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暗号資産取引のためのMT4インジケーター10選

初心者向け
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コンピューターが普及する前は、テクニカル分析は金融資産の取引で使われていました。当時のヘッジファンドや投資銀行は、定期的にテクニカル指標を市場予想のために利用していました。現在では、専門家が利用していたものと同じインジケーターを MetaTrader4(MT4)で使用することができます。

ここでは10種類のお勧めMT4インジケーターをご紹介、お気に入りの暗号資産取引で使ってみましょう。

MT4インジケーターとは?

MT4インジケーターとは、MetaTraderプラットフォームに搭載されているテクニカル分析ツールであり、市場動向や相場の動きを把握するのに役立ちます。

MetaTraderプラットフォームでは、人気かつ便利なテクニカル指標を無料で利用できます。お好みの取引スタイルと設定に応じたインジケーターを選択でき、指標を参考にすることで、価格の変動を合理的に予測することが可能です。

テクニカル指標は、主に「トレンド指標」と「オシレーター」の2種類があります。トレンド指標は、現行の市場データを基に作成されており、一方のオシレーターは、市場相場の反転を予測するために使用されます。トレンド指標とは違い、オシレーターは事前にトレンドの転換点を予測するための指標なのです。

移動平均(MA)などのいくつかのMT4インジケーターは価格チャートにダイレクトに表示されますが、他のインジケーターは別画面で表示されます。インジケーターごとに、価格チャートに表示するかどうかをカスタマイズすることができ、どこに、どのように表示させるか、といった細かな設定も可能です。

テクニカル分析に明るい方は、MT4の画面に複数のインジケーターを設定してみましょう。一般的に、2種類目か3種類目のインジケーターを利用して、価格変動の推移を確認します。暗号資産取引のためにMT4をダウンロードしたばかりの方は、なぜテクニカル指標が有効なのかという点についてもこの後解説しますので、ぜひ続きをご覧ください。

MT4インジケーターの使い方

MT4インジケーターはMetaTrader4プラットフォーム独自の機能です。MT4のリリースによって、トレーダーの間で頻繁に使われているテクニカル指標のほとんどすべてを無料で利用できるようになりました。これらのインジケーターには自動売買システムがあり、 取引ボットを作成することができます。

強固な取引ツールとしての実用性を備えているだけではなく、変動が激しく、予測不可能な市場においても正しい決定ができるよう導いてくれるMT4インジケーターは、暗号資産トレーダーにとってなくてはならないツールとなりました。

株式、FX取引やその他の金融市場と異なり、暗号資産取引では情報が不足しがちです。市場情報の不足を補うためにも、プライバシーの保護やブロックチェーンの安全性を誇るMT4インジケーターを利用しましょう。

たとえEfficient Market Hypothesis(効率的市場仮説)(EMH)を信じているとしても、MT4インジケーターを使用して完璧なエントリーポイントとエグジットポイントを見つけることができれば、これはトレーダーとしての強みになります。テクニカル分析を行うことで取引戦略の損益比率が実質的に上がるため、多くのトレーダーにとってMT4インジケーターは成功に欠かせないものなのです。

暗号資産取引のための最強「MT4」インジケーター

MetaTraderプラットフォームには、初期設定でMT4インジケーターが実装されています。またそれ以外にも、MetaQuotes official websiteから何百種類ものインジケーターをダウンロードできます。ここでは、お勧めのインジケーターをいくつかご紹介しましょう。シンプル設計のMT4インジケーターについてはもうお聞き及びかもしれませんが、どのインジケーターも個別に動作できる実用性に長けた必須ツールです。

Accumulation/Distribution(蓄積/配信)インジケーター

A/D(蓄積/配信)インジケーターは、最も人気のある数量変化に基づいたMT4インジケーターです。資産に出入りするお金の流れを蓄積して計測することで、簡単にいうと、他のトレーダーがどれだけ買いや売りを行っているのかを分析することができるツールとなっています。そのコンセプトは、現在のトレンドはいつか終了するという市場心理に基づいています。そのため、A/D(蓄積/配信)ツールは数量の変化を計測することで、トレンドの終わりを表すことができます。

A/D(蓄積/配信)インジケーターを使って強気市場の見通しを立ててみましょう。理論的には、資産のお金の流れが多くなることで、結果として強気な市場になります。投資家が強気な場合、数量は高くなるか一定に保たれ、上昇トレンドが生まれます。

一定のしきい値に達するとトレーダーは利益を確定し、それにより上昇価格に圧力がかかり、数量は強制的に減少します。上昇する価格と減少する数量の間のダイバージェンスがまさに A/D(蓄積/配信)インジケーターが示す指標です。つまり、ダイバージェンスは反転の兆しと捉えることができるのです。

Average Directional Moving Index(平均方向性指数)

Average Directional Moving Index(平均方向性指数)(ADX) は、現行のトレンドの強さを示す指標です。ADXの値は0から100で表示され、弱気から強気の市況範囲を示します。開発者である J. Welles Wilder Jr.氏によると、ADXの値が25を超えるとADXラインの売買方向は強いトレンドを示します。つまり、値が50以上だととても強いトレンドを、値が75以上だと極端に強いトレンドを反映しています。

ADXの値が25を下回っているときは、市場は通常安定しており、どちらの売買方向にもトレンドの傾向がありません。ADXインジケーターを使用する場合、MT4ではADXは自動的に2種類のADXから派生した方向性インジケーター(DI)ラインと同じ画面に表示されます。

DIラインを使っていつ買うべきか(+DIが-DIより高いとき)、またはいつ売るべきか(+DIが-DIより低いとき)を把握しましょう。

Bulls and Bears Power (ブルパワーとベアパワー)

名前が示すとおり、ブルパワーベアパワーは2種類の異なるMT4インジケーターです。どちらのインジケーターも将来の市場トレンドを予測するためのものです。個別に表示させるか、同じグラフに表示させるか、必要に応じて設定できます。

このインジケーターは比較的新しいコンセプトで、ロシア系アメリカ人のプロトレーダー、精神科医、そして『Trading for a Living』(1993)の著者でもあるAlexander Elder博士によって開発されました。実用的観点から言うと、これはかなり簡単で使いやすいインジケーターだといえます。ブルパワーインジケーターを使うときは、緑のバーが0ラインより上にある場合、潜在的な上昇トレンドの始まりが示されています。一方で、ベアパワーインジケーターを使うときは、赤のバーが0ラインより下にある場合、将来的な下落トレンドを示しています。

トレーダーはEMA(指数平滑異動平均)を使い、インジケーターの平均期間を13日に設定します。Elder博士は正確な描画のため、EMA13日を推奨しています。例えば、EMA13日の移動平均が上昇トレンドの場合、緑のバーは0ラインを超えるか、またはマイナスなのに増加し、ブルパワーは優勢になる可能性が高いです。  

ベアパワーの場合はその逆になります。EMA13日が下落傾向の場合、EMA13日移動平均が下落トレンドで赤のバーが0ラインを下回るか、またはプラスなのに減少したときには、暗号資産をショートすることをお勧めします。

Force Index(勢力指数)

Force Index(勢力指数)はAlexander Elder博士によって開発された、もう1つの便利なオシレーターです。端的にいえば、回復市況の勢いの強さを計測するツールです。総体的に価格変動の売買方向、価格の変化の幅、取引高を計算します。

また、MetaTrader4プラットフォームのパラメータは初期設定の期間13日で行うことを推奨していますが、デイトレーダーなど短期志向のトレーダーの場合は、投資スタイルに合わせて期間を調整することができます。

勢力指数のチャートは、市場価格の売買方向の急変動を視覚的に把握できます。市場が反転するタイミングを予測したいなら、Force Index(勢力指数)は最も適したMT4インジケーターです。また、このインジケーターは全体的な市場トレンドを計測するにも有効です。値が0ラインを上回ると市場は上昇トレンドにあり、逆に下回ると下落トレンドにあります。

On Balance Volume(オンバランス数量)

On Balance Volume(オンバランス数量) (OBV) はシンプルなインジケーターで、ダイバージェンスの発生をきれいに分かりやすく示してくれます。価格が上昇した場合にはその日の数量がOBVの累計に加算され、価格が下落した場合にはその日の数量はOBVの累計から減算され、売買圧力を計測します。

終値が前日より高い場合、インジケーターは前日の数量に加算します。終値が前日より低い場合、その日1日の数量を減算します。

On Balance Volume(オンバランス数量)はシンプルな計算式を使用しており、資産の実際の価格チャートとOBVチャートは類似した動きを見せることがほとんどです。チャートの曲線が似ていようとなかろうと、トレーダーは常にダイバージェンスを探しています。例えば、市場が上昇トレンドの場合はOBVのより高い底値を探します。市場が下降トレンドの場合はより低い高値を探します。

Oscillator of a Moving Average(移動平均オシレーター)

トレンドに敏感な方は、OsMA(移動平均オシレーター)をお試しください。OsMAは主に移動平均収束拡散法(MACD)インジケーターを基にしたテクニカル指標です。移動平均線と異なり、OsMAは取引の開始と終了の合図を早く示してくれます。OsMAの上昇は強気市場を表しており、OsMAがマイナスからプラスに転じた場合、これは価格がまもなく変化することを意味します。

短期投資志向の暗号資産トレーダーは、OsMAを使ってトレンドの傾向を把握することができます。上昇トレンドの傾向が出ていた場合、OsMAのプラスのバーを参考に取引を開始し、逆もまた同様に対応することができます。OsMAのバーが強さを失い減ってきている場合は取引を終了しましょう。不安定な市場においては、これを活用してリスクを減らし、不確かな条件下でもわずかな利益を上げることができます。

Heikin Ashi(平均足チャート)

Heikin Ashi(平均足チャート)はMt4インジケーターの中でもその良さがあまり知られていない、「知る人ぞ知る」ツールです。ですが、これを正しく使用すれば、大きな利益を得るチャンスとなります。日本の相場師が使っていたという平均足チャートはローソク足より滑らかなグラフで、見やすくわかりやすいため、より良い取引決定を行うことができます。

MT4プラットフォームでは、平均足チャートを既存のローソク足チャートに重ねて表示するか、別画面で個別に表示することもできます。表示してみると、平均足は価格の動きを平均しているので、滑らかなチャートになっていることが分かります。

ひげのない平均足のローソクは、どちらの方向性においても強いトレンドを示しています。小さい実体を持つ、上下にひげのあるローソクは反転の兆しを表します。

ローソクの使い方はたくさんあります。長期投資についてローソクを使うときは、平均足のローソクの最安値でストップを設定できます。スイングトレーダーは設定したストップにいつ到達したとしても、その逆の売買方向のときに取引を開始できます。その兆候がチャートに表れない場合は、この時点で取引を再開することもできます。

平均足は平均値を示しているので、その価格は実際の投資価格とは異なることを覚えておきましょう。そのため、平均足チャートは別画面で確認することをお勧めします。

Zig Zag(ジグザグ)

Zig Zag(ジグザグ)はシンプルであるものの非常にパワフルなスイングトレーダーのためのインジケーターです。ジグザグはすぐにチャートのサポートとレジスタンスエリアを示してくれます。初期設定ではインジケーターは5%に設定されていますが、10%以上の設定が理想的です。10%以下の設定では、どれも同じ棒グラフを描画しているように見えてしまうからです。

また、主にサポートとレジスタンスレベルに頼っているトレーダーにとって、ジグザグは有効なツールです。シンプルなMT4インジケーターとはいえ、取引を開始するときには非常に役立つインジケーターです。通常の取引状況では、ダブルボトム、ヘッドアンドショルダー、トリプルトップなどの取引パターンを把握できます。

Gator Oscillator(ゲーターオシレーター)

Bill Williams氏が開発したGator Oscillator(ゲーターオシレーター)は、トレンドを視覚化するために使われます。緑と赤の2種類のバーと両側にゼロラインがあります。開発者によると、市場は常にアリゲーターのように、寝て、起きて、食べて、満腹でいるかのどれか、4段階の活動を示しています。

ゼロラインの上の2種類の赤のラインは活動が少ないか、活動していないことを示します。また、それは市場が現在レンジ内にないことを意味します。同様に2種類の緑のラインはゼロラインのどちら側にあっても市場のトレンドを表しています。これは取引を開始する合図です。

オシレーターの緑と赤のラインは反転を示します。この合図で利益を得るか、取引を終了するか判断できます。Gator Oscillator(ゲーターオシレーター)は有効なツールですが、Bill Williams氏は、氏が開発した取引決定を目的とした他の定評のあるインジケーターと併せて使うべきだと主張しています。

MT4プラットフォームでは、この他にもBill Williams氏が開発した主要なインジケーターをご利用いただけます。その中にはAccelerator Oscillator(ACオシレーター)、Alligator(アリゲーター)、Awesome Oscillator(オーサムオシレーター)、Fractals(フラクタル)とMarket Facilitation Index(マーケットファシリテーションインデックス)も含まれます。

Relative Vigor Index(相対活力指数)

Relative Vigor Index(相対活力指数)(RVI) はモメンタムインジケーターで、上昇トレンドの間は終値が始値よりも高く、下落トレンドの間は低くなる理論を基にしています。それに基づき、トレーダーはRVI の数値がモメンタムを得た強気な市場では上がり、弱気センチメントに変わると下がると予測します。

このMT4インジケーターは、相場が一定のレンジで推移している暗号資産取引において非常に効率的です。この指標を使えば、直感だけでトレンドの市場を判断せず、さらに反転の兆しを予測して取引を終了させることができます。緑のラインが赤のラインと交差しているときは上昇トレンドを示しており、取引を開始するチャンスです。同様に、下落トレンドのときはその反対になります。

RVIインジケーターの使い方はこれだけではありません。例えば、RVIインジケーターと短期的な価格の間で変化を予測するダイバージェンスは、トレンドを変化させます。これは、市場価格のより高い高値を示し、強気市場のRVIより低い高値を伴います。また、弱気市場のより高い底値を伴った市場価格はより低い底値を示します。

MT4インジケーターの設定

MetaTrader4(MT4)は使い勝手の良い便利なインターフェースです。下記の手順に従って、チャートにインジケーターを設定してください。

  • MT4プラットフォームの上部にあるメニューから「挿入」をクリックします。
  • ドロップダウンリストから「インジケーター」を選択します。リストは類似のMT4インジケーターとグループ分けされている場合がございます。リストに「インジケーター」がなかった場合、サブメニューにある「カスタム」をお試しください。
  • 「インジケーター」を選択すると、ポップアップ画面が現れます。インジケーターの設定を変更しない場合は、初期設定のままご利用ください。変更する場合は、お好みで取引パラメータと色を変更できます。
  • 変更できたら「OK」をクリックして、チャート画面にインジケーターを設定してください。
  • 他のウェブサイトから、カスタムされたインジケーターをダウンロードした場合は、ドロップダウンリストの「データフォルダ」を選択する前に、メニューの「ファイル」をクリックしてください。
  • フォルダーから適切なMQL4ファイルを選択します。完了したら、ターミナルを再起動し、新しく追加したインジケーターが「カスタムインジケーターリスト」にあるか確認してください。

まとめ

取引チャートに設定できるMT4インジケーターは何種類もあります。取引スタイルに関わらず、複数のインジケーターを追加することで取引を有利にできます。追加入力も不要で、個別に動作できるMT4インジケーターをぜひご活用ください。