2023年の仮想通貨(暗号資産)デイトレード戦略ベスト10
仮想通貨(暗号資産)のデイトレードは、トレーダーにとって心躍るアクティビティになることもあります。ただし取引が最も難しい時間枠の1つでもあります。仮想通貨のマーケットは他の多くの金融市場よりも日中のボラティリティが高くなる傾向があるため、短い時間枠で取引を成功させるにはより高いスキルが必要です。
こうした値動きの激しい状況を乗り越えるには、利益を最大化し、リスクを最小限に抑える最も効果的な戦略を備えたいものです。この記事では、仮想通貨デイトレードの世界を掘り下げ、考慮すべき戦略トップ10のリストを紹介します。経験豊富なトレーダーであっても、あるいは取引の道のりに繰り出したばかりでも、ペースの速い仮想通貨デイトレードの分野を探索する準備にお役立てください。
この記事のポイント
仮想通貨のデイトレードは、長めの時間枠で取引するよりもリスクが高く、よりしっかりとしたスキルセットが必要です。
あらゆる人が使える最良の戦略はありませんが、あなたにとって最良の戦略はあるかもしれません。重要なのは、自分の性格に合ったアプローチを見つけて、それに焦点を当てることです。
どのデイトレード戦略をとる場合でも、成功には強力なリスク管理のしくみが不可欠です。利益の出る取引を育てていくために、損失を最小限に抑えなければなりません。
仮想通貨のデイトレードとは?
仮想通貨のデイトレードとは、トレーダーが取引の開始から終了までを1日のうちに(日中、または1日の投資ホライズンで)、済ませるという前提で行うものです。したがって、日中の価格の動きに対応することが必要不可欠です。取引期間中にトレーダーがどのように市場と関わるかは、取り入れる戦略によって異なります。
いずれにせよ、一般にトレーダーは日中の市場の動向に基づいて、より小さな値動きを見込んで取引することになります。日中の取引では、トレーダーは時間枠が長い場合よりも厳しいリスクパラメータを用いて、それに応じて資金割り当ての規模を調整することができます。予想される値動きが小さく、長い時間枠の場合よりも取引の平均規模が大きくなるためです。また、デイトレードではポジションを翌日に持ち越すことがないため、それによるリスクはありません。
主な仮想通貨デイトレード戦略
1. 高頻度取引(HFT)
高頻度取引(HFT)は、自動的な数学的アルゴリズムによって稼働するもので、事前に設定された基準に基づいて1秒以内の間隔で注文を実行します。これらのアルゴリズムは大量の注文を管理し、非常に短い時間枠(多くの場合、わずか1秒または数分の1秒)にわたる微細な価格変動から利益を出すことを目指すものです。HFTは超高速であることから、取引ボットの利用が不可欠です。大量の注文を扱うことで、高頻度トレーダーは仮想通貨市場の流動性に貢献します。高頻度トレーダーの第一の目的は、効率の高い注文とコスト効率の高い取引を優先して、速度を最適化し、取引コストを最小限に抑えることです。
2. ロング・ストラドル
ロング・ストラドルは、市場のボラティリティから利益を得ようとするデイトレーディングのオプション戦略です。同じ仮想通貨のプット契約とコール契約の両方を、同じ権利行使価格と有効期限で購入します。ストラドルまたはオプション・ストラドルとも呼ばれます。ロング・ストラドルでは、取引片側で損失が生じる可能性がありますが、勝ちポジションから得られる利益がそれらの損失を上回り、全体の純利益につながることが期待されます。
3. スキャルピング
スキャルパーは短期間の急速な価格変動から利益を得るもので、転売を通じてわずかな価格差から利益を得るために、しばしば自動ボットを利用して取引頻度を増やします。より長い時間枠と比較すると、スキャルピングは対象とする価格変化が比較的小さいため、取引頻度が高く、取引量が多く、ポジションも大きくなります。したがって、取引コストがトレーダーの収益のかなりの部分を消費してしまう可能性があることから、取引コストを考慮することが不可欠です。
短い時間枠で信頼できるパターンを特定して活用することが難しくなることから、スキャルピングは高いリスクを伴うことがあります。したがって、スキャルパーは厳密な出口戦略に従い、複数の少額の利益を一度の多額の損失で打ち消してしまうことを防ぐ必要があります。
スキャルピングには2つの方法でのアプローチが可能です。第一のアプローチは、短く急速な価格変動を利用するために、多額の取引を多数実行する方法です。2番目のアプローチは、高頻度のスキャルピングよりはゆっくりとした取引プロセスを採用することで、わずかに大きいものの比較的小さい価格変動、より少ない取引回数、より少額のポジションサイズ、およびわずかに長い保有期間に焦点を当てます。
4. レンジ取引
仮想通貨の市場環境は、常にトレンドと合流の間で揺れ動いています。レンジ取引では価格の合流が起こる時期を活かして、事前に定義された価格帯から利益を得ます。この範囲は主なサポートレベルとレジスタンスレベルで定義されるもので、多くの場合は四角形の水平レンジや対称的な三角持ち合いといった古典的な合流パターンで表現されます。
レンジ取引では、トレーダーはレンジの上値付近のレジスタンスラインに達した時点で、ショートポジションを建てるかロングポジションの決済を試みます。逆に、サポート付近のレンジの下値付近でロングポジションを建てたり、ショートポジションの決済を試みる場合もあります。ストップロス注文は、不利な価格変動によるリスクを軽減するために、レンジの上限と下限を超えた場合に実施します。
5. 仮想通貨アービトラージ
仮想通貨アービトラージのトレーダーは、異なる取引所間の短期的な価格差の利用を狙います。ある取引所で仮想通貨を購入し、それを別の取引所で、より高い価格ですばやく売却することを目指します。あるいは、ショートの場合はまずある取引所で売り注文を出し、別の取引所で買ってからポジションを決済します。仮想通貨のアービトラージ取引はスピードが非常に重要であるため、複数の取引所にわたってアービトラージの機会を迅速に掴むために自動ツールが頻繁に使用されます。収益を完全に最適化するには、取引高が高額になることを踏まえて取引コストを低く抑えることが重要です。
6. テクニカル分析
テクニカル分析では主にチャートパターンを使用して取引戦略とリスク管理の指針を設定します。以下の3つの原則に基づいて運用します。1) 市場はあらゆるものを割引する。2) 価格はトレンドと逆トレンドで動く。3) 歴史は繰り返す。
つまり価格変動は反復的であり、一定のパターンを繰り返すもので、市場の流れを読むツールとしてこのパターンを利用できるという考えです。
テクニカル分析に基づいて戦略を展開する方法は数多くあり、その中にはテクニカル指標や研究の利用が含まれます。こうした指標は、通常は価格や出来高に基づくものです。トレーダーにとって有利になる具体的な値動きのパターンを特定することが肝要です。テクニカル分析の使用には、トレンドフォローとカウンタートレンド取引という2つの基本的なアプローチがあります。
トレンドフォロー
トレンドフォロートレーダーは、可能な限り全体的なトレンドを捉えようとします。彼らが焦点を当てるトレンドの種類は主な対象期間によって異なり、短期、中期、長期の場合があります。トレンド取引の場合は任意の時間枠チャートで取引でき、トレーダーは頻繁にトレンドラインや移動平均といったトレンド指標に頼って意思決定を行います。
カウンタートレンド取引
価格の変動はトレンドの中で発生するもので、一方向(上昇または下降)への値動きとそれに続くリトレースメントまたはカウンタートレンドの動きを伴います。カウンタートレンド取引を行うトレーダーは、より大きなトレンドの中でのこうした調整から利益を得ることを狙います。これはトレンド取引よりもややリスクの高い戦略と考えられており、より高度なスキルが必要です。大きなトレンドに逆らって取引することから、カウンタートレンドのトレーダーはより大きなリスクを取ることになります。その時点の支配的な(値上がりまたは値下がりの)勢いに逆らうことになるためです。
7. 市場センチメント分析
市場センチメントの理解は重要です。市場センチメントは、市場参加者の自信の変化に基づく市場の値上がりと値下がりの原動力になります。市場センチメントは、特定の金融資産または市場全体に対する投資家とトレーダーの集団的な態度に該当します。市場センチメントを分析することで、需要と供給の変化、ひいては価格の変化に影響を与えうる態度や自信の変化を把握できます。市場センチメント分析の要素には、Fear & Greed Index、ビットコインドミナンス比率、ニュース、ソーシャルメディア、Googleトレンドなどがあります。
Fear & Greed Index
Fear & Greed Indexは感情のメーターのように機能し「恐怖」から「貪欲」そしてその間のあらゆるものを含むスケールで市場のセンチメントを測定します。トレーダーは価格の動きを予測するために、この指数で極端な値が出ないか注意深くチェックします。「恐怖」が高すぎる場合はセンチメントが反転寸前にある可能性があるため、買いの機会につながることがあります。一方、「貪欲」が高すぎるとセンチメントが強気すぎることになり、調整が入る可能性が出てきます。
このインデックスは、通貨のドミナンス、市場の勢いと出来高、ソーシャルメディア、Googleトレンド、ボラティリティの測定など、さまざまなインプットを使用しています。
ビットコインドミナンス比率
ビットコインドミナンス比率は、仮想通貨市場全体の時価総額に対するビットコインの時価総額(市場価値)の比率を示したものです。多くの小規模な時価総額の通貨がビットコインのトレンドに追従するか、あるいはビットコインと何らかの形でつながっているため、この比率は市場全体に影響を及ぼします。この比率が低下すると、ビットコインと比較してアルトコインの業績が良いことを示唆しています。
ニュース
仮想通貨に影響を与える可能性のあるニュースをチェックすることで、そこに表れたアイデアや視点を見てセンチメントを推測することができます。ニュースからトレーダーは市場の態度を感じ取ることができ、また他の分析の補足として活用することもできます。RSSアグリゲーター(Feedlyなど)でニュースフィードを追跡すれば、迅速に確認することができます。また、サブスクリプション形式のイベント駆動型ニュースサービスも存在します。これは高度なコンピューターアルゴリズムを使用して、仮想通貨の値動きにつながる可能性のあるニュースを特定するものです。
ソーシャルメディア
ソーシャルメディアを観察することで、市場のセンチメントに関するインサイトを得られます。X Pro(旧:TweetDeck)などのツールを使用してモニタリングすることも可能です。フィードを分類および整理して、信頼できると判断した情報源によるアクティビティを追跡できます。これによりいわゆる「ノイズ」が軽減され、主に自分で選りすぐった情報源からの投稿やコメントを確認できます。
ソーシャルメディア・センチメント・インジケーターは、さまざまなソーシャルメディアサイトからのデータを集約し、それを分析して、特定の仮想通貨、業界、地域、または国に関連する傾向や活動の増加を特定します。
Googleトレンド
Googleトレンドを使用すると、仮想通貨関連のトピックやトークンについてのGoogle検索でのトレンドを確認できます。(「ビットコイン 強気」などの)特定の検索ワードが上昇傾向にあるのか、下降傾向にあるのかを分析すると、ビットコインに対する期待や見通しについて有益なインサイトが得られる可能性があります。
8. 長期ポジション取引
長期ポジション取引は、アクティブなデイトレーダー全員が主に焦点を当てるものではないかもしれませんが、それでも取引アプローチにおいて一定の役割を果たす可能性があります。この戦略を実施するには、月足や四半期足の価格チャートを含めたより大きな時間枠を分析します。取引設定を月足チャートでトリガーする場合、他の多くの戦略の場合よりも長期間にわたってポジションを保持することになります。潜在的な価格変動を利用して利益を最大化するために、より長い期間が必要です。
9. ブレイクアウト戦略
ブレイクアウトトレーダーは、価格が特定の水準からブレイクアウトしたときに取引に参加することを狙い、その際の一方向への急速な値動きを利用して利益を出すことを目指します。ブレイクアウトは、上向きまたは下向き(ブレイクダウン)のどちらでも発生する可能性があります。この設定には、トレンド反転のブレイクアウトや継続パターン、移動平均を超えるブレイクアウト、あるいは価格が新たな高値または安値トレンドを確立する場合などが含まれることもあります。
10. プルバック戦略
プルバック戦略は、分析にトレンドとパターンの特定を組み込むものです。その目標は、トレンドが主な方向性を再開しようとしているときに、トレンドに乗ることです。この戦略は上昇トレンドでも下降トレンドでも使用できます。主要なサポートレベルの熟練した分析と、いつ反発が終わり、反転が始まる兆候が出るかを判断する技術が必要です。
仮想通貨のデイトレードを成功させるための3つのヒント
ボラティリティの高い仮想通貨のデイトレードは予測が非常に難しいため、開始前に明確な目標を設定し、リスク許容度を決めましょう。
デイトレードでは価格が急速に変動する可能性があるため、限られた数の仮想通貨(3~5種類程度)に集中しましょう。限られた取引量に時間と労力を集中させることで、これらの仮想通貨の1日の動きについてインサイトを得るのに役立ちます。
潜在的な損失を抑えるストップロス注文の設定や、あらかじめ決められたレベルでの利益確定など、適切なリスク管理手法を導入してください。
仮想通貨のデイトレードに関するよくある質問(FAQ)
1. 仮想通貨のデイトレードは高い利益が期待できますか?
これは個々のトレーダーによって異なります。ただ一般に、短い時間枠での取引は、長い時間枠での取引よりも複雑になると考えられます。したがって、デイトレードは資産を1日以上保有する場合よりも状況が複雑になります。
2. 仮想通貨の最良のデイトレード戦略は何ですか?
普遍的に優れたデイトレード戦略はありません。トレーダーごとに個性があり、本人の理解と許容度のレベルに合わせた戦略を選択する必要があるためです。独立系トレーダーが広く使用している戦略には、テクニカル分析、スキャルピング、レンジ取引などがあります。
3. どの仮想通貨がデイトレードに最適ですか?
これはトレーダーの経験レベル、スキル、アカウントの規模などのさまざまな要因によって異なります。一般に、取引高が比較的大きい通貨を選択して、リスクの低い環境で取引を開始することをお勧めします。検討の開始点としては、(時価総額に基づく)上位30位の仮想通貨のリストを検討することをお勧めします。このリストから好みに合う選択肢をさらに絞り込むことができます。日中のボラティリティが高い方が望ましい場合、リストを広げて時価総額30位~60位の仮想通貨も検討できます。
#Bybit #TheCryptoArk