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上昇三角形パターンと仮想通貨取引での利用法

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ローソク足
19 Th10 2023

上昇三角形パターンはトレンドの中で生じる保合いパターンです。通常、上昇三角形パターンは、トレンドからのブレイクアウトが発生する保合いパターンです。

この記事では、上昇三角形パターンとは何か、上昇三角形パターンの実例と取引への応用、このパターンを利用するメリットと限界についてご説明します。

三角形パターン(三角保合い)とは

テクニカル分析では3種類の三角形パターン(対称三角形、下降三角形、上昇三角形)があります。これらのパターンはブレイクアウト取引の取引設定に利用できます。各パターンは1つのトレンド内で見られる保合いパターンです。

対称三角形は中立的なチャート形ですが、一般的にはトレンド継続パターンとみなされています。上昇三角形は強気のパターンであり、主に上昇トレンド内に現れますが、下降三角形は弱気のトレンド継続パターンです。トレーダーはどのようなパターンについてもパターン失敗の可能性を予想します。つまり、保合いがブレイクアウトに失敗すると、場合によってはさらに積極的な取引機会につながる可能性があるということです。

上昇三角形とは?

テクニカル分析において、上昇三角形は強気のトレンド継続パターンであり、明確な切り上げまたは上昇トレンドの後に価格が保合いに移行する際に形成されます。この保合いフェーズの間に、市場参加者の不安心理は高まり、価格が比較的速く上下を繰り返すことにより小刻みな価格変動が生じます。

このパターンでは、パターンの上端にある水平なトレンド線と、パターンの下端にある上昇するトレンド線とが、チャート上で直角三角形を形成します。水平な線を引くには、同程度の高値が少なくとも2つ必要です。通常、水平な線は1つの高値を通るだけでも成立しますが、上昇三角形の場合は、水平な上端が成立したことを確認するには2つ以上の高値が必要です。

このパターンを形成する価格変動が表しているのは、買い手が売り手より積極的である期間が続いているということです。このとき買い手は、価格がパターン内の過去のサポートレベルまで下落するのを待たずに、自ら進んで高い価格で買おうとしています。そのようなトレーダーの行動が上昇トレンド線を形成します。上昇三角形が予想どおりの動きをすると、買い圧力が次第に高まって価格を水平な価格ラインより上に押し上げ、価格が強い勢いで上昇するブレイクアウトが発生します。

上昇三角形におけるブレイクアウト

すべての保合いパターンについて、ブレイクアウトには大きな売買高が伴っていることが必要です。そうでない場合は失敗の可能性が高まります。パターンが成立したとみなせるのはブレイクアウトが発生した時点です。ブレイクアウト発生前のパターンは、パターンというより「パターンになるかもしれない動き」です。価格がブレイクアウトレベルより上で引けることにより、パターンが最終的に完成します。

パターンの形成が進むと、トレーダーの関心は次第に薄らぐため、売買高は減少に向かうと考えられます。また、価格が三角形の頂点(2つの線の交点)に接近している場合は、ブレイクアウトの発生時期について何らかのことが読み取れます。ブレイクアウトはパターンの75%以上が完成する前に発生するはずです。そうでない場合は失敗の可能性が高まります。また、保合いパターンである上昇三角形が、より大きなパターンまたは別のパターンに変化していく可能性もあります。

偽のブレイクアウトとパターンの失敗

このパターンは強気シグナルとして使われますが、偽のブレイクアウトやパターン失敗の可能性もあります。長年にわたってテクニカル分析の知識とツールが広まるにつれ、トレーダーは、上昇三角形のようなトレンド継続パターンを、相場の方向を示す従来のような利用法で活用するより、失敗の兆候や弱気転換の兆候として利用することが多くなっているようです。

偽のブレイクアウトは、ブレイクアウト後に価格が予想どおりに動かなかった場合に起こります。価格はモメンタムを失ってその後三角保合いの価格帯に戻り、あるいはさらに下落します。

一方、パターンの失敗はブレイクアウトのシグナルが現れる前に起こることがあります。パターンの失敗が起こると、そのパターンはより大きな保合いパターンまたは別の保合いパターンへと変化し、あるいは弱気転換が発生します。パターン失敗の古典的参入ポイントは、上昇線より下への決定的な下落、または上昇トレンド線の初期における大きなスイングロウより下への下落の時点で発生します。

上昇三角形の収益目標を測定する

パターンの価格範囲から「計測目標」を算出し、そのパターンに基づいて最小収益目標を決定します。パターンの形成が始まる時点における高値と安値の差を計測目標とします。この場合、パターンの形成が始まる時点とは、両方の線が存在しており、かつ低い方の線が始まっている時点をいいます。この価格範囲をブレイクアウト水準に加算し、初期の収益目標を決定します。

上昇三角形のチャートパターンを判定する方法

上昇三角形を判定するには、まず価格の上昇線を見つけることが必要です。次に、保合いを探し、現在検討中のパターンが2本の線を引く基準を満たしているかどうかを確認します。

下の図はイーサリアム(ETH)/米ドルの週次チャートで、下値の切り上げがしばらく続いた後に、価格が保合いに入る様子を表しています。パターンの上下端に2本の線を引くことにより保合いのパターンが明確になります。この例では、上昇方向のブレイクアウトが予想どおりに発生しています。

下の2番目の図はビットコイン(BTC)/米ドルの4時間足チャートで、上昇三角形が形成されつつあると思われる様子を表しています。パターンの形成を確認するには、水平な線を上抜けするブレイクアウトの発生が必要です。このチャートの末尾時点ではまだブレイクアウトを確認できず、パターンは形成中の段階にあります。水平な線を上抜けするブレイクアウトが発生していないため、上昇三角形が成立したとはまだ言えません。

状況の分析:

  • ビットコイン/米ドルは全体的に上昇トレンドにある。

  • 2つの高値が水平な線を形成し、2つの安値が上昇線を形成している。

  • 価格が三角形の頂点に接近するように推移しており、すべてが順調に見える。

  • だが、上昇三角形の斜めの上昇線より下に価格が下落しており、強気パターンが失敗している。

  • したがって、価格がパターンをブレイクアウトするまではパターンが成立したとは言えない。

上昇三角形を用いて取引を行う方法

すべての保合いパターンについて、上昇三角形を利用して具体的な取引プランを構築できます。その場合、そのパターンのパラメータ以外は必要ありません。古典的な参入ポイントは、パターンの上端を上抜けするブレイクアウトの時点にあると考えられます。これは水平な線により示されます。

ブレイクアウトが本物であり上昇が続く可能性があるかどうかを間違いなく確認するために、通常は水平な線より0.08ドル~0.15ドル上の価格で買いを入れます。ただし、確実なことは何もないので、常に損切りを用いてリスク管理を行い、不測の事態に備えることが必要です。

それでは、上昇三角形のパターンだけを用いて取引プランを構築する戦略の1つを見てみましょう。この例では、上記のイーサリアム/米ドル週次チャートで用いた三角形の設定と同じ設定を用います。

取引プランの構成要素:

  • 設定

  • トリガー

  • 価額

  • 初期損切り

  • 目標

設定:上昇三角形

上昇トレンドの中で、連続する高値と安値により上昇三角形が形成されていることがわかります。価格は三角形の頂点に接近しており、したがってブレイクアウトまたはパターン失敗が間もなく発生すると考えられます。

参入のトリガー:405.09ドル

パターンの水平上端を上回るブレイクアウトの時点で参入します。パターン内の最高値である404.99ドルの0.10ドル上である405.09ドルで参入します。

数量:各トレーダーのリスク管理戦略に応じて決定します。

損切り:304.03ドル

パターンのサポートレベルより0.10ドル下での手じまいを狙います。上昇三角形の底は上昇線なので、上昇トレンド線をサポートレベルとみなすことができます。したがって、それより下への下落は失敗の兆候です。サポートレベルの想定価格を304.13ドルとし、手じまいのトリガーを304.03ドルとします。

目標:506.15ドル、+ 66.7%

パターンの価格範囲から計測目標を算出し、最小収益目標を決定します。高値の404.99ドルから安値の134.78ドルを引いた値が、高安幅である270.21ドルとなります。この高安幅を高値に加算して得られる506.15ドルが収益目標となります。この目標を取引の収益目標として用います。

リスクリワード比率(RR比率):360倍

この取引はリスクに見合うでしょうか? ほとんどのトレーダーが用いる標準的な最小RR比率は3:1です。これは1ドルのリスクに対して利益が3ドルであることを表しています。このイーサリアム/米ドル取引のRR比率は、目標となる収益を発生可能損失で割ることにより求めます。つまり、270.21ドル ÷ 0.75ドル = 360倍となります。これは非常に高いリスクリワード比率です。この取引は2017年のイーサリアム/米ドル取引ですが、2017年にはこの取引で360ドルを得るためのリスクが1ドルだった(目標を達成した場合)ということになります。ただし、仮想通貨はボラティリティが高いこともあり、目標を常に達成できるとは限りません。そのため、利益が生じる方向に取引が動く場合には、トレーリングストップを用いてリスクを減らす必要があります。

免責事項:提示した事例は学習の用途のみを想定したものです。それらの事例の提示は、実際の金銭による取引を推奨するものではありません。仮想通貨の取引には相当のリスクがあり、お客様が投資決定を行う場合は事前に投資助言者に相談する必要があります。

上昇三角形のメリットと限界

メリット

限界

  • ロングポジションに有利

  • 比較的見つけやすい

  • パターンやブレイクアウトゾーンが明確

  • 参入やリスク管理のパラメータとして有名

  • 複数の参入戦略が採用できる

  • パターンの失敗があるため全面的には信頼できない

  • パターンがブレイクアウトや失敗の兆候を示し、その後さらに大きな保合いや別のパターンに変化していく場合がある

  • 常に目標が達成できるとは限らない

これらの限界の中にもリスクがあります。そこで、影響を軽減する方法を簡単に見てみましょう。どのような取引にも失敗のリスクがあります。したがって、損切りを用いて損失発生の可能性をコントロールすることが必要です。上昇三角形パターンの質のよしあしも各パターンによりさまざまです。知識が増えるにしたがって、上昇三角形の選別をうまく行えるようになります。また、1つのパターンをそれより大きいパターンの中に位置づけることにより、別の洞察が得られる場合があります。あるいは、複数期間分析フィボナッチ比率分析といったテクニカル分析ツールを併用すれば、パターンの設定をより大きな背景の中で捉えることができ、さまざまな選択肢の中から最適な設定を選べるようになります。

上昇三角形と上昇ウェッジ

上昇三角形と上昇ウェッジは、どちらも上昇線を下端とする保合いパターンですが、上端の線については解釈が異なります。上昇三角形は強気の保合いパターンであり、買い手の行動が価格を水平な線より上に押し上げます。上昇ウェッジは強気パターンのような語感ですが、実際には弱気パターンであり、買い手が時間とともに減少していくことを表しています。ウェッジは下降トレンドと上昇トレンドの両方で弱気であり、その点でも上昇三角形と異なっています。上昇ウェッジでは両方の線が上向きであり、最終的に交差します。

上昇三角形と対称三角形

通常、対称三角形のパターンは保合いパターンとみなされますが、形が上下対称であることにより上下どちらかへのブレイクアウトが起きやすいパターンです。パターンの上端と下端に引いた収束線は、それぞれ強気と弱気の性質を表しています。つまり、対称三角形は、保合いの期間中に強気の投資家と弱気の投資家がどちらも積極的になっているという矛盾した状態を表しています。

上昇三角形と下降三角形

上昇三角形は強気のパターンですが、下降三角形は弱気の保合いパターンです。その2つはどちらもトレンド継続パターンです。下降三角形は主に弱気トレンドで用います。下降三角形では、パターンの下端に水平な線を引き、パターンの上端に下降線を引きます。パターン内の水平なゾーンから価格が上昇すると売り手の動きが次第に活発となりますが、それを表しているのが下降トレンド線です。この売り圧力により、価格が水平な価格レベルを下回ることになります。それを弱気のトリガーとして用います。

おわりに

上昇三角形は強気のトレンド継続パターンであり、上昇トレンドの中で現れます。上昇三角形は、水平な上端トレンド線と上昇する下端トレンド線との間で資産価格が変動する場合に形成されます。斜め上に上昇する線は、パターンの進行に伴って買い手が次第に積極的になっていることを表しています。上向きのブレイクアウトが発生すると、価格モメンタムの急拡大という形で、買い手が積極的になっていたことが明らかになると予想されます。取引戦略の構築に必要な情報はすべてこのパターン内に含まれているため、上級者だけでなく初心者も上昇三角形を簡単に利用できます。

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