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ピア・ツー・ピア・ブロックチェーンネットワーク:P2P暗号資産取引所の発展

初心者向け
P2P取引マスター
取引
3 de feb de 2022

暗号資産は世界中で爆発的な人気を誇っており、その利用者数は世界で3億人と推定されています。最も有名な暗号資産であるビットコインは、銀行やブローカーなどの中央集権型の仲介者を必要としないピア・ツー・ピア(P2P)トランザクションモデルを採用しており、匿名のユーザー同士で直接価値を交換する目的で開発されました。このようなP2Pモデルは、ビットコインを始めとしたすべての暗号資産の基盤となるピア・ツー・ピア・ブロックチェーン技術に採用されています。

今回は、ピア・ツー・ピアネットワークの仕組み、暗号資産取引所への導入、暗号資産分野に革命を起こしているピア・ツー・ピア・ブロックチェーン技術について解説します。

P2Pネットワークについて

P2Pという用語は、ピアまたはノードを含む相互接続されたコンピュータシステムの分散型ネットワークを意味します。すべてのノードは同じように機能し、データの交換はセントラルサーバーなしで行われます。つまり、各コンピュータやノードはファイルサーバーとしてもクライアントとしても機能します。例えば、クライアントとして動作する場合、ノードは他の参加者からデータをダウンロードできます。一方でサーバーとして動作する場合、データのダウンロード元になることができます。

簡単に言うと、ピアあるいは参加コンピュータシステムは、同じネットワーク上でリソースを同時に消費することも提供することもできます。ここでいうリソースとは、ファイル、ストレージ、スキャナやプリンタへのアクセス、または処理能力のことです。中央集権型組織も存在せず、単一障害点もありません。相互に接続されたすべてのノードは、ファイルの保存、配布、アップロードに関与することができます。取引はピア・ツー・ピア(P2P)で実行され、仲介者は存在せず、当事者同士で直接行われます。

P2Pの仕組み

ネットワーク上の各ノードは、中央集権型組織や管理者を通さずに、他のすべてのノードとファイルを共有します。前述のとおり、ノードはネットワーク上の他のノードに対して、クライアントとしてもサーバーとしても機能します。P2Pネットワークは、クライアントがセントラルサーバーに特定のリソースを要求する従来型のクライアント/サーバーネットワークとは異なっています。 

クライアント/サーバーとピア・ツーピア・ネットワークの比較

1979年、デューク大学の大学院生Jim EllisとTom Truscottは、P2Pネットワークの最も初期の実装であるUsenetを開発しました。Usenetとは、セントラルサーバーや管理者なしでユーザー同士がメッセージやニュースを共有できる通信システムです。現在のインターネットの原型となっている、米軍が所有していたARPANETに代わるものとして開発されました。ただし、当時の利用者は学術界と初期のコンピュータ愛好家に限られていました。

P2Pネットワークが有名になったのは、1999年にShawn Fanningが開発したNapsterの登場がきっかけです。Napsterとは、ユーザーが音楽ファイルを共有してダウンロードできるピア・ツー・ピア共有ネットワークです。このネットワークはエンターテインメント業界に大きな衝撃を与え、爆発的な人気を博しました。2000年には、Napsterのユーザー数は2000万人を超えました。

しかし、音楽業界はNapsterの使用料無料の革新的なビジネスモデルを快く思っておらず、一連の訴訟や活動を起こし、2001年には規制当局によって閉鎖されてしまいました。しかしながらNapsterは、LimeWire、Kazaa、Morpheus Gnutella、BitTorrentといった類似のファイル共有P2Pネットワークへの扉を開き、さらにP2Pは2000年代に大きく発展していきました。

P2Pモデルは初期のファイル共有ネットワークから、ピア・ツー・ピア・ブロックチェーン技術を使用した価値の転送ネットワークへ、革新的な発展を遂げました。そして2009年、サトシ・ナカモトがビットコインを発表し、暗号資産の新時代が到来しました。ビットコインはP2P技術の新たな活用事例となりました。

サトシ・ナカモトは、 不変性が重要視されてこなかった従来のP2Pシステムとは対照的に、連結して増え続け、改ざんも修正も不可能な取引記録を保存するためのノードシステムを導入しようと考えていました。P2Pネットワークは、暗号資産を実現するピア・ツー・ピア・ブロックチェーン技術の基盤構造です。その分散型アーキテクチャの安全性は非常に高く、第三者による仲介を必要としません。

P2Pネットワークの種類

P2Pネットワークは、「非構造化」「構造化」「ハイブリッド」という3つのアーキテクチャによって分類されます。

構造化ネットワーク

構造化P2Pネットワークでは、広く流通していないファイルであっても各ノードがリソースを検索して探し出すことができます。多くの場合、分散ハッシュテーブルを使用し、各ファイルを特定のピアに関連付けています。これにより、参加ノードはキーに割り当てられた値を簡単に取得できます。

この構造は便利ですがデメリットも存在します。構造化ネットワークでは、特定の条件を満たす近隣ノードのリストを記憶しておく必要があります。このように自由度が低いため、解約率の高いネットワークに対してはあまり有効ではありません。

非構造化ネットワーク

非構造化ネットワークは最も一般的なネットワークであり、簡単に構築できます。非構造化ネットワークのノードは、構造化することなくランダムに接続されます。そのため、局所的最適化が可能です。すべてのノードが同じように機能するため、非構造化ネットワークは堅牢なネットワークであり、高い解約率(つまりP2Pネットワークへのピアの参加や脱退の頻度が高い)にも耐えることができます。

ただし構造化されていないため、あまり流通していないファイルを検索して取得することは困難です。ファイルを検索しているピアは、目的のファイルを持っているピアをできるだけ多く見つける必要があるため、検索クエリをネットワークへ大量に送信する必要があります。このような検索クエリの大量送信はメモリを大量に消費する上、各ピアには特定のコンテンツが割り当てられていないため、目的のファイルが見つかる保証もありません。

ハイブリットネットワーク

ハイブリッドP2Pモデルとは、従来のクライアント/サーバー・モデルとピア・ツー・ピア・モデルを組み合わせたものです。通常のハイブリッドモデルは、集権型の構造化サーバー/クライアント機能(ノードがお互いを見つけられるようにサポートする等)を提供するセントラルサーバーと、単一の非構造化ピア・ツー・ピア・ネットワークのノード等によって提供される分散型アグリゲーションで構成されています。

ハイブリッドP2Pモデルは、構造化P2Pネットワークと非構造化P2Pネットワークの両方のメリットを兼ね備えているため、より優れたパフォーマンスを発揮します。

ブロックチェーンにおけるP2Pの活用例

ブロックチェーン技術の基盤となっているP2Pアーキテクチャは、暗号資産の取引を管理しています。中央集権を介さない資産の交換や送金を実現するため、暗号資産はピア・ツー・ピアのブロックチェーン技術を採用しています。

ブロックチェーンとは、取引履歴をパブリックかつ永続的に保存する分散型台帳技術です。取引データを含む新しい「ブロック」は、過去に記録されたブロックに連結され、データブロックの鎖(つまりブロックチェーン)を形成します。ブロックチェーンは、送信者と受信者のタイムスタンプが含まれたデジタルブロックにトランザクションの記録を永久的に保存します。ネットワークを管理する中央集権組織が存在しないため、参加ノードのみがお互いの取引を検証します。

2008年にサトシ・ナカモトという匿名の人物(またはグループ)がビットコインを開発した時、サトシは仲介者も管理者も存在しない「ピア・ツー・ピア電子キャッシュシステム」(オリジナルのホワイトペーパーの記事を参照)を構想していました。P2Pネットワークは、取引の分散型台帳を実現するブロックチェーン技術の重要な要素です。このシステムは「トラストレス(管理者が存在しないという意味)」であり、ネットワークのアーキテクチャ自体が取引の完全性を保証します。

ここで、ピア・ツー・ピア・ブロックチェーンが持つ分散化に関する基本概念が活きてきます。ブロックチェーンは中央集権型組織や監視されたサーバーに保管されるのではなく、ネットワークに存在するすべてのノード(世界中どこでも)に分散して保管されます。その結果、各ノードはブロックチェーン(および取引情報)のコピーを保持します。これにより、ネットワーク上に保存されたデータの安全性と妥当性を確保することができます。

ブロックチェーンの機能

ブロックチェーンの認証プロセスに参加するにはどのような条件が必要なのか気になる方もいるかもしれません。基本的に、ノードを設定すれば誰でもブロックチェーンの認証プロセスに参加できます。ただし、いくつかの計算要件を満たす必要があります。ビットコインの場合、Bitcoin Coreというソフトウェアをインストールし、BTCブロックチェーンのデータをすべてダウンロードすることでノードを設定できます。

これにより、ブロックチェーンの透明性、平等性、民主性が実現します。また、一個人や団体がブロックチェーンを支配できないようになっています。これは、GoogleやVisa、政府機関など、単一の組織がすべてのデータを管理する従来の中央集権型データベースとは対照的です。このように、ブロックチェーン技術は従来のビジネスや通信のあり方を大きく変える可能性を秘めています。

さらに特筆すべき点として、マイニング業者(ビットコインの取引を検証するノード)は、暗号資産のエコシステムの維持に貢献することで報酬を得ることができます。これらのノードは、分散型台帳の正当性を認証し、ネットワークのセキュリティを確保するという極めて重要な役割を担っています。

ピア・ツー・ピアのブロックチェーン技術は最も人気のあるビットコインを始め、さまざまな暗号資産を生み出しました。ブロックチェーンは、金融、ゲーム、NFT、データアプリケーションなどにも対応しています。ブロックチェーン技術はまだ発展途上ですが、ビジネスにおいてもパブリックな分散型台帳システムを応用して業務を最適化する方法が模索されています。

P2Pネットワークのメリットとデメリット

P2Pネットワークはファイルやデータの共有サービスで革命を起こし、さらに検閲への耐性や効率的なトランザクションも実現しました。クライアントがセントラルサーバーに情報を要求するクライアント/サーバーネットワークとは対照的に、P2Pネットワークではノードが互いに直接通信することができます。このような分散型設計のメリットとして、ネットワークの効率化、耐障害性、プライバシーの向上などが挙げられます。しかしP2Pネットワークには、設計時や使用時に注意しなければならないデメリットもいくつか存在します。

P2Pネットワークのメリット

  • ネットワーク効率の向上:P2Pネットワークでは、各ノードがデータのルーティングとフォワーディングに参加します。専用のルーターやサーバーが不要になるため、ネットワーク効率を向上させることができます。

  • 耐障害性:P2Pネットワークは、中央集権型のネットワークに比べて耐障害性が強く、1つのノードを失っただけではネットワーク全体の機能は失われません。

  • プライバシー:P2Pネットワークは中央集権型ネットワークとは異なり、ユーザーのデータを保存したりアクセスしたりする中央集権型組織が不要なため、よりプライバシーが保護されると考えられています。

  • スケーラビリティ:P2Pネットワークはスケーラブルに設計されています。各ノードあるいはピアはサーバーとして機能することもでき、クライアントの数が増えた時に中央集権型システムで発生するような障害を防ぐことができます。なぜなら、P2Pネットワークではクライアントの数が増えればサーバーの数も同じだけ増えるためです。

  • 費用効率の高さ:P2Pネットワークは、費用が中央集権型組織に集約されることなく分散されるため、費用効率が非常に高いです。また、各ノードが複数の役割を担うため、拡張性の高い効率的なネットワークを実現します。 

  • コンセンサスメカニズム

: ピア・ツー・ピア・ブロックチェーンはコンセンサスの仕組みが基本であるため、データの修正・改ざんのリスクを軽減することができます。 

P2Pネットワークのデメリット

  • 速度遅延:P2Pネットワークでは、すべてのノードに接続するために必要なホップ数(あるネットワークセグメントから次のネットワークセグメントへのデータパケットの移動数)が増加するため、中央集権型ネットワークよりも速度が遅くなります。

  • 管理の難易度が高い:P2Pネットワークは、中央集権型ネットワークとは異なり、ネットワーク運用を行う中央集権組織が存在しないため、管理が困難になる可能性があります。例えばP2Pネットワークでは、多数のノードからウイルスが侵入した場合にマルウェアの攻撃を受けやすくなる恐れがあります。また、P2Pネットワークは分散化されているため、禁止行為や違法取引に対する監視・制御がより難しくなります。

  • 計算能力プルーフ・オブ・ワーク(PoW)のブロックチェーンの場合、一部のネットワークでは情報の更新に膨大な計算力が必要となるため、環境に関する問題が懸念されています。

P2Pネットワークのメリットとデメリットを検討する場合は、P2Pと中央集権型のどちらのネットワークが最適か、ユースケースごとに考慮する必要があります。P2Pネットワークは、ネットワーク効率、耐障害性、スケーラビリティの向上に役立つツールですが、中央集権型ネットワークの方が最適なケースもあります。

P2P暗号資産取引所について

P2P暗号資産取引所とは、暗号資産の販売者と購入者が第三者を介さずに取引できる分散型プラットフォームです。通常の暗号資産取引所の「オーダーブック」方式とは異なり、P2P取引所では既存のソフトウェアを使用して、購入者と販売者同士の直接取引を提供しています。

P2P暗号資産取引所は、利用者から提示されたさまざまな売買のオファーを掲載しています。暗号資産の購入希望者は、自分の希望する条件を提示している販売者を探すことができます。プラットフォームでは、さまざまな販売者が異なる最小/最大取引額、支払い方法、通貨レートを提示しています。このような分散型取引所では、自分自身で取引を管理し、中央集権型組織の関与なしに相手と取引ができます。そのため、セキュリティ機能は非常に重要です。

P2P暗号資産取引所の多くは、取引の安全性を保証するためにエスクロー決済システムを導入しています。また、本人確認(KYC)を実施することで、暗号資産取引所における詐欺や不正行為を防止しています。二段階認証やSSLプロトコルなどの機能を導入しているかどうかも、P2Pプラットフォームの信頼性の判断材料となります。

暗号資産のP2P取引のメリット

P2P暗号資産取引所には、いくつかの主なメリットがあります。例えば、従来のマーケットプレイスとは異なり、P2P取引所は仲介者の介入なしに運営されています。そのため、参加者は暗号資産の売買取引について多くの裁量権を持っており、適切と思われる取引相手を選んで取引することができます。

一般的にP2P暗号資産取引所は、中央集権型のプラットフォームより安い手数料を提供しています。なぜなら、P2Pネットワークの分散型の仕組みではカストディアンや第三者への支払いが不要であるためです。

そしてP2Pプラットフォームでは取引を行うために利用者が保有する資金を一切保持しないため、より安全な取引環境を提供します。さらに、取引条件が整うまで資金を預かるエスクロー方式を採用することで、不正な取引を防止しています。

もう一つの重要な点は、P2P暗号資産取引所は政府の介入や規制のないオープンなプラットフォームであるということです。暗号資産を規制している国に居住している場合、P2P暗号資産取引所は資産を取引する手段として非常に有効です。

しかしながらP2P取引には、取引の不確実性や流動性の問題などいくつかの問題点も存在します。購入者や販売者が取引の途中で考えを変え、トラブルが発生する可能性もあります。取引所によっては流動性が低いため、トランザクションが大幅に遅延する恐れもあります。その一方で、取引手数料がゼロのP2Pマーケットプレイスも存在します。

まさにBybitが新たに提供を開始したP2Pサービスもその一例です。取引手数料が無料であり、隠れた手数料も一切ありません。80種類以上の支払い方法にも対応しており、多くの方に利用していただける便利なサービスとなっています。BybitのP2P取引サービスは、安全な取引を提供するためにエスクローシステムを採用しています。

P2PマーケットプレイスとOTC取引所の比較

OTC暗号資産取引とは、標準的な取引所プラットフォーム以外で暗号資産を売買することを意味します。この取引には、販売者と購入者の間に入って取引の交渉を行う中央集権型組織のブローカー・ディーラーが関与しています。

OTC取引は一般的に、スリッページ(約定価格が予想と異なること)を避ける目的で高額取引を行う際に利用されます。スリッページは変動の激しい暗号資産で頻繁に発生します。OTC取引のもう一つのメリットは、プライバシーと匿名性が保護される点です。ブローカーは販売者と購入者の直接取引を不要にし、個人情報を保護します。ただし、取引の透明性の低下やリスクの高い規制など別の問題が発生する恐れもあります。 

これに対してP2Pマーケットプレイスは、購入者と販売者の直接取引を実現するための高速で分散化されたプラットフォームを提供します。ピア・ツー・ピア・ブロックチェーン取引にはブローカーが介在せず、OTC取引のように時間のかかる交渉プロセスもありません。 

ピア・ツー・ピア・ブロックチェーンネットワークでは、販売者と購入者が取引を直接管理できるため、自分の希望に合った取引相手を選択することができます。さらにP2P取引はOTC取引よりも低い取引手数料ですぐに取引が完了します。 

ピア・ツー・ピア・ブロックチェーンネットワークのさまざまな用途の中でも、暗号資産は金融業界において将来性のある取引手段として絶大な人気を得ています。P2Pネットワークの「分散化と非中央集権化」という思想が、暗号資産と分散型取引所(DEX)の両方の発展の原動力となりました。 

その主な目的は、中央集権型組織への依存から脱却し、オープンソースの台帳を備えた透明性の高いネットワークを構築することでした。さらに暗号資産ネットワークは、悪意のある攻撃に対抗する高いセキュリティと耐性を備えています。そしてP2Pマーケットプレイスには、OTC取引所に存在しているような中間業者を必要としません。

結論

信頼性と安全性の高い分散化された仕組みのおかげで、P2Pは多くのサービスやアプリケーションの基盤技術となっています。現在、ファイル共有アプリケーション、オンラインマーケットプレイス、オープンソースソフトウェアなどでP2Pネットワークが活用されています。 

暗号資産と分散型台帳技術はP2Pモデルの画期的な成功例であり、金融業界において高い安全性と透明性を提供しています。P2P暗号資産取引所の出現によって暗号資産の世界は次のステップに到達し、ピア・ツー・ピア・ブロックチェーン技術を活用することによって、真の分散型ネットワークを構築しています。