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初心者ガイド:暗号資産のオプション取引とは?

中級者向け
オプション
Apr 13, 2022

あらゆる金融市場において、契約は物事の基本を形成しています。これは、特定の目的やニーズに応えるために作られた法的拘束力のある合意です。金融市場における契約は、市場の公正性、透明性の確保を前提とし、利益を生み出すために作られるもので、「金融商品」とも呼ばれます。

そのような商品の中で、利益を上げるために開発されたのが「オプション」です。他のデリバティブ取引と同様に、オプション契約は原資産の価格と連動しています。すなわち、その価値は他の金融商品の価格(現物またはデリバティブ)に大きく依存しています。オプションとは、あらかじめ決められた期日に、あらかじめ定められた価格で、またはその満期前に、金融商品を売買する権限を与える契約のことをいいます。

暗号資産にオプションはあるの?

暗号資産はその誕生から現在にいたるまで、従来の金融プロセスや金融商品の仕組みを取り入れながら普及してきました。オプションは暗号資産エコシステムに導入された最新の商品の一つです。

中でも、オプションは既存のリスクに対するヘッジとしての機能を持ち、市場のエクスポージャーを拡大できるほか、ポートフォリオの多様化や、利益率の向上などにも役立つことから、多くの暗号資産投資家に好まれています。

さらに、オプションではレバレッジを使用することができるため、少額の資金でより大きなポジションを建てることが可能です。オプション取引への投資は少額から始めることができ、他の種類の取引に比べて、投資収益率(ROI)が非常に高くなります。

このような様々なメリットによって、暗号資産のオプション取引市場は、過去数年で驚異的な成長を遂げています。暗号資産オプションの権利行使前契約の価値は、総額で数十億ドルに相当します。

暗号資産コールオプションとは何か?

暗号資産オプションは、プレミアムの支払後、満期日またはその前にあらかじめ定められた価格で原資産となる暗号資産買う権利または売る権利(義務ではない)を与えるものです。オプショントレーダーは投機(資産価値が自分に有利に推移した場合に利益を得ること)を目的として、投資家はヘッジを目的として利用しています。暗号資産市場の最大の特徴でもあるボラティリティの高さとの相性が良いため、多くの投資家が暗号資産オプションを利用しています。現在、最も人気のある暗号資産オプションは、ビットコインオプションETHオプションです。まずここで、各用語の定義を見ておきましょう。

プレミアム: 契約によって定められた権利を得るために支払う金額です。

行使価格: 原資産を買う権利(コールオプション)、または原資産を売る権利(プットオプション)を有する価格(あらかじめ決めておく将来の売買価格)を指します。

コールオプションとプットオプション

オプション契約には、「コール」と「プット」の2種類があります。

コールオプション

コールオプションの場合、コールオプションの購入または売却のいずれかを選択することができます。

コールオプションの購入

コールオプションを購入する場合、基本的には契約満期前または満期時の市場価格にかかわらず、あらかじめ決められた価格で原資産を購入することになります。 

金融市場で投機を行う場合、契約満期時の市場価格が行使価格を上回ると判断した場合に、コールオプションを購入することができます。つまり、オプションの価値が上がることを予想し、その価値が上がれば上がるほど、より多くの利益を得ることができるのです。

コールオプションの購入例

鈴木さんは、1週間後に期限切れとなるイーサリアムのコールオプションを、25USDTのプレミアム、3,000ドルの行使価格で購入しました。ETHの価格が3,000ドルから3,200ドルに上昇したので、鈴木さんは満期前にポジションを決済することしました。この時、鈴木さんの総利益は175ドルになります。計算式は以下の通りです。純利益 = 行使時の市場価格 - 行使価格 - プレミアム

175ドル = 3,200ドル - 3,000ドル - 25ドル

コールオプションの売却

一方、コールオプションの売却(ネイキッドコール)は、トレーダーが原資産の価格が横ばい、あるいは下落すると予測した場合に実行します。 

コールオプションの売却例

上記の例では、満期時の価格が行使価格の3,000ドルを下回らず、買い手が契約を行使しない限り、プレミアムの全額分の25USDTを回収することができます。

コールオプションでは、契約満期前または満期時の市場価格にかかわらず、あらかじめ決められた価格で、原資産を買う権利が与えられます。 

プットオプション

プットオプションでは、契約満期前または満期時にあらかじめ決められた価格で原資産を売ることができます。その時点での市場価格は、この権利に影響しません。

プットオプションの購入

プットオプションもコールオプションと同じように売買できます。プットオプションを購入すると、基本的には、契約満期前または満期時に、原資産をあらかじめ決められた価格で売ることができます。その時点での市場価格の影響は受けません。 

マイニングや投資によるリターンを狙う場合、資産価値を実質的に維持するために、プットオプション契約を結ぶことができます。また、投機では原資産価格が行使価格よりも低くなると見込まれる場合にプットオプションを購入し、購入時よりも低い価格で買い戻すことによって利益を得ることができます。

プットオプションの購入例

加藤さんの例を見てみましょう。加藤さんは1BTCの価格が48,000ドルだったとき、100BTCを持っていました。価格が下落すると予想した加藤さんは、プットオプションを暗号資産取引所から購入し、2週間後に行使価格45,000ドルで資産を売却する権利を得ました。BTCの価格が40,000ドルになったとき、加藤さんはその権利を行使し、結果として5,000ドルの利益を得ることができました。

プットオプションの売却

一方、プットオプションの売却(ネイキッドプット)は、トレーダーが原資産の価格が上昇すると予想した場合に実行されます。

プットオプションの売却例

上記の例をもう一度考えてみましょう。加藤さんにオプションを売却するトレーダーは、BTCの価格が上がるこを見込んで売却することになります。満期日に1BTCの価格が48,000ドル以上、例えば50,000ドルに上昇した場合、オプションは放棄され、売り手はプレミアムを全額確保することができます。

暗号資産オプションの仕組み

オプション契約は通常、トレーダーと取引所の二者間で結ばれます。オプションの売り手は、満期日と行使価格を指定して、暗号資産取引所に対し、契約注文をします。そして、取引所が買い手と注文のマッチングをするのです。

公平性を守るため、プレミアムの費用は、契約満期までの残存期間と、原資産のボラティリティ、市場価格、および金利によって決まります。

ITM、ATM、OTMの違い

  • ITM:「インザマネー」の略語で、この言葉は、資産の価格がオプション契約者に有利であることを意味します。つまり、市場価格がコールオプションの行使価格より高いか、あるいは現在の価格がプットオプションの行使価格より低い場合です。

  • ATM:「アットザマネー」の略語で、これは行使価格と現在の価格が同じであることを意味します。

  • OTM:「アウトオブザマネー」の略語で、コールオプションの場合、行使価格が市場価格より高い場合を指します。一方でプットオプションの場合、OTMとは行使価格が市場価格より低いことを意味します。

暗号資産オプションの一般的な戦略 

ブルプットスプレッド

これは、オプション取引で一般的に利用されている戦略です。その名が示すように、ブルプット戦略は、トレーダーや投機家が原資産の価格が上昇すると見込む場合に利用します。 

ブルプットスプレッドの別の方法として、OTMを利用したものもあります。同じ満期日(DTE)で、高い行使価格のプットオプションを売り、低い行使価格の別のプットオプションを買うというものです。

ここでポイントとなるのは、権利行使価格が高い方を売り、権利行使価格が低い方を買うという点です。これはかなりリスクの低い戦略ですが、決して無縁とは言えません。つまり、2つの行使価格の差から受け取ったクレジットを差し引いた金額によっては、損失を受ける可能性もあります。

満期時に資産価格が行使価格を下回っていた場合、両方のプットオプションはITMとして満期を向かえ、損失が計上されることになります。

ブルプットスプレッドの例

例えば、1トークンあたり48,000ドルで売られているビットコインの価値が、1ヶ月後に上昇すると見込みました。行使価格50,400ドルで、1ヶ月後に満期を迎えるプットオプションを2,400ドルで売り、行使価格45,600ドルで1ヶ月後に満期を迎える別のプットオプションを800ドルで買いました。この場合、2つのオプションによって、1,600ドルの純利益(2,400ドル - 800ドルのプレミアム)を得たことになります。これは、「ネットクレジット」と呼ばれる戦略です。

もし、1ヶ月後の満期日にビットコイン価格が45,000ドルから48,000ドルまで下落した場合、この投資家は損失を被ることになるでしょう。ビットコインの価格がさらに弱気になり、45,000ドルを下回ると、この投資家は-1,400ドル(45,000ドル - 48,000ドル + 1,600ドル)を上限とする最大損失を被ることになります。

ベアプットスプレッド

この戦略は、ブルプット戦略の逆バージョンです。投資家が資産に対し、やや弱気になっている場合、コストとリスクを低減し、同時に利益を得る機会を提供するベアプットスプレッド戦略が適切な戦略となります。

この戦略を実行するには、プットオプションの買いを購入すると同時に、行使価格がより低いプットオプションの売りを購入します。2つの契約は、同じ資産で同じ満期日である必要があります。

ベアプットスプレッドの例

例えば、資産が65ドル前後で取引されている場合、その価格(またはその前後)の行使価格のプットオプションを5ドルで買い(プレミアムとしては500ドルに相当)、一方で行使価格が60ドルの別のプットオプションを3ドルで売る(プレミアムとしては300ドルに相当)ことができます。なお、この2つのオプションは同時に執行されるものです。 

そのためには、スプレッドとして注文を出すことが理想的です。この場合、純負債はスプレッドあたり2ドルです。また、プレミアム200ドルが、計上されうる最大損失額となります。価格が50ドルに下落した場合、総スプレッドは5ドル、純スプレッドは3ドル(300ドルに相当)です。

アイアンコンドル

この戦略では、プット2つ(ロングとショート)、コール2つ(ロングとショート)の計4つの契約を使用します。これらは全て4つの異なる行使価格と同じ満期日が設定されます。この戦略では、低いボラティリティ(価格の小さな動き)から利益を得ることができます。 

以下はその一例です。

  1. 300ドルでコールを1つ購入 

  2. 280ドルでコールを1つ売却(20ドルの差) 

  3. 270ドルでプットを1つ売却 

  4. 250ドルでプットを1つ購入(20ドルの差)

アイアンコンドルの最大利益は、4つのオプションのポジションを建てる際に受け取ったプレミアムの合計です。一方、損失はロングプットとショートプットの行使価格の差、あるいはロングコールとショートコールの行使価格の差となります。手数料を加算し、受け取ったプレミアムを差し引いた額が、最大損失額となります。

アメリカンタイプとヨーロピアンタイプの違い

アメリカンタイプのオプション契約は、契約書に記載された満期日前に決済することができます。一方、ヨーロピアンタイプのオプション契約では、契約期日満期後に決済することが義務付けられています。

現金決済と現物決済の違い

現金決済型のオプション契約では、契約が有利な場合、約定時に原資産の現金同等物で決済される決済手続きが採用されます。しかし、現物決済型の契約では、原資産を用いて約定する決済方式が用いられます。 

例えば、136ドルの行使価格で、10枚のライトコインを購入できるコールオプションのポジションを決済した際、市場価格が170ドルだったとします。この場合、総利益として340ドルを受け取る代わりに、利益で購入できるライトコイン2LTC(170ドル + 170ドル = 340ドル)を受け取れます。

暗号資産オプションと株式オプションの違い

株式オプション取引では、1契約が100株に相当します。従って、株価が1ドル上がると、投資家は1ドル × 100株 = 100ドルの利益を得ることになります。 

しかし、暗号オプション取引に関しては少々異なります。BTCを例にすると、1契約=1BTCとなり、BTCの価格が1ドル上がると、得られる利益は1ドル × 1コイン = 1ドルとなります。同じ100ドルを手に入れるには、投資家は100契約または100BTCを購入しなければなりません。 

オプション契約と先物契約の違い

この2つのデリバティブ(金融派生)商品は、原資産と連動しており、それに投機することができるという点で、非常によく似ています。また、トレーダーはロング(コール)およびショート(プット)のポジションを取ることができます。

しかし、それぞれの仕組みには若干の違いがあります。詳しく見ていきましょう。

オプション契約では、現在の市場価格とは異なる価格で原資産を購入することができます。また、原資産を売買することは、あくまで契約者に与えられた「オプション」であり、行使するか放棄するかを選択することが可能です。しかし先物契約では、売買は契約者に課された義務であり、自身の裁量で放棄することはできません。つまり、市場が先物契約に不利な方向に推移した場合でも、ポジションは満期日に決済されます。先物契約はスマートコントラクトの一種であるため、自動的に執行されるのです。

オプション契約と比較すると、先物契約は「ハイリスク・ハイリターン」であるのが特徴です。オプション契約の場合、最大損失額は支払ったプレミアムに限定されるのに対し、先物契約の場合、損失額は満期日に価格がどれだけ推移したかによって決まります。つまり、先物契約の方が、大きな賭けとなります。大きな利益を得られる可能性がある反面、大きな損失を被る可能性もあるということです。

オプション契約と無期限契約の違い 

無期限先物契約(または「無期限契約」)は、満期日が設定されていない契約です。無期限契約では、トレーダーは利益を上げた際に、いつでもポジションを決済できます。時には、当該ポジションを建てる際に適用したレバレッジにより、市場の動向が予測から外れて推移した場合、ポジションは強制決済される場合もあります。

つまり、無期限契約は強制的に決済される満期日がなく、全て現金で決済されるので、アメリカンタイプの契約と捉えることができます。

暗号資産オプションの取引所

  • Deribit: 暗号資産オプション市場としては、最大の取引高を誇ります。BTC、ETHのオプション市場で、オプション契約は満期時にのみ決済されます。オプション契約は、原資産の現金同等物を契約者に送金することにより、現金で決済されます。また、オプショントレーダーは最大50倍のレバレッジを選択することができます。

  • OKEx: BTCやETHのオプションを取引できます。Deribitとは異なり、原資産となる現物で決済が行われますが、満期日前の決済はできません。

  • CME: シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)は最大の暗号資産先物取引所ですが、オプション契約も扱っています。現金決済を採用し、満期時にのみ約定します。

潜在的なリスク

  • 経験や技術、運にかかわらず、未来の相場の動きを正確に予測することは誰にもできません。常にリスクを想定して取引を行うことが大切です。

  • オプション契約のレバレッジでは、わずかな値動きにより、プレミアムを失う可能性があります。資産家が多額の投資をすることにより、相場が急変動し、トレーダーにとって脅威となる場合もあります。

  • また、ファンダメンタルズの変化により、原資産の価格が大きく変動することもあり得ます。訴訟、スキャンダル、セキュリティの侵害などあらゆる要素が、値動きに影響を与える可能性があるのです。

最後に 

暗号資産金融は比較的新しく、現在も成長過程にある分野です。関連規制の少なさからもはっきりと読み取れるように、複雑な金融商品は、ブロックチェーンベースの資産領域で、まだ足場を固めている段階にあります。しかし、暗号資産はこうした従来の金融世界に革命をもたらす存在になり得ます。

実際、オプション取引は暗号資産のエコシステムにおいて、広く人気を集めています。暗号資産オプションでは、高い利益を獲得できる可能性があり、そのリスクは計算されたものです。皆さんも、暗号資産オプションに投資して、ポートフォリオの分散化を始めてみませんか?

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