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ビットコインドミナンスに応じた仮想通貨の取引戦略とは?

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ビットコイン
9 Th11 2023

投資対象となりうる仮想通貨(暗号資産)の数が飛躍的に増加する中で、トレーダーは仮想通貨市場のトレンドを発見できる新しいツールや指標を常に模索しています。ビットコイン(BTC)ドミナンス比率はそのような指標の1つです。アルトコイン市場、強気相場、ビットコイン上昇などのトレンドを把握して、取引機会を発見することが主な用途となっています。

この記事では、ビットコインドミナンスとその由来、ビットコインドミナンスに影響を与える要素、そしてビットコインドミナンスを用いて発見できる取引機会について論じます。

ビットコインドミナンスとは?

ビットコインドミナンスとは、仮想通貨市場全体の時価総額に対するビットコイン時価総額の比率です。「ビットコインドミナンス比率」や「ビットコインドミナンス指数」とも呼ばれています。この比率をビットコイン自体のトレンドと比較すると、現在の市況下における投資機会について多くを知ることができます。

仮想通貨市場の時価総額とは?

ビットコインドミナンスを正しく理解するには、まず時価総額について学ぶことが必要です。この用語は各仮想通貨の市場価値の合計額を指しており、市場で流通している通貨またはトークンの数に現在の市場価格を乗じることにより算出できます。たとえば、現在流通しているビットコインの数が19,348,206枚であり、その単価が29,992.29ドルだとすると、ビットコインの時価総額は次の計算式で算出できます。

ビットコインの時価総額 = 流通しているビットコイン数 × ビットコイン価格

= 19,348,206 (枚) × 29,992.29 (ドル)

= 580,297,005,331.74 (ドル)

ビットコインドミナンスの算出方法は?

ビットコインドミナンスは、ビットコインの時価総額を仮想通貨全体の時価総額で割り、それを100倍してパーセント数値とすることで算出できます。

本稿執筆時点(2023年4月18日)のビットコインドミナンスを以下の数値から算出すると、45.27%となります。

指標

ビットコイン

仮想通貨市場

時価総額

580,297,005,331.74ドル

1兆2,700億ドル

この比率は仮想通貨市場全体の価値に対するビットコインの価値を表しています。

ビットコインドミナンスと時価総額との関係

ビットコインドミナンスの算出には、ビットコインの時価総額と仮想通貨市場全体の時価総額を用います。

この算出に用いた2つの数値を特定して、チャートに表示するのは簡単です。下の図はそれぞれビットコインの時価総額(左)、仮想通貨市場全体の時価総額(中)、ビットコインドミナンス(右)を表しています。

全体として、仮想通貨市場全体の時価総額のチャートは、形状と方向がビットコイン時価総額のチャートと同じになります。その理由の1つは、ビットコインが世界初の仮想通貨であり、しかも最大かつ最も有名な仮想通貨であることから、仮想通貨市場全体に対する影響力が大きいためです。したがって、仮想通貨取引を新たに始めようとする参加者は、ビットコインが最も有名だからという理由により、ビットコインの買いから始めるのが普通です。

ビットコインドミナンスに影響を与える要因

ビットコインが最初に創出された2009年の時点では、そのドミナンスはほぼ99%でした。それ以来、この数値は劇的に変化しています。ビットコインドミナンスに影響を与える主な要因は以下のとおりです。

ビットコインの価格変動

ビットコインの時価総額は、ビットコインドミナンスを算出する際の分子です。マイニング可能なビットコインの数はわずか2,100万枚であることから、市場で流通する数はかなり安定しています。そのため、ビットコインの時価総額に対して最も影響の大きい要因は価格です。

ビットコインの価格と時価総額との関係をチャートに示すと、上図のようになります。

時価総額の動きがビットコイン価格の動きと密接に連動しており、よく似ていることに注目してください。

ビットコイン価格が上昇トレンドにあると、時価総額もそれに比例して上昇トレンドをたどります。

ただし、ビットコインの時価総額が上昇トレンドにあるからといって、ビットコインドミナンスが上昇しているとは限りません。それは、ビットコインの時価総額がビットコインドミナンスの分子にすぎないからです。

ビットコインの時価総額が変化するスピードはアルトコインの時価総額と比較されます。これはビットコインドミナンスに影響を与える2番目に大きな要因です。

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アルトコイン時価総額の変動

「アルトコイン」という用語はビットコイン以外の仮想通貨を指しています。ピアツーピア決済を可能にする目的で創出されたビットコインとは異なり、アルトコインは非常に幅広いユースケースを目的として創出されています。その例としては分散型金融(DeFi)、非代替トークン(NFT)、リアルワールドアセット(RWA)などがあります。

ステーブルコインの利用の増加

仮想通貨に対する需要の増大に伴い、ステーブルコインUSDC、USDT、BUSDなど)を発行して仮想通貨市場に参入する参加者が増加しています。これらのステーブルコインが発行されると時価総額は増加し、さらにアルトコイン市場全体の時価総額も増加します。

また、市場の変動が激しい時期には、参加者が利食いを行ってステーブルコインで資金を留保しようとすることがあります。あるいは、参加者がステーブルコインの形で資金を留保して市場への投入に備えることもあり、その場合ビットコインドミナンスは低下します。

市況:強気か弱気か

通常、強気相場では市場参加者がリスク選好的かつ投機的になり、アルトコインに資金を投入して価格上昇から利益を得ようとするため、ビットコインドミナンスは低下する傾向にあります。

反対に、弱気相場では、安全な退避先と考えられているビットコインで資産を保有しようとする市場参加者が増えます。その場合ビットコインドミナンスは増加します。

新しい仮想通貨

新しい仮想通貨が創出されて仮想通貨市場に流入すると、アルトコインの時価総額は当然に増加します。したがって、新しい仮想通貨のローンチ時には必ずビットコインドミナンスがわずかに低下します。

ビットコインドミナンスを用いた取引の方法

ビットコインドミナンスを用いて取引を行う方法は数多くあります。ビットコインとアルトコインとの比率を理解すれば、強力なトレンドを形成しているカテゴリーの把握が可能となり、取引機会の発見に役立ちます。また、ビットコインドミナンスの異常値を注視して取引に活用することもできます。

戦略1:アルトコインシーズンを把握する

「アルトコインシーズン」とは、ビットコイン価格と比較してアルトコインの価格が上昇する時期を表しています。通常、アルトコインシーズンはビットコイン価格が大幅に上昇した後に到来します。そのような上昇が起こると投資家は利益を他の仮想通貨に転換しようとするため、それがアルトコインシーズンに弾みをつけることになります。

まず、ビットコインドミナンスのトレンドを判定します。ビットコインドミナンスの表示にはTradingViewのチャートが利用できます。

次に、同じ期間におけるビットコイン価格のトレンドを判定します。

最後に、下の表を参考にして戦略的バイアスを決定します。

ビットコインドミナンス

ビットコインのトレンド

シグナル

上昇トレンド

上昇トレンド

ビットコインの購入

上昇トレンド

下降トレンド

アルトコインの売却

下降トレンド

上昇トレンド

アルトコインの購入

下降トレンド

下降トレンド

ビットコインの売却

バイアスを決定すると、価格変動ローソク足のパターンテクニカル指標などを用いて取引機会を発見できるようになります。

戦略2:異常な高水準や低水準にあるビットコインドミナンスを取引する

ビットコインドミナンスは2017年(ICOブーム)から2021年(Defiサマー)までの間に75%の最高値と35%の最低値を記録しました。この2つの値はビットコインドミナンスの異常値と考えられています。

このような異常値の取引は、投資家が採用できる1つの戦略です。ビットコインドミナンスが75%に向けて上昇している時期には、ビットコイン価格は間もなく下落すると予想できます。一方、ビットコインドミナンスが下落して過去最低水準に接近している時期には、ビットコイン価格の反騰が差し迫っていると予想できます。

ビットコインドミナンスが反転するリスクがある場合には、上の表を参考にして、どちらの市場に重点を置くべきかを判断することが可能です。

ビットコインドミナンスが過去の最高水準や最低水準に到達することはめったにありませんが、実際にそうなった場合は絶好の取引機会が得られる可能性があります。ただし、ビットコインドミナンスはそれらの水準を突破したこともあるので、リスク管理は重要です。

ビットコインドミナンスの歴史

2009~2016年

2009年にビットコインが初めてローンチされた時点では、投資対象となる仮想通貨は比較的少なく、仮想通貨市場はまだ小規模でした。当時のビットコインドミナンスはほぼ99%でした。4年後の2013年にはローンチを開始する仮想通貨が増え、ビットコインドミナンスは94%へとわずかに低下しました。

2017~2018年

2017年には状況が大きく変化しました。この年には、イーサリアムの価格上昇がイニシャルコインオファリング(ICO)ブームを引き起こし、多数の仮想通貨が市場でローンチしたのです。それらのICOに多数の人々が参加したことにより、アルトコイン時価総額の上昇は一層注目を集めました。

仮想通貨の価格が(市場参加者からの需要増大により)上昇すると、アルトコインの時価総額は飛躍的に増加し、ビットコインドミナンスは2018年に38%まで下落しました。

2019~2020年

ビットコインドミナンスの大幅な下落後には弱気市場が到来しました。ICOブームの中で生まれた多数のアルトコインが消滅し、アルトコインの時価総額は減少しました。一方、ビットコインは弱気相場における安全な退避先とみなされ、ビットコインに資金を回帰させる人々が増えました。このような市場環境はビットコインドミナンスの回復に寄与しました。

2021年

2021年にはDeFiサマーが到来し、アルトコイン市場の利回りに誘われた投資家がアルトコインに資金を移動しました。これによりアルトコインの時価総額は大幅に増加し、ビットコインドミナンスは50%を下回る水準まで下落しました。

2022年

2022年にはビットコインドミナンスが40~50%の水準で推移しました。アルトコインは、リアルワールドアセット(RWA)やDeFiアプリケーション(GMXなど)その他のユーティリティをもたらし、市場参加者は高い利回りを生むそれらの仮想通貨に資金の大半を引き続き配分しました。その結果、資金がビットコインに回帰することはほとんどなくなり、ビットコインドミナンスは比較的軟調となりました。

ビットコインドミナンスの問題点

ビットコインドミナンスは有名な指標ですが、それに反して多くの悪評も受けています。

常に増加し続ける仮想通貨の時価総額

これまで述べたように、新しい仮想通貨がローンチされるとビットコインドミナンスは下落トレンドをたどります。そのような新しいプロトコルやプロジェクトの構築とローンチは絶え間なく続いていることから、ビットコインドミナンスの長期的な信頼性については批判が集まっています。

時価総額指標の不十分さ

ビットコインの実際の時価総額については、計算上の時価総額より小さいのではないかという疑惑が生じています。そうした疑惑が生じるのは、市場に供給されたビットコインの一部が行方不明となっている可能性、あるいは古いウォレットに残ったまま放置されている可能性があるためです。

仮想通貨市場の複雑性を考えると、取引戦略を決定する際にビットコインドミナンスだけに頼ることはお勧めできません。ビットコインドミナンスを他の指標と併用すれば、市場のトレンドを正しく把握できる可能性があります。

終わりに

ビットコインドミナンス比率は、仮想通貨市場のトレンドを把握するツールとして優れています。ビットコイン価格と併せてビットコインドミナンス比率に注目することにより、市場のトレンドを把握して投資戦略を決定することが可能になります。

上で述べたように、ビットコインドミナンスという指標の利用にはある程度の短所があります。したがって、市場のトレンドと取引機会を正しく把握するには、他の指標と併用することを検討してください。

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