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メタバースとは何か? なぜ仮想通貨にとって重要なのか?

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2023年9月11日

メタバース構想を初めて思いついたのは、想像力豊かなSF作家でした。『スノウ・クラッシュ』や『ニューロマンサー』、『レディ・プレイヤー1』、『マトリックス』シリーズなどが代表的な作品です。「メタ」には「超越した」、「バース」には「ユニバース/世界」の意味があります。つまり、メタバースは現実世界を超えた時空へ私たちをいざなう存在です。実体性のある新たな空間や、仮想現実での新体験へ招待してくれます。

メタバースには、今までにない発想の拡張現実世界が広がっており、仮想空間で人々と会うことや、物理的な制約を超えて新領域を探索することができます。他者と連携して交流しながら、完全に没入感のある体験を堪能できるのです。

現在はメタバースの大部分をゲームプラットフォームが占めていますが、以下のように多様なツールや選択肢も登場しています。

  • eショップ

  • 職場ツール

  • ソーシャルメディアプラットフォーム

  • 投資ツール

  • フェスティバル、イベント

メタバースは真新しい構想ではありませんが、フェイスブックがメタバース市場へ参入して社名をメタに変更したことで、世間の関心が急速に高まりました。それに伴い、仮想通貨(暗号資産)の業界も大きく盛り上がりました。メタ関連の仮想通貨のコストが飛躍的に上昇し、メタバースプラットフォームへの関心も高まっています。ただし、メタバース市場が秘めている莫大な可能性に思いをはせれば、ゲームは氷山の一角にすぎません。

メタバースの世界が真の進化を遂げれば、国や国境、文化、ブランド、さらには物理空間の制約も超えるでしょう。仕事や遊びだけでなく、医師の問診やテスト勉強といった日常的に欠かせない用途まで、生活に必要な活動のほぼすべてをメタバース上で実現できます。

メタバースの可能性を解き放つ鍵は、非代替トークンとメタバース仮想通貨です。非代替トークンはNFTとも呼ばれており、デジタル資産に所有権を付与するものです。NFTを使えば、仮想空間の中で資産やアート作品を売買したり、旅に出たり、フェスティバルやコンサートに参加したりできます。メタバース仮想通貨は、各メタバースプラットフォームに資金を提供する手段です。ブロックチェーン手数料ノード報酬ステーキングなど、仮想通貨の標準的な特徴を備えている場合もあります。最終的な用途は、独自の仮想世界プラットフォームを構築するプロセス内での利用です。

メタバースはまだ新しい構想ですが、私たちの仕事や遊び、生活を一変させる無限の可能性を秘めています。コロナ禍でその進化は加速し、フェイスブックの公表も相まって、世間の人々がその可能性に気づきました。メタバースプロジェクトへの参加者も増加しており、今後も躍進が続くでしょう。

メタバースに投資するベストタイミングは今です。投資手法としては、NFTやメタバース仮想通貨が最適でしょう。

メタバースとは一体何か?

メタバースは次世代型インターネットと目されています。インターネットは情報を高速でやり取りできる「情報スーパーハイウェイ」ですが、メタバースは完全に没入感のある体験を提供する場所です。仮想現実(VR)を使ってメタバース空間へアクセスします。キーボードでタイピングしたり、画面の文字を読んだりするのではなく、VRヘッドセットやスマートグラス、動作追跡デバイスを利用して、メタバース空間を自由自在に移動できます。他の人と交流したり、物を操作したりもできます。

企業もメタバース空間を自由に利用できますが、現在と未来にわたって、メタバースを支配することはだれにもできません。監督する規制当局も一切ありません。その代わり、ブロックチェーン技術を活用して詐欺を防止し、セキュリティ脅威からの保護機能も組み込んでいます。ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)などの仮想通貨を利用することで、お金に関する取引が可能です。

現時点では、メタバースに秘められた可能性の多くは構想の域を出ていません。しかし、ゲーム業界はインターネットの力を活用して、メタバースの可能性を実現できるよう尽力しています。最初期の構成要素には大きな成長の余地があり、創造的発展に向けた機会も莫大です。利用者は多様なサービスや、ワクワクする新機能を活かした商品を楽しめるでしょう。フェイスブック(メタ)など数多くの企業がメタバースをさらなる高みへ引き上げることに関心を示していますが、この新世界を成功へ導く究極の鍵は有機的成長と進化です。つまり、メタバース成功の鍵は、利用者一人ひとりが握っているのです。

メタバースの世界では、企業や政府、組織も、利用者ほどの影響力を持ってはいません。メタバースが真の成功を収めるには、今後も分散性を維持するとともに、メタバースを利用し、支え、成長・進化させてくれる利用者を重視していくことが大切です。

メタバースの有用性

メタバース初期の構想は現実逃避に由来し、混沌から逃れるための未来のディストピア(暗黒郷)を映し出していました。現在のメタバースは違います。他者との交流を重視しており(多くはゲーム分野)、開かれたゲームや体験の世界を提供するとともに、ネットワーク化が進む社会の中で有意義なつながりを育む新しい場所になっています。

メタバースのゲームを利用すれば、現実世界のさまざまな活動や社会的交流を楽しめます。その際に、利用者はゲームをプレイしながら、開発にも貢献できます。このようなゲームは、現実世界に根差した仮想経済に支えられています。仮想不動産やデジタル株式、非代替トークン、仮想通貨などの仮想商品を通じて、現実の資産形成に取り組める新たな手法になっています。

メタバース最大のメリットは、地理的な制約から完全に解放される点です。いったん仮想空間に入れば、居住地の制約は消え去り、自由自在に行き来できます。メタバースは、各自が好きな外見に変身し、安心して参加できる、中立的で没入感のある空間です。さらに、興味や考え方の似た人や新しい友人を探し、出会える空間でもあり、そのすべてを安全な自宅から便利に楽しめます。

現在、メタバースの中心はゲームが占めています。しかし、人工知能(AI)や高い汎用性・有用性を活用することで、娯楽や教育、芸術、文化、ショッピング、経済的機会など、はるかに幅広い用途でも利用できます。セレブや有名人と直接交流したり、仮想のコンサートやフェスティバルに参加したりでき、指先一つで仮想世界につながります。ワクワクする斬新な方法で、お気に入りのブランドに関わることもできます。ブランドにとっても、新たなスタイルや交流機会、ゲーム要素を取り入れて、常に流行の一歩先へ踏み出せます。

現在はゲームがメタバースで最大の地位を占めているようですが、ショッピングも第2位と肉薄しています。メタバースの利用者はデジタル不動産やファッション、アート、デザイン作品を買いあさり、終わりなきカスタマイズの旅路を楽しんでいます。デジタル空間での自身の表現方法にとどまらず、デジタル空間全体を自分色に変えられます。NFTやメタバース仮想通貨の特性のおかげで、そのすべてが機能します。

大きな懸念事項としては、メタバース中毒に陥って、メタバース空間内で時間を使いすぎてしまう点があります。たしかに、過度にメタバース空間の中にいると現実世界への愛着が薄れる可能性があります。極端な場合には、食事や睡眠以外でVRセットを外さないほどのメタバース中毒に陥り、現実世界の存在を受け入れがたく思うかもしれません。この種の中毒は、スマートフォンでもある程度発生しています。平均的なアメリカ人は1日に約5.4時間もスマートフォンの画面を見ていますが、メタバースの登場で状況が悪化し、精神や健康面で問題を引き起こす懸念はあります。ただし、十分な監督や安全性チェックを行えば、この種の中毒を防ぐことは可能でしょう。

メタバースを支える特長

つい最近メタバース市場に参入したメタ以外にも、この莫大で大部分が未開拓の市場に関心を寄せてきた企業は多数あります。テクノロジー分野の開発者やデザイナー、起業家だけでなく、マイクロソフト、ユニティ、アマゾン、エピックゲームズなどの巨大テック企業も深く関与しています。コンピューターチップメーカーのエヌビディアはオムニバース事業に参入しています。オムニバースとは、メタバース対応の拡張現実シミュレーションを設計するための土台です。

メタバースには以下をはじめ、複数の中核的な属性が備わっています。

  • 全利用者を対象として、ライブ環境でリアルタイムに発生する同時イベント

  • 中断や終了がまったくない継続的な体験

  • 物理世界と仮想世界の両方を横断する体験

  • ほぼすべての人が貢献できるオープンシステム

仮想通貨のおかげで、現在のメタバースには完全に機能する経済圏があります。仮想通貨を利用することで、企業と個人が対等にメタバース経済へ関与するしくみです。仮想通貨を用いて仮想資産の作成・獲得・投資・売買を行えるだけでなく、現実世界の法定通貨との交換も可能です。

「次世代型インターネット」として構想されたメタバースは、さらに発展していきます。デジタル領域からアクセスする拡張現実であり、インターネット技術だけではなく、分散型台帳、スマートコントラクト、3Dなど多様な技術を利用して構築されています。

メタバースと仮想通貨の関係性は?

メタバースは物理世界と仮想世界を一体的に結びつけ、どちらかの世界で獲得・作成したアイテムをもう片方でも共有できます。望みどおりの状態や行為を実現できる仮想世界ですが、それには資金が必要です。その担い手こそ仮想通貨なのです。

メタバースブロックチェーン

仮想通貨はブロックチェーン技術に依拠しており、それはメタバースも同様です。私たちが現在利用しているインターネットは、ディストリビューション型システムを採用しています。一方、メタバースは分散型(非中央集権型)を採用しており、メタバースの利用者全員によって所有されるしくみです。この分散型システムは仮想通貨ネットワークでも採用されています。

メタバースはいまだ黎明期ですが、ブロックチェーン技術はそれより多少は確立が進んでいます。ブロックチェーンは、コンピューターネットワークを基盤とするデータベースの一種です。情報を検証してブロックチェーンに追加することにより、取引やデータを改ざん不能な方法で記録します。ブロックチェーン技術は仮想通貨分野の屋台骨ですが、メタバースなどでの利用も目立ち始めています。

事実、メタバースのブロックチェーンには、いくつか類似の特徴があります。具体的には、イーサリアムネットワークだけで1,100を超える分散型ノードが存在しています。また、メタバースにアップロードしたコンテンツを別のプラットフォームへ簡単に移動できる、ポータブルコンテンツ機能も備わっています。

メタバースブロックチェーンを利用すれば、自身や制作物のデジタル表現を作成・所有できます。サードパーティの関与なしに、あらゆるものにアクセスして使用し、インポート・エクスポートできます。自分の体験を完全に自律的にコントロールして、仮想現実や拡張現実、複合現実、エクステンデッドリアリティなどのテクノロジーを利用し、物理的な制約なしに最良の交流を楽しめます。デジタル資産や仮想通貨を取り入れれば、ケーキに砂糖衣をかけたように体験の質がさらに向上します。その結果、世界経済の成長につながるだけでなく、無限の夢を実現する力になります。

メタバースNFT

非代替トークン(NFT)は固有のアイテムであり、他のトークンとの交換にはなじみません。メタバース市場の成長を下支えする仮想資産です。ゲーム内コレクティブル(収集物)、画像、動画など、無形のアイテムを証明します。NFTの所有権はブロックチェーン上に記録されるため、デジタル資産の取引に利用できます。

NFTには契約を自動化・履行するスマートコントラクト機能が備わっており、任意にアクセス権を購入・売却・付与することが簡単にできます。つまり、NFTを利用すれば、自分のスペースに他者を招待するだけでなく、フェスティバルなど招待者限定のイベントにもアクセスできます。

NFTはコレクティブルとして楽しむ場合が一般的ですが、仮想通貨と同様に、投資先として活用される場合もあります。

メタバースのトークンはその他とは違うのか?

非代替トークンはさまざまな仮想世界の通貨であると同時に、メタバースの成長を加速させる存在でもあります。一部の仮想現実プラットフォームには無料で参加できますが、仮想資産を購入・取引するには、仮想通貨またはイーサリアムを基盤としたトークン(MANA、GALA、SAND、APEなど)が必要です。これらのトークンは、仮想のグッズやサービス、体験と交換できます。利用者が作成した仮想世界ゲームへのアクセス権を購入することもできます。

トークンはブロックチェーン上に記録されており、トークンに裏付けられた資産と同様に取引できます。NFT市場は急速に拡大しており、NFTをコレクティブルと見なすメタバース利用者がいる一方で、NFTを投資先と考えている利用者もいます。結局のところ、トークンは、ゲームやメタバースなどのデジタル環境内でデジタル資産を所有するための手段です。

メタバース業界の上位企業

Meta(メタ)

メタ(旧フェイスブック)は現在、Horizon Worldsと命名したメタバースを開発中です。利用者固有の仮想IDが発行され、OculusなどのVRヘッドセットを用いてリアルタイムの3D仮想空間で行動できます。しかし、この種の構想を手掛ける企業はメタだけではありません。メタバース業界で事業を展開する他企業についてもご紹介します。

NVIDIA(エヌビディア)

AIやGPU分野の主要企業エヌビディアはメタと連携して、メタバース対応の資産を生み出すオムニバースアプリを開発しています。アーティストやコンテンツクリエイターが仮想世界や仮想プロダクトの構築に利用できる無料バージョンも提供しています。また、メタやマイクロソフト、ユニティなどと同じく、メタバース標準化フォーラムの一員です。

Epic Games(エピックゲームズ)

大人気のゲームエンジン「Unreal Engine」を提供する大手ゲーム企業エピックゲームズは、メタバース業界でイノベーションや開発の最前線にいます。2022年には20億ドルの資金調達ラウンドを発表し、ゲーム開発者がメタバース市場で手に余るほどのビジネスチャンスをつかむ道を切り拓きました。ガラゲームズに出資して連携し、エピックゲームズのストアでリリース予定の両社初のブロックチェーンゲーム「GRIT」を始動させています。

Roblox(ロブロックス)

同社はクリエイター経済を構築し、だれもが独自の対話型デジタル世界を創造できるオープンなゲームプラットフォームを提供しています。利用者はVRのほか、Xbox One、コンピューター、タブレット、スマートフォンなど、従来のテクノロジー経由でもアクセスできます。ロブロックスは自社プラットフォーム内で複数のゲームを提供するだけでなく、仮想世界も構築しており、その空間内でプレイヤーは自由に交流できます。また、Lil Nas X Concertなどメタバースのイベントも主催しています。この手法は、メタバース内でビジネスモデルを構築する方法として評判が高まっています。

The Sandbox(ザ・サンドボックス)

The Sandbox」はマインクラフトにインスピレーションを得たコミュニティベースのメタバースです。クリエイターはボクセル資産(3Dデジタルオブジェクト)やゲーム体験をブロックチェーン上でマネタイズ(収益化)できます。仮想通貨「$SAND」を発行する同社は、仮想経済の構築に注力しています。プレイヤーはブロックチェーンを基盤にしたデジタルトークンを利用して、ユーザー制作のゲームや、ゲーム内で利用可能な3Dオブジェクト、ゲームプレイ時に利用するプラットフォーム上の土地など、各種アイテムを売買できます。林俊傑(リン・ジュンジエ)など人気の有名人も、サンドボックスの仮想不動産を購入しています。

Decentraland(ディセントラランド)

Decentraland」は、2003年にリリースされて人気を集めたオンラインゲーム・仮想世界「Second Life」にたとえられる場合が非常に多くあります。新たなアート媒体やビジネス機会を模索しているコンテンツプロデューサーや企業に向けたプラットフォームとして、メタバースを開発しています。独自の仮想通貨「$MANA」が採用されています。利用者によるメタバース内における仮想の土地の購入とともに、さまざまな種類のアプリやコンテンツの作成・マネタイズも支援しています。

Bored Ape Yacht Club(ボアードエイプヨットクラブ)

(出典:ユガラボ

高い人気を誇るNFTプロジェクトであるボアードエイプ(BAYC)もまた、独自のメタバースとして「Otherside」を発表しています。Othersideは3Dメタバースであり、ボアードエイプのNFTホルダーに向けてゲーム用プラットフォームを提供している模様です。アニモカブランドとのパートナーシップで誕生したOthersideは、ApeCoin($APE)を活用してプラットフォームを運営しています。運営元のユガラボは、ボアードエイプメタバースを広範なNFTユニバースとつながるMMORPGにする意向です。

各種規制

メタバースの人気に火が付き始めていますが、各国政府にとってはメタバース業界をどのように形作るかを検討する重要な節目といえます。

米国連邦政府は、規制の枠組みを設計して、メタバース内での商業活動に課税すべきか、その場合の課税方法をどう設計するかを検討する可能性があります。さらには、どのようにして国家の安全を維持し、プライバシーリスクやサイバーハラスメントから利用者を保護するかを明確にしたいと考えているかもしれません。

メタバースは新たな経済の機会を広げ、プログラマーやアーティストへの大きな需要を創造するでしょう。また、今まで疎外されてきたコミュニティが他と同等のアクセス機会を得て、新興のデジタル経済へ加わることのできる優れた手段です。多様なバックグラウンドや視点を持つ人材がメタバース業界で働けるようにして、偏見となり得る問題や平等性を巡る格差、アクセシビリティ面の課題といった、テクノロジーやその利用がもたらす悪影響に対処できるようにするためにも、政府は施策を講じるべきです。

施策が奏功すれば、可能な限り多くの人がアクセスできるインクルーシブなプラットフォームを構築できるでしょう。

仮想通貨はメタバースの未来か?

オンライン決済は、デジタル世界と物理世界の両面で十分に確立されています。仮想通貨の構想はオンライン決済テクノロジーを基盤としており、NFTは両方の構想をさらに前進させたものです。仮想の金融エコシステム内において、仮想通貨が大きな役割を果たしているのは一目瞭然です。仮想通貨を使えば、簡単かつ安全に、そして高い透明性を保って、価値を利用者間で移動できます。

仮想通貨ベースのプラットフォームが台頭するに伴い、テクノロジーが進化し、無限に近い成長の機会が生まれています。仮想通貨とNFTはこの成長軌道を大きく加速させており、テクノロジーの潜在力を十分に引き出すには不可欠な存在となるでしょう。メタバースへ完全に没入する場合でも、金融面での恩恵を享受するだけの場合でも、仮想通貨はデジタル世界と物理世界の両方において富を手にする鍵といえます。