジを設定 50ドル × 20 = 1,000ドル

デリバティブ取引では、想定元本に基づいて取引手数料や利息の受け払いが決定されますが、上記の例では取引額が1,000ドル一律なので、どれも同じ額の手数料と利息を支払っていることになります。それであるならば、レバレッジを高くして、証拠金を減らせばよいのではないでしょうか。A株の価格が予想通り上昇したら、良い取引ができたと言えるでしょう。しかし、株価が値下がりした場合、レバレッジの倍率が高いほど強制決済のリスクが高まります。強制決済とは、お客様がアカウントの資金をすべて失うことを意味します。

レバレッジを設定しない取引の場合、株価が100ドルから1ドルに急落した場合でも、まだ株式を売却して1ドルを取り戻したり、保有し続けて回復を待つことができます。しかし、レバレッジ取引では、ポジション・マージンが維持証拠金の最低基準まで下がると、マージンコールを受けたり、清算されたりすることになります。

強制決済を避けるためには、より低いレバレッジを設定すると良いでしょう。上記の例 2から、レバレッジが低いほど必要証拠金の額が多くなりますが、強制決済のリスクはより低くなるということが分かります。

レバレッジを使った取引とそうでない取引の違いは?

仮に8,000ドルの手元資金があり、BTCの最終取引価格が8,000ドルだったとしましょう。

【上昇相場の場合】翌日、BTCの価格が8,050ドルに上昇します。この場合、2つの選択肢があります:

①レバレッジなし:8,000ドルで1BTCの契約を購入します。その後8,050ドルで売却し、50ドルの利益を獲得します。

②レバレッジあり:80,000ドル相当の契約を8,000ドルで購入します。その後8,050ドルの価格で売却します。レバレッジを10倍に設定してあるので、利益は10倍、つまり500ドルへと増幅されます。

(Bybitが提供する複数のレバレッジ倍率)

【下げ相場の場合】翌日、BTC価格が7,950ドルに値下がりします。この場合、2つの選択肢があります:

①レバレッジなし:$8,000で1BTCの契約を購入します。その後7,950ドルで売却し、50ドルの損失を出します。

②レバレッジあり:80,000ドル相当の契約を8,000ドルで購入します。その後7,950ドルで売却します。レバレッジを10倍に設定してあるので、損失が10倍、つまり500ドルへと増幅されます。

上記の例から、レバレッジは、利益と損失の両方を10倍に増幅することがわかります。

つまり、レバレッジは投資額を増やすことができる反面、リスクも増加させるという両刃の剣であると言えます。レバレッジ取引は、市場が予想どおりに動く場合は満足のゆく結果が得られますが、その逆の場合もあり得るのです!