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現物資産の担保を提供するゴールド担保型仮想通貨(暗号資産)ベスト11(2025年版)

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投資
2025年3月24日

2025年の年初から数ヶ月間、金融市場は大きな変動に見舞われています。その主な原因は、ドナルド・トランプ大統領率いる新たな米国政権です。米国公共支出の大幅削減、関税戦争勃発の危険性、米国と貿易相手国との関係のパラダイムシフトは市場を不安にさせ、株価と投資家センチメントに打撃を与えました。株価の下落とともに仮想通貨(暗号資産)市場も勢いを失っています。さまざまな市場の投資家の間で全体的に悲観的な見通しが広がっていることがわかります。

投資家の間に総じて弱気センチメントが広がる中、世界で最も重要な貴金属であるゴールドの価格が急騰しています。しかし、金融市場の歴史に精通している方々にとって、これは驚くことではありません。株価が精彩を欠き、成長依存型資産の見通しが暗いときに、いつも好調なのがゴールドだからです。この記事を執筆しているのは2025年3月24日であり、ここ10日の間にゴールド価格は約5%上昇しています。資産価格の乱高下を見慣れた仮想通貨投資家の皆様の目に、この程度の変動は取るに足らないもののように映るかもしれません。それでも、価格の安定性とボラティリティの低さで知られるゴールドがわずか1週間でこれだけ上昇したことは注目に値します。 

ゴールドの上昇を受け、仮想通貨投資の世界では、これまでは市場で目立たない存在だったゴールド担保型仮想通貨というカテゴリに多くの投資家が注目するようになりました。仮想通貨市場全体が低調な中で、このカテゴリに属する仮想通貨は、過去1週間にわたりゴールド価格の上昇をまるで鏡のように反映するような伸びを見せています。先行き不透明なこの時代、安全な逃避先を求める仮想通貨投資家の皆様にとって、ゴールド担保型トークンこそがその答えとなるのかもしれません。この記事では、ゴールド担保型仮想通貨トップ11(2025年3月24日現在)を取り上げます。ゴールド担保型というこの小カテゴリの時価総額のほぼ全額を占めるのはこれら11の仮想通貨です。

この記事のポイント

  • ゴールド担保型仮想通貨とは、発行者または信頼できるサードパーティカストディアンが保有する現物のゴールドを裏付けとした、オンチェーン資産です。

  • この分野における仮想通貨の二大銘柄は、Tether Gold(XAUt)とPax Gold(PAXG)です。両者の時価総額を合わせると、このニッチな市場のおよそ4分の3を占めています。

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ゴールド担保型仮想通貨とは

ゴールド担保型仮想通貨はトークン化されたデジタル資産です。通常、その価値の裏付けとなるのは保管されている現物のゴールドです。トークン発行者が、仮想通貨の裏付けに使用する現物ゴールドを保管する場合もあれば、サードパーティの信頼できるカストディアンが、発行者に代わって現物ゴールドを保管する場合もあります。

初期の有力なゴールド担保型仮想通貨は、2019年から2020年にかけてローンチされました。2020年に登場したTether Gold(XAUt)や、2019年にデビューしたPax Gold(PAXG)もその1つです。この分野で有名なもう1つの仮想通貨Perth Mint Gold Token(PMGT)は、2019年から2023年にかけて運用されました。

ゴールド担保型仮想通貨では、たとえば、分散型金融(DeFi)などでゴールドの所有権をオンチェーン向けの流動性の高い柔軟な形態に切り替えることができます。

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ゴールド担保型仮想通貨の仕組み

上述のとおり、ゴールド担保型仮想通貨は、現物のゴールドによって裏付けられています。現物保管の正確な仕組みは商品によって異なる場合があります。ゴールドを自ら保管するプロジェクトもあれば、外部のカストディアンに保管を委託するプロジェクトもあります。

仮想通貨の保有を希望する一方で現実世界の資産を担保にしたい投資家にとって、この種の仮想通貨は魅力的です。ゴールドは広く高い評価を受ける安定した商品であるため、デジタル資産の優れた裏付けになります。市場が低迷し、株式や仮想通貨の相場が急落したとき、ゴールドの資産価値は上昇する傾向があります。つまり、ゴールドを裏付けとする仮想通貨も上昇する可能性があるということです。

市場に出回る他の資産と同じように、ゴールド担保型トークンにも特有の長所と短所があります。第一の短所は、市場が急成長しているときに、標準的な仮想通貨その他の高成長資産と比べてリターンが小さい傾向があるという点です。もう1つの短所は、統一的な規制機構が存在しないため、現物ゴールドが実際に存在するのかどうか、主張されているような水準で現物が維持されているかどうか、また信頼できる者が保管しているかどうかが保証されないという点です。小規模なプロジェクトの場合、流動性が十分かどうかが問題になる可能性もあります。

一方、優れた点もあります。これらの資産の最大の長所は、弱気相場で担保が得られることです。金融相場が落ち込んだとき、ゴールドに裏付けられた仮想通貨は他の仮想通貨と比べて資産価値が保たれる可能性が高いからです。もう一つの大きな利点は、現実の資産を裏付けとしたトークンを保有できるという点です。仮想通貨に懐疑的な人たちは「仮想通貨には本源的価値がない」とよく主張しますが、このような特長は、そうした懐疑論者たちの声を封じるに十分な説得力を持っています。

ゴールド担保型仮想通貨トップ11

下に挙げる11のゴールド担保型仮想通貨は、このニッチ市場のほぼ全体を占めます。2025年3月中旬現在、CoinGeckoポータルを見ると、「トークン化されたゴールド」のカテゴリで時価総額が発表されている仮想通貨は12種類しかありません

価格、時価総額、成長率、その他の関連統計は、この記事を執筆している時点の数字です。仮想通貨市場が性質上不安定であることを考えると、このデータは当然大きく変動する可能性がありますが、一般に、ゴールドの裏付けがあるこれらの資産は、他の仮想通貨(もちろんステーブルコインは除きます)と比べてやや安定しています。

1. Tether Gold (XAUt)

2020年にローンチされたTether Gold(XAUt)は、市場で最も有力なゴールド担保型仮想通貨です。世界で最も取引量の多い仮想通貨資産USDTの発行者であるTether Limited Inc.がローンチしました。

1 XAUtトークンは、1トロイオンスのゴールドで裏付けられています。ゴールドバーの現物は、スイスの金庫で厳重に保管されます。保有者はいつでもXAUtを現物ゴールドに償還できます。ただし、償還するには、ロンドン金現物市場の受渡適合品現物ゴールドインゴット(グッド・デリバリー・バー)1本の価格に見合うXAUtトークン(約400トロイオンス/XAUt)が必要です。XAUtの保有額がこれを下回る場合は、他の資産(通常はUSDT)にスワップするのが現実的な選択肢となります。Bybit Web3 DEX Proでは、イーサリアムを介してXAUtトークンの分散型取引を行うことができます。

この10日間でXAUtの資産価値は5%上昇しました。XAUtが密接に連動しているゴールド価格とまったく同じ上昇率です。ERC-20資産としてイーサリアムでローンチされたXAUtは、「トークン化されたゴールド」のカテゴリでリーダーとして、長年にわたりその地位を維持し続けています。時価総額は約7億4,400万ドル。現在は3,023.24ドルで取引されています。

2. Pax Gold (PAXG)

XAUtの後を追うPax Gold(PAXG)は、このニッチな市場において確固たる第2位の地位を占めています。Pax Goldの1トークンは1トロイオンス相当のゴールドによって裏付けられ、現物のゴールドはロンドンにある多国籍現金取り扱いセキュリティ企業Brinks Securityの金庫に保管されています。ニューヨークに本社を置くPaxos Trust Companyが2019年にローンチしたこのトークンの時価総額は6億5,200万ドルです。ゴールド担保型仮想通貨市場のツートップであるPAXGとXAUtは、このカテゴリの時価総額の約4分の3を占めています。ゴールド1オンスの価格に連動して動くPAXGの相場は、この10日間で約5%上昇しました。

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3. Quorium Gold (QGOLD)

Quorium Gold(QGOLD)は現在、時価総額で第3位(2億5,300万ドル)のゴールド担保型仮想通貨です。XAUt、PAXGと同じように、QGOLDもゴールド1トロイオンスの価格に裏付けられ、ゴールドに連動しています。

このプロジェクトは、持続可能なマイニングに取り組む企業であるQuoriumによって、2023年末にBNBチェーン(BNB)上でローンチされました。QGOLDは基本的に、カナダ証券管理局が定めたNI 43-101に基づく報告書によって証明された現物ゴールドによって裏付けられています。Quoriumは、現物ゴールドを増やすためのマイニングも行っていますが、主眼はあくまでも手持ちの検証済みゴールドを手つかずのまま活用することです。

4. Kinesis gold(KAU)

Kinesis gold(KAU)は、ケイマン諸島に本社を置くブロックチェーン金融会社Kinesisがローンチしたゴールド担保型仮想通貨です。KAUトークンは、1オンスではなく1グラムのゴールドで裏付けられているため、その単価は前述の仮想通貨とはかなり異なります。現在、ゴールドの実勢価格に近い約97ドルで取引されており、時価総額は1億3,900万ドルです。

Kinesisは、有力なゴールド特定保管サービス運営会社Allocated Bullion Exchange (ABX)(Brinksをはじめとする他のボールトパートナーのほか、Malca-Amit、Loomis Internationalなど幅広いボールトネットワークを擁する国際的な機関投資家向け取引所運営会社)と提携してKAUの現物ゴールドを管理しています。

5. VeraOne(VRO)

KAUと同じように、VeraOne(VRO)もリサイクル業界から調達した現物ゴールド1グラムによって裏付けられています。環境に優しいこのプロジェクトは、初期に登場したゴールド担保型仮想通貨の1つです。英国に本社を置くLinGOLD Ltd.が2020年5月にイーサリアムでローンチしたVeraOneの現物ゴールドは、ロンドン貴金属市場協会(LBMA)の認定を受けています。しかも、その純度は最高999.9(99.99%)で、ジブラルタル政府が認定した現物の法定通貨と引き換えることができます。VeraOneはジュネーブ・フリーポート(スイスで最もセキュリティが厳重な保税倉庫)で現物ゴールドを保管しています。

VROの時価総額は現在約2,900万ドルで、仮想通貨市場全体の規模と比べると小さい部類に入りますが、トークン化されたゴールドというカテゴリの中では、時価総額で第5位に位置する重要な資産です。

6. Novem Gold Token (NNN)

Novem Gold Token(NNN)は、オーストリアに本社を置くNovem Gold Blockchain GmbHが2022年にローンチしたゴールド担保型仮想通貨です。BNBチェーンをベースとするこのトークンは、オーストリアに置かれる同社の現物ゴールドを裏付けとしています。この現物は社内の安全な金庫で保管されます。

NovemのNNNトークンは、さまざまなLBMA認定ディーラーのゴールドバーに手軽に償還することができます。NNNの時価総額は現在2,300万ドルです。

7. Gold DAO (GLDT)

Gold DAO(GOLDAO)とGold Token(GLDT)は、Gold DAOという分散型プロジェクトによってインターネットコンピュータ(ICP)ブロックチェーン上でローンチされた、トークン化されたゴールドの仮想通貨です。GOLDAOはDAOプロジェクトの基本的なガバナンストークンです。一方、GLDTはトークン化されたゴールドを表す主たるユーティリティ資産で、流動性の高い柔軟なクロスチェーン取引を可能にします。100 GLDTは、ゴールド1グラムに相当します。

プロジェクトのトークンの裏付けとなる現物ゴールドはスイスで保管され、世界有数の監査法人KPMGなどのサードパーティが各金庫を定期的に監査しています。

現在、GOLDAOの時価総額は1,200万ドルです。一方、GLDTの時価総額はわずか61万ドルで、時価総額を発表しているトークン化されたゴールドの仮想通貨全体の中で最小規模です。

8. Comtech Gold (CGO)

Comtech Gold(CGO)は、純度999.9のゴールド1グラムによって裏付けられ、ゴールドと同じ価値を持つトークンの1つです。ドバイに本社を置くComTech Goldが2022年にXDCネットワーク/XinFinブロックチェーン上で立ち上げたシャリア法準拠のこのプロジェクトは、中東地域においてゴールドをトークン化したデジタル商品の需要を満たすことに重点を置いています。

現物ゴールドは、UAEの信頼できるセキュリティソリューション会社Transguard Groupで保管され、保険が掛けられています。また、いつでも償還可能で、最低償還額はわずか10グラムです。ComTech Goldは、ドバイ空港フリーゾーン局(DAFZA)の規制下にあり、現地のUAE政府機関であるドバイ・マルチ・コモディティ・センター(DMCC)の承認を受けています。

CGOの時価総額は1,065万ドルで、ゴールド1グラムの価格に連動する仮想通貨の大半と同じように97ドル前後で取引されています。

9. tGOLD(tXAU)

tGOLD(tXAU)は、ドバイに本社を置くもう1つのフィンテック企業Aurusにより2022年末にローンチされました。tXAUトークンは、イーサリアムとポリゴン(POL)をベースとしています。各tXAUトークンは、LBMA認定ゴールドで裏付けられています。Aurusのウェブサイトには、「tXAUの裏付けとなる現物ゴールドは金庫で厳重に保管され、定期的に監査を受けています」と記載されていますが、金庫の所在地についての具体的な記述はありません。

tGOLDの時価総額は現在792万ドルです。このトークンは1グラムのゴールドに裏付けられているとされますが、現在の価格は84.84ドルで、ゴールド価格の97ドルより著しく低い水準です。このトークンの現在の需給ダイナミクスが不一致の原因かもしれません。

10. VNX Gold (VNXAU)

VNX Gold(VNXAU)は、リヒテンシュタインの金庫に保管されるLBMAグレードのゴールドによって裏付けられるマルチチェーントークンです。このトークンはリヒテンシュタイン金融市場局(FMA)に登録されています。ヨーロッパのこの小国は、ゴールドトークン化プロジェクトが集中する場所とは言えませんが、安定した経済と金融セクターの規制水準の高さが魅力です。VNXAUのベースとなる主なチェーンは、イーサリアム、ソラナ(SOL)、ポリゴンです。

VNXAUの時価総額は現在255万ドルです。

11. Kinka (XNK)

Kinka(XNK)は、純度99.9%のゴールド 1トロイオンスの価格に連動するERC-20仮想通貨トークンです。2024年3月にKinka(BVI) Ltd.がイーサリアムでローンチしました。このプロジェクトは、2024年9月にCardano(ADA)でもプレゼンスを確立しました。

使用されるゴールド地金は、第一商品株式会社(Kinkaの親会社である日本の大手ゴールド取引会社)が提供します。LBMAが定める基準を満たすこのゴールドは、世界中にあるLoomis Internationalの高セキュリティ金庫で保管されます。

XNKは、Uniswap(UNI)など多数の仮想通貨取引所で入手できるだけでなく、発行者のウェブサイトからも直接購入できます。このように店頭(OTC)で入手する場合は、0.1 ETH以上の注文が必要です。

現在、XNKの時価総額は150万ドル近くに達しています。

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終わりに

人類の歴史を通じて常に高い価値を持ち続けてきたゴールドは、現代の金融市場においても依然として非常に人気の高い資産です。この最も価値ある貴金属であるゴールドは、ボラティリティや弱気相場に対する優れたヘッジ手段です。トークン化されたゴールドを保有することは、現実の資産による裏付けと高い流動性を兼ね備えた、スマートな投資方法と言えるでしょう。

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