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ブルペナントパターン:強気のペナントを用いた取引方法

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ローソク足
2023年6月13日

ブルペナントとは、テクニカル分析で買い場を見つけるために使われる継続チャートのパターンです。

この記事では、ブルペナントパターンと、その特徴を説明します。さらに、暗号資産市場で自信を持ってこの価格形成を見抜き、ひいては取引できるように、他の一般的なチャートパターンと比較します。

この記事のポイント:

  • ブルペナントは、暗号資産の買い場を示す継続パターンです。上昇トレンドに続くもみ合い相場の後に現れます。

  • 強気のペナントパターンは、強力な上昇トレンドを示すシグナルとして、トレーダーに絶好の機会とみなされています。

  • ブルペナントパターンは、明確なエントリーポイントとエグジットポイントを示し、有利なリスク対リターンの比率を特徴とします。ただし、他のパターンに変化したり、反転することもあります。

ブルペナントパターンとは?

ブルペナントは、チャート取引の継続パターンで、強い上昇トレンドの後、価格の変動が一時的に止まり、短期的にもみ合い相場で推移した後、さらに上昇し、再度大きな上昇トレンドに転じます。このパターンは、価格が高値を更新する前にV字型を形成するので、もみ合い相場の形が、しばしばペナント(三角旗)のように見えるため、このように呼ばれています。これはベアペナントのチャートパターンの、正反対になります。

ブルペナントは、暗号資産の価格が強力な上昇トレンドを示す場合に出現しますが、買い手によっては、まだ価格が比較的手頃だと考え、押し目買いをしようと待ちます。一方、買い遅れたトレーダーは不安になり、ポジションを売ることもあるでしょう。その結果、暗号資産の価格は若干下落し、取引高も減少します。 

このもみ合い相場の局面では、取引高が少なくなる傾向があります。暗号資産はレンジ内で不規則に変動し、横ばいで推移しているように思われます。しばらくすると売りが止まり、最後のトレーダーが振り落とされて、取引高が減少します。取引高が減少すると、買い手が投資を再開し、価格が上昇し、上昇トレンドが回復します。

ブルペナントの特徴

ブルペナントには3つの段階があり、下図の各時点に分かれています。 

段階1:この段階は「旗竿」と呼ばれ、暗号資産市場が大きく強力な上昇を見せ、このトレンドを受け、多くのトレーダーが参入します。 

段階2:確立された上昇トレンドが突然停止し、市場がもみ合い相場に移ります。しかし、この下落には、それを維持できるだけの力強さや取引高はなく、すぐに消えてしまいます。このもみ合い相場の局面は、下落は浅く、前回の上昇の38%未満しか戻していません。

短期的な調整は止まり、再び上昇に転じます。重要な違いは、次の上昇は弱く、新高値を更新するのは困難である点です。その結果、価格は横ばいで推移し、それまでの上昇トレンドが勢いを失ったかのような印象を受けます。日足チャートで観察すると、もみ合い相場の局面は1週間から3週間続く可能性があります。チャートの時間枠が小さい場合、もみ合い相場は相対的に短くなります。

段階2.5:2本のトレンドラインをもみ合い相場の外縁に沿って引くと、収束して収縮三角形になります。これは、横ばいの推移を特徴づけるもので、時間の経過とともにレンジの上限と下限が徐々に収束していきます。 

この収縮三角形は、最終的に上昇トレンドの強力な継続につながるため、パターンの定義に非常に重要となります。このもみ合い相場の間、取引高は減少します。強気と弱気の勝負は、むしろ休戦状態にあるように見えます。もはやどちらに転じることもなく、もみ合い相場が続く中、ひたすらポジションを保持しているようです。この時点で、パターンは棒の上に三角形が乗っているように見え(ペナントを形成)、強気取引が仕掛けられます。

段階3:最終的に、もみ合い相場は、最初の上昇と同じように、買い手が戻ってくることで、より高値をブレイクアウトします。これは、FOMOと、買い手が次の大きなトレンドを逃したくないと思うことによるものです。買い手と売り手の不均衡が顕著になり、価格は急速に上昇に転じます。中間戻しの長さは、最初の旗竿の高さと同じくらいになることもあります。つまり、このもみ合い相場は、上昇全体の中間点にあたります。 

ブルペナントとブルフラッグの違い

テクニカル分析の観点からは、ブルペナントはブルフラッグと類似点が多くあります。どちらも上昇トレンドを固める継続パターンです。このような価格整理は、やがてより大幅な上昇につながります。しかし、その形状には若干の違いがあります。ブルフラッグは長方形で、平行なトレンドラインがもみ合い相場の局面にあり、ブルペナントは三角形に似ています。

ブルペナントとブルフラッグのどちらがより強力なパターンかは、アナリストによって意見が分かれます。一方で、ブルペナントの三角形は、市場に売り手がほとんど残っていないことを示唆し、もみ合い相場がより短くなります。これに対して、ブルフラッグの長方形は、潜在的な買い手を「振り落とす」のに効果的で、パターンが終了し、上昇が始まる直前に売りに仕向けます。

いずれにせよ、どちらのパターンも強力な強気上昇トレンドの始まりを示すものであり、トレーダーは好機とみなします。 

ブルペナントとトライアングルの違い

強気/弱気ペナントとトライアングルパターンの違いは何でしょうか?一見すると類似しており、重なる部分も多くあります。ブルペナントのチャートパターンもまた、トレンドラインの収束を含むもみ合い相場の局面において、対称三角形のような形状を作ります。しかし、主な違いは三角形の前後に起こること、そして三角形そのものがどのくらい続くかにあります。

旗竿のように見える急で長期的な上昇から、強気のペナントパターンが現れます。その後、パターンは三角形を形成します。しかし、対称三角形のパターンでは、三角形の前に強いトレンドの動きがある必要はありません。

2点目に、ペナントパターンの三角形が形成された後、ペナントがどの方向にブレイクするかは明白です。もちろん、先行トレンドの方向にブレイクします。強気ペナントの場合は、上方です。通常のトライアングルでは、ブレイクアウトは上方にも下方にも起こる可能性があります。

ペナントターンとトライアングルパターンの3つ目の主な違いは、その継続期間にあります。ペナントの三角形の部分は、典型的なトライアングルパターンよりも期間が短い傾向があります。ペナントの三角形が短期的である理由は、調整の感情が高まっており、大半のトレーダーは、市場に大量の売り注文を出さないためです。一方、通常のトライアングルパターンは何年も続き、小さなトレンドが先行することもあります。

ブルペナントとウェッジの違い

強気ペナントと上昇ウェッジの違いとは何でしょうか?違いを知らなければ、同じパターンに見えるでしょう。例えば、どちらのパターンも、2本の収束線で形成されています。

しかし、2つのパターンの相違点を知れば、その違いは明白です。

まず、パターンの形が微妙に異なります。両パターンともサポートトレンドラインは上を向いていますが、最大の違いはレジスタンストレンドラインの方向です。上昇ウェッジパターンの場合、トレンドラインは収束していても、上側のトレンドラインは下側のトレンドラインと同じ方向に上昇します。強気のペナントパターンでは、上側のトレンドラインは下を向いています。

第二に、大きなトレンドの中でのパターンの位置が大きく異なります。ペナントチャートパターンは、大きなトレンドの中間に位置しています。強気のペナントチャートパターンは、一般的に強い上昇につながります。一方、上昇ウェッジパターンは、大きなトレンドの中のどこにでも確認できる可能性があります。多くの場合、ウェッジパターンは新しいトレンドの始まりや古いトレンドの終わりに出現します。これは、トレンドが自らを整理しようとしたり(始まり)、勢いを失ったり(終わり)するためです。

ブルペナントを用いた取引方法

ブルペナントを見つけられたら、ラッキーです!なぜならば、このパターンを用いた取引で、最も難しい部分の1つは、パターンを見つけることであるためです。その後の取引の準備は簡単でわかりやすいので、見つけた甲斐があるでしょう。

暗号資産チャート上でブルペナントパターンを見つける

時間足チャートを振り返ると、強い上昇トレンドの後に強気のペナントパターンが現れます。最初の動きはパターンの旗竿を形成し、その後、価格はもみ合い相場に入り、横ばいに推移します。

下図では、ビットコインは2022年の長期調整後、2023年1月に上昇に転じました。 

BTCは、一部のトレーダーが利益を確定したため、下げ幅を調整し始めました。横ばいのもみ合い相場の深さは浅く、直前の旗竿トレンドの38%未満しか戻していません。

ビットコインは横ばいの推移に転じ、特に上昇にも下降にも転じていません。外縁に沿って2本のトレンドラインが収束し、パターンが形成され始めているのがわかります。この形成により、ブルペナント取引の理想的な状態が生まれます。

買い(ロング)ポジションを建てる

パターンを見つけたら、ポジションを建てる計画を立てましょう。

最もポジションを建てやすいのは、パターンが一番高くなったタイミングです。市場が新高値まで上昇したら買い注文を建てましょう。パターンの新高値でポジションを建てれば、偽のブレイクアウトから防衛し、ビットコインが本当に新高値に上昇する態勢になっていることを確認するのに役立ちます。新高値に上昇すれば、価格は急騰し、再び大幅な上昇が起こります。

損切りの設定

損切りは直近の安値付近のパターンの下に設定します。 

損切りを設定する最適な場所は、パターンのサポートトレンドラインの真下です。そうすれば、ビットコインがサポートラインを下回れば、ブルペナントパターンは無効となり、別のパターンが展開されていることがうかがえます。

利食のタイミングを知る

通常、ブルペナントは上昇の中間点付近で見られます。最初の上昇を測定し、サポートトレンドラインの終わり付近のブルペナントの末端部分にその上昇を予測することができます。フィボナッチ・エクステンション・ツールは、こうした状況の測定に便利です。

上図のBTCの場合、利食目標は21,000ドル近辺になります。

実際、数日後、BTCは急上昇し、数時間後には21,500ドル近くまで上昇しました。

ブルペナントパターンのメリットと限界

ブルペナントパターンには、限界がないわけではありません。例えば、パターンが展開するにつれ、最初はペナントのように見え、フラッグ、トライアングル、ウェッジへと変化していくかもしれません。これは、ペナントが短いパターンであり、市場環境の変化によって予想と異なる展開になる可能性があるためです。

さらに、三角形のもみ合い相場が長引けば、上昇継続の可能性は低くなります。つまり、反転の可能性が高まることになり、強気のトレーダーにとっては歯がゆい状態になりえます。

この制限を克服するには三角形の安値で買いのポジションを建てるタイミングを計るのではなく、価格が新高値に達するのを待ちましょう。そうすれば、値動きが高値を更新することなく下降した場合も、損失を回避することができます。 

ブルペナントパターンのもう一つの限界は、1分足チャートで追跡していくと、入手できるデータがまばらで、形成された斑点パターンには、欠陥がある場合もある点です。信頼できるシグナルを発するための十分なデータが市場に供給されていません。その結果、チャートの時間枠が小さいと、たとえ強気のブレイクアウトが起きたとしても、大きなリスクが伴います。

おわりに

ペナントは大きな値動きにつながる可能性のある継続パターンです。このパターンの構造を利用すれば、簡単にブルペナントを用いた取引ができます。いったんパターンを見つけることができれば、その後は理想的なリスク対リターンの比率で取引をする機会がある可能性もあります。

この単純さが、ブルペナントパターンが暗号資産トレーダーの間で広く利用されている理由です。

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