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仮想通貨デリバティブ取引とそのしくみ

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4 Mar 2021

グローバル金融市場は地球上で最も利益が大きい産業の1つです。それを否定する人もいますが、金融市場ではさまざまな手段により資金調達、低価格での供給確保、ゼロからの信用創造が行われ、それにより市場が繁栄を謳歌していることは無視できない事実です。デリバティブ取引はそうした魅力的な概念の1つです。デリバティブ取引は現物取引と異なり、主要な原資産から価値が派生するため、柔軟性が高く管理が容易です。また、仮想通貨デリバティブ市場ではレバレッジを活用するのが普通です。

通常、デリバティブ取引とは、所定の日付に所定の価格で原資産を取引する契約をトレーダーが締結するというしくみを指しています。デリバティブ取引の主な目的は、原資産の将来価格についての投機を行うことであり、トレーダーは価格差に基づいて利益を計上できます。また、デリバティブ取引はコモディティ、通貨、仮想通貨などさまざまな資産で利用できます。最もよく利用される仮想通貨デリバティブとしては、たとえばビットコイン(BTC)先物があります。

この記事の主なポイントは、仮想通貨デリバティブ取引の利用方法を紹介することであり、次のような項目を扱います。

デリバティブ取引とは何か

デリバティブ取引は金融市場の中でも巨大な分野です。端的にいえば、デリバティブ取引とは、将来の特定の日に資産を売却または購入する当事者(買い手と売り手)を拘束する契約の交換です。デリバティブには、先物、先渡し、オプション、無期限スワップなどさまざまな種類があり、仮想通貨についても利用できます。

デリバティブ取引を正しく理解するには、まずデリバティブを定義することが必要です。デリバティブとは、売り手と買い手が原資産を所定の価格で取引する契約です。たとえば、ビットコイン先物契約は、原資産であるビットコインのオークション価格について決済を行う契約を締結することにより、ポジションをヘッジして価格の変動性を緩和できるようにします。

ビットコイン先物CC:https://analytics.skew.com/dashboard/bitcoin-futures

デリバティブ取引は1970年代に盛んとなり、最も古い金融契約の1つとして現在も存在しています。最近のニュースによれば、仮想通貨デリバティブ取引は、価格変動から身を守ろうとする一般大衆の関心を大きく集めているようです。たとえば、2020年5月には仮想通貨デリバティブ取引の月間取引高が6,020億ドルに達し、過去最高額を記録しました。

デリバティブ取引と現物取引との違い

現物取引とは、資産を現在の価格で直ちに取引するしくみです。通常、取引の決済は取引日から2営業日以内に行われます。

デリバティブ取引と現物取引とを対照して比較すると次のような違いがあります。

  • 有形資産の保有:ビットコインの現物市場をデリバティブ市場と比較すると、現物市場では投資家が実際のビットコインを保有および売買します。一方、ビットコインのデリバティブ市場は、投資家が実際にビットコインを保有せずに契約を締結するという考え方が特徴です。そこでの契約は、ビットコインから値を取得する契約、先物、無期限スワップ、オプションのどれかとなります。

  • 資産の価格:現物取引では、トレーダーが現在の市場価格で資産を購入または交換します。一方、デリバティブ取引では、たとえば先物契約の場合、買い手が売り手から原資産を購入して受領する義務を負い、売り手は先物契約の満期が到来すると必ず原資産を引き渡します。この場合、買い手と売り手は、あらかじめ決定した価格で資産を将来取引することに合意する必要があります。そのうえで、市場の状況によっては、原資産の価格が変動することにより、契約(デリバティブ)に拘束された両当事者の一方が利益を得ます。

  • 決済期間:ほとんどの現物取引では、決済手続きを考慮して、取引の執行から2日以内に決済を行います。一方、デリバティブ取引では、将来の特定の時点で決済または取引を行います。ほとんどの仮想通貨デリバティブ取引では、満期日に仮想通貨の現渡しまたは差金決済を行い、それによりデリバティブ市場に流動性をもたらしています。ただし、通常の先物契約では、契約締結時に決済価格をあらかじめ決定し、所定の期間の終了時までに決済を行います。

簡単にいえば、現物取引は短期的な目標を達成するものであり、デリバティブ取引は長期的な見通しを重視するものです。

デリバティブ取引の種類

先物

先物契約は最も一般的なデリバティブです。先物契約では、資産を固定価格で将来(双方が合意した日に)購入する権利を買い手に付与し、売却する権利を売り手に付与します。ほとんどのトレーダーは、契約満了前に先物契約を決済し、途中で利益または損失を計上します。通常、仮想通貨のような変動性の高い市場でトレーダーが取引を行う場合は、先物契約を利用して他の投資をヘッジします。

ビットコインを例として考えてみます。トレーダーは、ビットコイン価格が1万8,000ドル(2020年11月末時点)をクロスした後に下落する可能性があると考えている場合、先物契約を利用してヘッジを行い、現在の証拠金を保護します。トレーダーが1ヶ月満期の先物契約を購入したと仮定すると、価格が18,000ドルを下回った場合に、トレーダーは利益を守ることができます。

一方、逆のシナリオでは、トレーダーはビットコインで翌月得た利益を失います。

先渡し

先渡しは先物に類似した契約ですが、集権型取引所ではなく店頭取引所で取引される点が異なります。つまり、買い手と売り手は、両者間の売買契約をカスタマイズできるということです。ただし、そのような柔軟性があっても、先渡し契約では取引が集権化されていないためリスクが高いということをトレーダーは認識する必要があります。

オプション

一方、オプションとは、満期到来時に所定の価格で原資産を売買する権利を契約当事者に付与するデリバティブです。オプション契約に義務はありません。オプション契約には2つの種類があります。

  • コールオプション:所定の期間において所定の価格で資産を購入する旨の合意を行う権利をトレーダーや投資家に付与します。

  • プットオプション:所定の期間において所定の価格で資産を売却する旨の合意を行う権利をトレーダーや投資家に付与します。

たとえば、あるトレーダーが、仮想通貨市場が不安定で価格が大きく変動している場合でも、1 BTCあたり1万5,000ドルでビットコインを買いたいとします。その場合、トレーダーはコールオプションを選択し、1 BTCあたり1万5,000ドルでビットコインを購入する機会を、所定の期間にわたって確保します。その後契約が満了し、その時点でビットコイン価格が1万5,000ドルから3万ドルに上昇していたとすると、トレーダーは1万5,000ドル(所定のオプションレート)で1 BTCを購入し、1万5,000ドルを純利益として得ることができます。

無期限スワップ

無期限スワップは先物契約に類似したデリバティブですが、満期日や決済がありません。トレーダーは無期限スワップの資金調達料を支払います。資金調達料はスワップ価格を原資産価格に一致させるものです。通常、無期限契約は、現物市場でのマージン取引の概念を模倣します。したがって、無期限契約はインデックス価格の参照原資産に近似します。ただし、契約内容により、資金調達率やレバレッジなどが異なる場合があります。

無期限スワップは、先物契約とは違って価格変動が小さいため、ロングポジションを必要としている投資家に適したツールです。

仮想通貨取引におけるデリバティブの用途

ポジションのヘッジ

仮想通貨のトレーダーはリスク管理を目的としてデリバティブを利用します。これはヘッジとも呼ばれます。通常、デリバティブは、不安定な市場で将来価格についての投機を行う目的で利用されるため、トレーダーはデリバティブを利用して価格変動からポートフォリオを保護します。たとえば、仮想通貨のトレーダーは、市場の急落などにより大きな損失を被るリスクを軽減するために、反対方向に賭ける無期限スワップでヘッジを行います。

現物市場でビットコインを1 BTCあたり1万5,000ドルで購入した投資家が、今後価格が下落する可能性があると予想している場合を考えてみましょう。この投資家は、購入したビットコインを売却する代わりに、無期限スワップ市場でレバレッジをかけてショートポジションを建てるという方法をとることができます。それにより、BTC価格が上昇した場合は現物取引で利益を得ることができ、また、ビットコインの現物価格が下落した場合はショートポジションから利益が得られるため、本来のポジションの損失をその利益により最小化できます。

将来の値動きについての投機

仮想通貨取引におけるデリバティブのもう1つの一般的な用途は、原資産を購入せずに資産価格についての投機を行うことです。トレーダーは、ビットコインやアルトコインを実際に購入する代わりに、先物契約を購入するという方法をとることができます。つまり、トレーダーは支出を最小限に抑えながら市場に参加できます。原資産の価格が変動した場合、トレーダーはそれに応じてポジションを調整できます。ほとんどのトレーダーは、プットオプションを利用してリスクを管理します。

仮想通貨デリバティブ取引のメリット

  • 高いレバレッジ(マージン取引):デリバティブ取引において、投入が必要な資金は、全体の取引額のうち一部だけ(10%あるいはそれ未満)です。投資家は、大きな金額を一括して投資せずに、レバレッジを利用して利益率を高めることができます。

  • 低い手数料:デリバティブ取引は、取引手数料や執行手数料が低いためコスト効率が優れています。

  • 価格変動に対する保護:仮想通貨は変動性が大きいためデリバティブが最適です。デリバティブは原資産価格を直接決済する契約であり、長期にわたる価格変動の影響を低減します。

  • ヘッジに最適:資金の保護を必要とする投資家にとって、デリバティブは優れたリスク管理ツールとなります。双方向のヘッジを考慮すれば、トレーダーはほとんどのダウンサイドリスクに対応できます。

  • 分散化を実現:デリバティブ取引は、原資産価格を取引当初に考慮するため、ポートフォリオリスクの最小化に寄与します。さらに、デリバティブ市場は、市場の動きに関するシグナルの生成に役立ちます。

  • 高い流動性:デリバティブ取引市場には非常に大きな需要があります。調査によると、仮想通貨デリバティブの日次取引高は2020年5月に6,000億ドルを超え、機関投資家の関心が高まる中で勢いを強めています。こうした活発な動きにより、さまざまな取引戦略を利用して利益を最大化する機会が得られます。

仮想通貨デリバティブ取引の限界

  • デリバティブ取引のリスクの高さ: デリバティブ取引では、取引にレバレッジをかけることができるため、強制決済のリスクが高まります。たとえば、あるトレーダーが、ビットコイン先物契約を2万ドルで購入することにより、レバレッジを使って10 BTCをショートした場合、市場が1 BTCあたり1万8,000ドルまで下落すると、そのトレーダーは自己のポジションについて2万ドルの損失を被ります。

  • 店頭デリバティブにおけるデューデリジェンスの欠如:店頭の先物契約や先渡し契約にはカウンターパーティーリスクがあります。トレーダーには相手方のデューデリジェンスを実施する方法がありません。店頭取引は必ずしもコンプライアンス手続きに従って行われるとは限らないためです。

  • 規制に対する懸念:デリバティブ取引は、世界中すべての法域で合法化されているわけではありません。先物契約や先渡し契約の両当事者は、デリバティブ取引が合法化されている地域で取引を行う必要があり、そうでなければカウンターパーティーリスクを負うことになります。

仮想通貨デリバティブ取引に適しているのは誰か?

デリバティブ取引には利点もあれば限界もあります。デリバティブ取引には次のような必要条件があります。

  • 高リスク:仮想通貨デリバティブなどのデリバティブ取引に適しているのは高リスク指向の投資家だけです。投資資金が限られている投資家やリスク許容度が低い投資家はデリバティブ取引を避けるべきでしょう。

  • テクニカル分析またはファンダメンタル分析の能力:デリバティブ取引では、証拠金のほか、市場を正しく読む能力が非常に重要であるため、投資家はテクニカル分析とファンダメンタル分析を完全に理解している必要があります。仮想通貨市場は価格変動が激しいことで知られており、適格な市場調査と意識向上が求められます。

  • 仮想通貨市場の理解:仮想通貨市場は、金融市場とは異なり、最先端の新しい仮想通貨などさまざまな要因の影響を受け、それにより市場の動きが変化する可能性があります。仮想通貨デリバティブ取引を行う投資家は、仮想通貨業界を取り巻く最新のプロジェクトや新しい規制を認識していなければなりません。

仮想通貨デリバティブ取引に関するこれらの必要条件を考慮すると、デリバティブ取引に適しているのは次のような投資家だといえます。

  • 機関投資家:機関投資家は、優れた市場分析ツールやリソースを保有しており、仮想通貨デリバティブ取引を行ううえで理想的な立場にあります。機関投資家は、仮想通貨取引において、レバレッジを使用して利益を高めることや、ダウンサイドリスクを限定することが可能です。

  • マイニング業者または仮想通貨スタートアップ企業:ビットコインやアルトコインの採掘に関与するマイニング業者には、デリバティブ投資を行う意味があります。マイニングは競争が激化して以前より困難になっています。マイニング業者は、先物などのデリバティブでヘッジすることにより収入源の多様化が可能であり、そのうえ将来の利益も保全できます。同じく、仮想通貨に財務基盤を有するブロックチェーンプロジェクトや仮想通貨スタートアップ企業は、デリバティブを利用してリスク管理を図ることができます。

  • 投資上級者:仮想通貨市場、テクニカル分析およびファンダメンタル分析を十分に理解している投資家はデリバティブ取引に適しています。取引を行うには、デリバティブに伴うリスクを理解することが重要です。

仮想通貨デリバティブの取引方法

仮想通貨デリバティブ取引を始めようと考えている投資家が最初に行うことは、仮想通貨デリバティブ取引を提供している仮想通貨取引所または通常の取引所に登録することです。仮想通貨のトレーダーが行うべき各手順は次のようになります。

  • 各仮想通貨取引所の特徴(証拠金、決済期間、メイカー/テイカー手数料、出金上限額など)を比較します。徴収する手数料に見合った最高の価値を提供してくれる仮想通貨取引所を選択してください。また、社会的評価も重要です。Bybitは、どなたにもご検討いただけるベストなデリバティブ仮想通貨取引プラットフォームです。

  • 仮想通貨取引所にアカウントを開設し、本人確認(KYC)を終え、法定通貨または仮想通貨をアカウントに入金します。

  • 自分が取引したい仮想通貨デリバティブを中心に、証拠金のしくみを理解して証拠金率を選択します。新規に投資を始める場合、最初は最低証拠金を利用しましょう。

  • 証拠金を入金して先物契約を購入します。

  • 先物契約を満期日まで保有します。満期の前にポジションを決済し、利益を計上するかまたは損失を実現します。

デリバティブ取引を行うに当たっては、事前に計画を立てることが望ましいといえます。一部の取引所はネイティブトークンの手数料を低く設定しており、費用効率の点ではそのような取引所を利用するのもいいでしょう。

おわりに

仮想通貨デリバティブ取引に適したトレーダーは、仮想通貨デリバティブ取引により資産成長の見通しが得られます。仮想通貨デリバティブ取引を始めるに当たっては戦略を練ることが重要です。取引を始める前に、デリバティブ取引に関連したリスクを分析し、理解しておく必要があります。