Topics 仮想通貨

イーサリアム(ETH)のアップグレード「Fusaka(フサカ)」:バリデーターにとってPeerDASは何を意味するか

中級者向け
仮想通貨
19 Mei 2025

イーサリアムは次期アップグレード「Fusaka」でスケーリングロードマップを前進させ、まったく新しいPeerDASプロトコルを導入します。この大がかりな技術的強化の目的は、データ可用性を飛躍的に高めることです。ストレージ容量を8倍に増やし、レイヤー2の取引手数料をゼロに近づけることを目指します。

この記事では、「PeerDAS」プロトコルと、バリデーターがBlobデータをダウンロードする際の影響を特に深く掘り下げながら、Fusakaアップグレードの主な特長について解説します。さらに、ETHの価格と、先見の明ある仮想通貨(暗号資産)投資家の投資戦略への潜在的影響についても検討を加えます。

この記事のポイント

  • イーサリアムのアップグレード「Pectra(ペクトラ)」がついに実装されました。次に控えるアップグレードは、イーサリアム「Fusaka(フサカ)」です。

  • イーサリアムの次期アップグレード「Fusaka」では、スケーラビリティを向上させるためにPeerDAS(ピアツーピア・データアベイラビリティサンプリング)が導入されます。実装は2025年末の予定です。

New-user-5050-USDT_728x90.png

イーサリアムのアップグレード「Fusaka」とは

イーサリアムのアップグレード「Fusaka」は、2025年後半に予定されるネットワークアップデートです。次期アップグレードではPeerDAS(ピアツーピア・データアベイラビリティサンプリング)が導入されます。バリデーターが、データセット全体ではなく一部だけをサンプリングしてBlobデータを検証できるようにすることによってスケーラビリティを高めます。

「Fusaka」という名称は、カシオペヤ座の星「Fulu(フールー)」と、過去にDevconイベントが開催された都市「Osaka(大阪)」を組み合わせたものです。アップグレードに星や都市にちなんだ名前を付けるというイーサリアムの伝統が今回も守られています。

2025年5月のアップグレード「Pectra」の実装に続く、イーサリアムのテクノロジーロードマップの次なるステップが「Fusaka」です。ただし、Fusakaのコンポーネントは詳細なテストを必要とするため、リリース日は2026年年初にずれ込む可能性があります。

イーサリアムの最新アップグレード「Pectra」がもたらした影響

2025年5月に実装されたアップグレード「Pectra」は、イーサリアムネットワークにいくつかの大きな変化をもたらしました。最も注目すべきはEIP-7251の導入です。その結果、バリデーターの最大有効残高(MaxEB)は32 ETHから2,048 ETHへと増加しました。

大規模なバリデーターはオペレーションを統合し、ネットワークセキュリティを維持しながらバリデーターの総数を絞れるようになりました。「Pectra」は同時にBlobデータ容量を増やしました。ブロックあたりの最小容量は3から6に、最大容量は6から9に引き上げられました。

その結果、レイヤー2ソリューションは、データ可用性の恩恵をさらに低コストで受けられるようになりました。また、このアップグレードでは、EIP-7702によりアカウント抽象化が強化され、バンドルトランザクションやスポンサー付きガス代などの特長によりウォレットの機能性が高まりました。

これらの変更は、スケーラビリティに関する課題に対処しつつ、ユーザーエクスペリエンスを高めました。「Fusaka」ではさらに意欲的なアップグレードが計画されていますが、そのお膳立てが「Pectra」で整ったということです。

イーサリアムのアップグレード「Fusaka」の狙い

イーサリアムのアップグレード「Fusaka」は、データ可用性の改善を通じてイーサリアムのスケーリングに焦点を絞り、すべての参加者にとってこのネットワークの効率を高めることを目指しています。

データ可用性に関する課題

「Fusaka」の狙いは、イーサリアムが抱えるデータ可用性のボトルネックを解消することです。このボトルネックが、スケーリングを妨げる重大な要因になっているからです。現在のところ、バリデーターは、各ブロックのBlobデータをすべて処理しなければならないため、帯域幅とストレージの使用が増え、結果としてレイヤー2(L2)のスループットが低下し、エンドユーザーのガス代が増加します。

このアプローチを変革するのがPeerDAS(ピアツーピア・データアベイラビリティサンプリング)です。バリデーターはすべてのデータをダウンロードするのではなく、小さなランダムサンプルでデータ可用性を検証できるようになります。この画期的アプローチは、リソース要件を劇的に縮小すると同時に、ネットワーク効率を改善します。こうして、イーサリアムはセキュリティを犠牲にすることなく、はるかに多くのL2トランザクションに対応できるようになります。

スケーリングがエコシステムにもたらすメリット

イーサリアムの研究者Alex Stokes氏によれば、PeerDASの導入により、現在ブロックあたり9となっているBlob容量が48に、さらに最大72まで拡張される可能性があるということです。この8倍の拡張により、バリデーターのリソース負担は軽減され、イーサリアムエコシステム全体でスケーリング上きわめて大きなメリットが生まれます。

こうしたBlob容量の拡大は、ArbitrumOptimismBaseといったL2ソリューションの利用者の取引コストを直接押し下げます。これまで高額の手数料が障害となっていたアプリケーションも採算がとれるようになり、イーサリアムの有用性とアクセシビリティがさらに多くのユースケースに拡大します。

「Fusaka」と「Pectra」の比較

アップグレード「Pectra」(2025年5月実装)と次期アップグレード「Fusaka」は、イーサリアムのスケーリングに関する課題を解決するための全く異なるアプローチでありながら互いに補完し合っています。「Pectra」は、MaxEBによるバリデーターの統合に重点を置き、データ容量拡大に向けて最初の一歩を踏み出しました。一方、「Fusaka」は、イーサリアムネットワーク全体でデータ可用性確保の仕組みを根本的に変革することを目指しています。

前述のとおり、「Pectra」では、EIP-7251の導入により最大有効残高が32 ETHから2,048 ETHに増加した結果、大規模なバリデーターがオペレーションを統合し、ネットワークのオーバーヘッドを低減することが可能になりました。「Pectra」は同時にEIP-7702を導入してアカウント抽象化を強化し、バンドル取引やスポンサー付きガス代などの特長を持たせてウォレットの機能性を高めました。

「Pectra」はデータ容量の面でも若干の改良を加え、ブロックあたりのBlob容量を3から9に増やしました。「Fusaka」は、このビジョンを現在の8倍にあたるブロックあたり48(最大72)へと大幅に拡大します。これは、イーサリアムのデータ可用性が飛躍的に向上することを意味します。

この2つのアップグレードにより、バリデーター体験は大きく進化します。「Pectra」は統合を通じてオペレーションを効率化し、「Fusaka」はバリデーターとデータのインタラクションのあり方を根本的に変革します。PeerDASでは、バリデーターがすべてのBlobデータをダウンロードする必要はありません。少量のサンプル(2~4%)をダウンロードするだけでよいので、ハードウェアと帯域幅の要件が劇的に減少します。

Vitalik Buterin氏は、Blob容量を16に増やすだけで、L2の手数料は0.01ドル未満に下がると予想しています。「Fusaka」は48を目指しているため、取引コストはほぼゼロレベルに近づく可能性があります。イーサリアムのL2エコシステムは分散型を維持しながら、集権型決済システムに匹敵する取引量を処理することができます。

イーサリアムのアップグレード「Fusaka」がETH価格に与える影響

イーサリアムのアップグレード「Fusaka」は、イーサリアム利用者が競合するブロックチェーンに逃げる原因となった技術的制約に対処することによって、市場の熱意を再び高める可能性があります。イーサリアムの機能が強化されれば、ソラナなどの代替資産に移ったプロジェクトや利用者が復帰し、新たな活動や資本がイーサリアムエコシステムに戻ってくる可能性があります。

機関投資家は、ブロックチェーンアーキテクチャのアップグレードを長期的存続可能性の重要指標と捉えています。イーサリアムは「Fusaka」を通じて基盤を強化しようとしています。機を見るに敏な機関投資家は配分戦略を急ぐかもしれません。豊富な知識と経験を持つ投資家は、一般に短期的な価格変動より構造的な改善を重視するからです。

「Fusaka」のPeerDASプロトコルは、データの処理方法と保存方法に革命をもたらします。これは、L2ネットワークの飛躍的進歩を意味します。Blobの容量が8倍に増えれば、これまでL2の成長を妨げていたコストが抑えられます。こうした効率の飛躍的上昇は、イーサリアムのスケーリングエコシステム全体でイノベーションと導入の波が起きるきっかけになる可能性があります。

バリデーターのリソース要件が縮小されれば、ステーキングへの参加が広がるかもしれません。ステーキング契約でロックされるトークンが増えるので、ETHの循環供給量が減少することも考えられます。ユーティリティの増加と供給の減少が重なって、有利な価格ダイナミクスが生じることもありえます。

ただし、イーサリアムのアップグレード履歴を見ると、価格パフォーマンスは毎回良好というわけではありません。ETHの価格はアップデート「Merge」の後は6カ月間で16%以上上昇しましたが、「Dencun」の後は6カ月間で40%以上下落しました。さらに、技術的改良だけでなく、市場センチメントや仮想通貨全般のトレンド、マクロ経済ファクターも価格に影響します。 

イーサリアムの「Fusaka」アップグレードで利益を上げるには

投資家は、次に挙げるような戦略的アプローチを取れば、イーサリアム「Fusaka」アップグレードの恩恵を受けられる可能性があります。

1. アップグレードが発表される前に積み立てておく戦略

テストネットへのデプロイや公式発表前の数カ月間で、ETHを少しずつ積み立てることを検討してください。過去の例を見ると、アップグレードが予想された段階でETHの価格が上昇するケースが幾度となくありました。これは、改良の可能性に期待して投機が活発化するためです。

アップグレードに関わる投資ではタイミングが大切です。仮想通貨市場では、昔から言われる「噂で買って事実で売れ」のパターンが頻繁に展開されます。実際の実装直前に価格はしばしばピークを打ちます。「Fusaka」にメインストリームの注目が集まる前にいち早くETHを蓄積する戦略は、かなり有利に働く可能性があります。

一括投資ではなくDCA(ドルコスト平均法)を採用すれば、積立の段階でボラティリティリスクを軽減することができます。アップグレード前の投機的な価格変動に乗じられるように、予めエグジットポイントを定めておくことを検討してください。技術的改良が加えられたとしても、実装に成功した後で価格が反落することもあるからです。

2. バリデーターの最適化

すでにバリデーターを運用している方やステーキングオペレーションを検討している方にとって「Fusaka」は絶好のチャンスです。PeerDASはハードウェア要件のハードルを下げます。バリデーターの追加が経済的に行えるようになり、ステーキング特典獲得の参入障壁が低くなります。

アップグレード「Pectra」でMaxEB機能が強化された結果、既存のバリデーターを統合して効率を高め、オペレーションのオーバーヘッドを削減することが可能になりました。この統合の可能性に「Fusaka」のリソース効率改善が加わることによって、既存のバリデーターと将来のバリデーターのどちらにも魅力的な最適化の機会が形成されます。

「Fusaka」の改良点を活かすためにインフラストラクチャをアップデートする可能性の高いリキッドステーキングプロトコルを見つけることを検討してください。これらのサービスを利用すれば、投資家は流動性を維持しながらステーキング特典を獲得することができます。つまり、資本のロックアップを強制されることなく、ステーキング特典をかなり自由に受け取れるということです。

3. レイヤー2エコシステムへの投資

おそらく最も戦略的なアプローチの一つは、「Fusaka」で拡張されたデータ可用性の恩恵が最も大きいレイヤー2プロジェクトを特定することです。ロールアップでBlobデータに大きく依存するソリューションでは運用コストが大幅に削減され、競争力が強まる可能性があります。

取引高とガス代を分析すれば、現在、データ可用性の限界に一番悩まされているレイヤー2プロトコルが判明します。「Fusaka」の実装後、これらのプロジェクトでは、ユーザーエクスペリエンスとコスト構造が劇的に改善され、導入が促される可能性があります。

「Fusaka」の新機能を活用しようと積極的に準備しているL2プロトコルを探してください。特に分散型取引所やゲーム、あるいはソーシャルプラットフォームなど、スループットの大きいアプリケーションに焦点を絞ります。ロードマップで「Fusaka」に言及しているプロジェクトは、これらの改良が各プロジェクトの開発戦略とどのように整合するかを認識しているということです。

4. Bybit(バイビット)でのETHの取引とステーキング

Bybitは、「Fusaka」に関係する価格動向を捉えたいトレーダーのために、シンプルでありながらパワフルな取引プラットフォームを提供しています。Bybitの現物市場は、他社より低額の手数料でETHを簡単に購入できるので、アップグレードの前にポジションを建てたい方に最適です。

将来的に高リターンを目指すトレーダーは、BybitのUSDT証拠金無期限契約をご利用ください。資産を直接保有することなく、レバレッジをかけてETHへのエクスポージャーを増やすことができます。このアプローチは、「Fusaka」の重要な開発発表を考慮に入れた短期戦略に適しています。

アップグレードサイクルでよく起こりがちなボラティリティに対処したい方は、Bybitの条件付き注文と損切りツールを投資の保護にお役立てください。トレーダーはこれらの機能を活用し、価格変動に基づいて自動的に買いまたは売りのレベルを設定できるので感情任せの意思決定を減らすことができます。

さらに、Bybitは複数のステーキングサービスを提供しています。投資家は「Fusaka」アップグレードに期待してETHを保有しつつパッシブ特典を獲得できます。このように取引ツールと収益獲得機会を組み合わせれば、さまざまな投資期間やリスク選好に合わせてフレキシブルに投資を行うことができます。

Skinny_Banner-1600x400.webp

終わりに

イーサリアムの「Fusaka」アップグレードとPeerDASプロトコルは、データ可用性の向上を通じて、イーサリアムのレイヤー2エコシステムのスケーリングを大きく飛躍させます。「Fusaka」は、バリデーターがBlob全体をダウンロードしなくてもデータをサンプリングできるようにすることによって、ハードウェア要件を大幅に縮小しつつ、容量を8倍に増やします。これらの技術的アップデートは、利用者の取引手数料を押し下げ、ビルダーは新たな開発の可能性を手にすることができます。技術的アップデートが必ずしも価格に直接影響するわけではありませんが、「Fusaka」は根本的な制約に取り組んでいます。これは長期的な導入を促し、ブロックチェーンエコシステムにおけるイーサリアムの地位を強化する可能性があります。

#LearnWithBybit