仮想通貨の利食い戦略:タイミングと方法を解説
仮想通貨(暗号資産)市場は、潮の満ち引きのようにボラティリティの高い動きを繰り返しています。タイミングを正しくとらえれば、売買や利益獲得の機会を無限に得られます。利食いして取引を手じまう時期なのか、それとも取引を続けるべき時期なのか、市場のタイミングをとらえることは容易ではありません。しかし、いくつかのコツや戦略を活用すれば、利食いで収益を最大化できます。
利食いを検討しているものの、適切な戦略を知らないので方法やタイミングがわからないという場合は、この記事がお役に立つはずです。仮想通貨を売却するタイミングや、利益を最大化する方法など、利食いについて学ぶことは取引で成功を収めるために欠かせません。
仮想通貨の利食いとは?
利食いとは、仮想通貨や証券の価格上昇後に、利益の確定を目的として意図的に売却する行為をいいます。ガチホとは異なり、反復的な取引や市場参加を伴う場合がほとんどです。
ガチホ(HODL)は「ガチでホールドする(Hold On for Dear Life)」の略で、売買を基本的に行わない投資手法です。利益獲得戦略としてのガチホは、ビットコイン(BTC)やGoogle株、Amazon株などの投資資産に早くから目を付け、安いうちに仕込める眼力のある人々に巨額の利益をもたらしてきました。しかし、大きな投資収益を実現するには数年かかります。つまり、ガチホには相当な忍耐が必要なのです。
仮想通貨のガチホ戦略には、利益獲得のチャンスを取り逃がす可能性もあります。仮想通貨が特定の価格に到達するまでには数多くの山と谷を通過することになり、その数は株式などの資産の場合よりはるかに多いのです。仮想通貨の利食いについて方法とタイミングを知っていれば、山と谷に合わせて利食いを行いながら、利益を大きく増やせます。
仮想通貨の利食いは、反復的な利益と仮想通貨ポートフォリオの成長をもたらすだけでなく、ガチホが陥りがちな危険を回避することにも貢献します。その危険の1つが高値づかみです。ガチホを始めたばかりの投資家の多くが、上昇トレンドの末期に買うという過ちを犯し、大幅な水準訂正に見舞われて25%以上の損失を抱えることになります。この心理的ハードルを克服するのは容易ではありません。
また、ガチホ勢のほとんどは、適切なタイミングで利益を確定する方法を知りません。ガチホ勢は、経験の少なさや正しい利食い戦略を知らないせいで、売買のタイミングを誤ることが多く、得られたはずの利益を減らしています。
実績のある利食い戦略を実践し、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析を活用して利食いの方法とタイミングを知ることにより、仮想通貨市場の特徴であるボラティリティの高さを活用して大きな利益を獲得できるようになります。
仮想通貨の利食いのメリットとデメリット
仮想通貨はボラティリティが高く、2桁の利益(や損失)も頻繁に発生します。その点は外国為替(FX)や株式との違いです。実際に、「購入」や「売却」のボタンを押したわずか数分後に評価額が2%も上下している、といったことは日常的に起こります。実績のある利食い戦略に従って利食いを行えば、そのような機会をうまく利用でき、ガチホ勢を一瞬で抜き去ることが可能です。
仮想通貨の利食いには次のようなメリットがあります。
• 収益の大幅な拡大
• リターンの獲得と保有仮想通貨の増加
• どのような市況でも収益化が可能
• 最小限の長期的リスク
• 仮想通貨で利益を得る方法を学び、熟練したトレーダーになれる
とはいえ、仮想通貨の利食いは、方法とタイミングを知らなければ難しい場合があります。幸いなことに、サポートレベル、レジスタンスレベル、フィボナッチレベル、ピボットポイントなど、テクニカル分析の基本を理解すれば、強力な利食い戦略の策定はそれほど難しくありません。
そのような取引の基本を理解していなければ、取引で成功を収めて利益を獲得できる確率は大幅に低くなります。
仮想通貨の利食いには次のようなデメリットもあります。
• テクニカル分析の理解が必要
• 実績のある利食い戦略の実施が不可欠
• 税により利益が目減りする
仮想通貨の利食いタイミング
仮想通貨の取引を始めたばかりの投資家やトレーダーの多くが、利食いすべきタイミングについて悩んでいます。取引の開始や手じまいのタイミングを知るには、価格チャートとテクニカル分析の理解が重要ですが、その中でも注視すべき一般的なシグナルがいくつかあります。
弱気チャートパターンの兆候
仮想通貨の利食いに最適なタイミングの1つは、弱気チャートパターンの形成を特定できたときです。デッドクロス、ヘッドアンドショルダー、シューティングスターなどの弱気パターンは、トレンド反転のシグナルであることが多く、どの利食い戦略にも必ず取り入れる必要があります。
カタリストが近々発生する見込みがないこと
保有しているビットコインなどの仮想通貨の価格が足踏み状態にあり、上昇モメンタムに乏しい時期も、利食いに適したタイミングです。そのような場合、通常は価格が保合いとなりますが、これは利食い戦略における手じまいのタイミングを示すシグナルになり得ます。ただし、売り注文を出す前に、別の指標でも確認するべきです。
ファンダメンタルズの変化
ファンダメンタルズの変化が生じ始めた時期も、利食いに適したタイミングです。そのような変化の時期を知るには、ファンダメンタルズ分析を実施します。
テクニカル分析では、仮想通貨の価格チャート、パターン、指標などが中心となります。一方、ファンダメンタルズ分析では、仮想通貨の購入者数や利用者数、開発チーム内の変化などの情報を用いて、取引を開始すべきタイミングや利食いタイミングを明らかにします。
不安定なマクロ経済状況
仮想通貨の利食い戦略では、ファンダメンタルズの変化だけでなく、マクロ経済状況の変化や不確実性についても考慮する必要があります。戦争、感染症の大流行、景気後退といった事象は、株式、コモディティ、外国為替、仮想通貨などの市場に大きな影響を与えます。そのような事象が発生すれば市場は暴落しかねません。この明確なシグナルは、事象の終息を待つよりも利益を確定すべきタイミングであると示している可能性があります。
仮想通貨の利食い方法
ファンダメンタルズやマクロ経済状況に基づいた仮想通貨の利食いタイミングの判断と、具体的な利食い方法の決定とは、まったく別の作業です。利食いにはさまざまな方法があります。たとえば、一定割合の利益が発生したらランダムに利食いを実行する、一定のレジスタンスゾーンに入ったら利食いを発動するように戦略を組む、ピボットポイントやフィボナッチレベルを活用するなどです。賢明なトレーダーはそのすべてを用います。
利益目標を設定する
あらゆる取引はどこかの時点で終了します。取引の開始は簡単ですが、手じまいのタイミングや方法によって損益は大きく変わります。
仮想通貨の利食いを行う際には、利食い戦略に従って手じまいできます。特定の条件が成立した時点で、トレーリング損切注文や利益目標を使って取引を手じまいます。
採用する利食い戦略にもよりますが、利益目標としては、特定の価格目標や比率ベースの目標を設定できます。いずれの場合も、事前に設定したレベルに価格が達した時点で、手動または自動で取引を手じまうことができます。その手段として、取引執行中の具体的な目標利益を入力します。
たとえば、ビットコインを31,710ドルで購入し、利益目標を2%に設定した場合は、32,344ドルで売り注文を出します。ビットコイン価格がこの目標に達すると、取引は手じまいとなります。以上が、価格目標を設定して利食いを行う方法の概要です。
この戦略で仮想通貨の利食いを行えば、取引の開始前にリスクリワード比を計算することもできます。計算には損切りレベルの入力が必要です。利益目標よりも小さい価格変動幅を設定するのが望ましいでしょう。そうすれば、リワードがリスクを上回ります。
リスクとリワード
取引の勝ち負けを完全に予測することはできませんが、リワードがリスクより大きい場合は、利益を得られる可能性が高いといえます。たとえば、勝つ取引の平均が11ドルで、負ける取引の平均が6ドルである場合、全体としての利益をプラスにするには、約40%の勝率さえあれば十分です。
利食い戦略の一環として利益目標を活用し、仮想通貨の利食いを行えば、取引する価値があるかどうかの判定も可能になります。リスクが潜在的な利益より大きい場合、等しい場合、または十分に小さいとはいえない場合には、その取引を行う価値はありません。しばらく待つか、次の機会を探すべきです。このように、利益目標の決定によって、不適当な取引の選別が可能になります。
テクニカル分析によりエグジットポイントを特定する
多くのトレーダーがテクニカル分析でエントリポイントやエグジットポイントを特定し、利益の最大化とリスクの最小化を実現しています。仮想通貨のチャートを分析し、エントリポイントやエグジットポイントを特定する際に利用できるテクニカル指標、チャートパターン、ツールは多数あります。しかし、検討に値する戦略はそれほど多くありません。
以下に例を挙げます。
• サポートゾーンやレジスタンスゾーンに注意する
• フィボナッチレベルを把握する
• ピボットポイントを注視する
仮想通貨の利食い方法について迷っており、反復的な利食いに関心があるなら、この3つの戦略をマスターすべきです。
ツールの利用
サポートレベルとレジスタンスレベルは最優先のツールであり、仮想通貨の利食い戦略には必ず組み込む必要があります。仮想通貨の価格チャートでは、ほとんどの期間において、上昇モメンタムが停止しているように見える領域があります。これはレジスタンスゾーンと呼ばれています。その反対に、下降モメンタムが停止または反転している領域もあります。これはサポートゾーンと呼ばれています。
これらのゾーンはどちらも重要です。未執行の売り注文または買い注文がある場合は、このようなゾーンを常に注視し、価格がそこに近づいたら取引を手じまって利益を確定することを考える必要があります。モメンタムやトレンドが力強い場合は、価格がサポートレベルやレジスタンスレベルを突破します。しかし、仮想通貨については、価格がそれらのレベルに反応して、逆方向に動くという現象がかなりの確率で発生します。
仮想通貨の利食いについて学ぶ場合には、フィボナッチレベルも同じく重要です。なぜなら、仮想通貨市場の自然な傾向として、価格がさまざまなフィボナッチレベルに向かって動くからです。それらのレベル(特にリトレースメント)に注意を払い、利食い戦略の一環としてチェックすれば、仮想通貨の利食いについて有利な立場に立てるでしょう。
仮想通貨の利食い方法を学ぶ際には、ピボットポイントの理解も必須です。フィボナッチレベル、サポートレベル、レジスタンスレベルと同じく、価格がピボットポイントに反応する現象もよく見られます。
ピボットポイントを算出する目的は、市場心理が強気から弱気に転換したポイントを判定することです。特にデイトレーダーは、ピボットポイントを用いて、エントリポイント、ストップポイント、利食い水準を決定しています。
つまり、ピボットポイントは日中テクニカル指標として確認する必要があります。ピボットポイントを用いればトレンドや反転を特定できるため、仮想通貨の利食い方法を学んで利益の最大化を図りたい場合は、ピボットポイントの算出が必須となります。
仮想通貨の利食いは行うべきか?
どのような戦略を用いる場合でも、仮想通貨の利食いを行うべきかどうかは、主に各投資家のリスク選好度と投資期間により決まります。ビットコインなどの仮想通貨に投資し、利益が実現するまで何年も待てるのであれば、最善の利益獲得戦略はガチホかもしれません(ただし、大幅な価格下落や水準訂正にも動じない固い意志が必要です)。
しかし、ほとんどの人は、できるだけ早く利益や投資リターンを実現したいと考えるでしょう。何年も待ちたいとは思わず、仮想通貨への投資をすぐに、かつ何度も回収したいと考えるのが普通です。また、大幅な下落局面や含み損に耐えることも容易ではありません。それに当てはまる人にとっては、仮想通貨の利食いは間違いなく最善の方法です。
もちろん、仮想通貨の利食いには練習が不可欠であり、タイミングや方法を学ぶために時間を使う必要もあります。しかし、わずかな時間を投資して正しい利食い戦略の実施方法を学べば、獲得可能な利益を何倍にも拡大することができます。それにより、仮想通貨ポートフォリオをはるかに速く成長させられるとともに、労力に見合った対価も手に入れられるようになります。
仮想通貨の利食いによる利益を再投資する
仮想通貨投資家の多くは、利食いによる利益の一部を手元に置き、残りを同じ仮想通貨に再投資します。価格が停滞または保合いを始めたタイミングに高値で売り、ピボットポイント、サポートレベル、フィボナッチレベルに反応して反騰するのを待ち、その後に新たな買い注文を出すという方法です。
このような方法で取引と利益再投資を頻繁に行えば、仮想通貨を購入してガチホするだけの場合よりはるかに大きな利益を得られます。それは、ガチホの期間が数年、数ヶ月、あるいは数週間や数日でも同じです。ただし、この方法を実行して継続的に利益を出すには、市場に関する基礎知識や正しい利食い戦略だけでなく、戦略を堅持する能力や必要に応じて市況に適応する能力が必要になります。
もう1つの選択肢は、主要仮想通貨のポートフォリオを構築できる戦略を採用すると同時に、他のICOや革新的な仮想通貨プロジェクトにも投資することです。この方法は、ビットコインをドルに振り替え、銀行口座に送金し、消費に使うのとは対照的です。新しい仮想通貨のプロジェクトやテクノロジーに再投資し、さらなる上昇の可能性を追求できます。
たとえば、ビットコイン(BTC)取引により0.10 BTCが0.20 BTCになれば、その利益である0.10 BTCを新たな仮想通貨やICOに再投資できます。その場合、リターンが50倍や100倍になる可能性があります。目論見どおりになれば、初期投資家として大きなリターンを得られるでしょう。
この仮想通貨の再投資戦略は、それほど大きなリスクを取らずに、さまざまな高収益通貨のポートフォリオを構築したい場合に最適です。また、上記どちらの戦略にも、非常に大きなリターンを得られる可能性と、将来の損失に対するしっかりとした保護機能があります。さらに、どちらの戦略を利用しても、仮想通貨のボラティリティを収益化することが可能です。次々と現れる新しい通貨や、新たな仮想通貨関連のテクノロジーやサービスからも収益を得られます。
おわりに
上記の例や数多くの成功事例からわかることは、正しい取引戦略を用いれば、仮想通貨市場で繰り返し利益を得られるということです。ただし、仮想通貨の利食いを検討する前に、仮想通貨特有のシグナルや「しぐさ」に習熟し、買いや手じまいのタイミングを判断できるようになる必要があります。仮想通貨というユニークな資産について経験を積み、しくみを学んでいけば、期待できる利益は一層大きくなっていくでしょう。