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LUKSO(LYX):デジタル文化の未来を支えるEVMブロックチェーン

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2025年3月12日

イーサリアム(ETH)の標準規格、ERC-20(代替性トークン規格)とERC-721(非代替性トークン規格)は、仮想通貨(暗号資産)の利用者と分散型アプリ(DApp)がインタラクションを行う手段に革命的な変化をもたらしてきました。しかし、ここ数年、Web3において、さらなるインタラクティブ性とセキュリティを求める声が高まっており、これらの規格の限界が顕著になっています。 

LUKSOは、代替性資産とNFTの独自バージョンの規格を導入しているレイヤー1ブロックチェーンプラットフォームです。このイーサリアム仮想マシン(EVM)互換ブロックチェーンは、代替性資産と非代替性資産にそれぞれLSP7とLSP8という新しい規格を導入しており、仮想通貨とトークンをオンチェーンで使用する際のセキュリティと柔軟性を大幅に向上させています。

LUKSOのもう1つの革新的な機能は、ユニバーサルプロファイルです。ユニバーサルプロファイルは、プラットフォームとアプリ間でシームレスにインタラクションできる、統合された柔軟なブロックチェーンアイデンティティを各利用者に提供します。

こうしたイノベーションを駆使したLUKSOチェーンは、クリエイティブなプロフェッショナル、ブランド、SNS利用者のための次世代分散型ネットワークとして自らを位置付けています。 

本記事では、ライフスタイルおよびファッション業界における一部の有名ブランドなどで採用されている、この新しいブロックチェーンについて詳しく見ていきます。

この記事のポイント

  • LUKSO(LYX)は、ユニバーサルプロファイルや、機能の豊富なトークン規格など、複数の革新的な機能を提供するレイヤー1ブロックチェーンです。利用者がデジタル空間で交流し、購入し、インタラクションする手段を改善しています。

  • このプラットフォームは、サービス提供者ではライフスタイル、ゲーム、ファッションなどの業界のクリエイターを、サービス利用者ではSNSユーザーをターゲットとしています。

  • LUKSOのネイティブ仮想通貨であるLYXトークンは、ガバナンス、ガス代の支払い、ステーキングに使用されています。

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LUKSOとは?

LUKSO(LYX)は、EVM互換のレイヤー1ブロックチェーンです。利用者のデジタルライフスタイルを統合し、クリエイティブな業界と商品にフォーカスしています。LUKSOは、さまざまなプラットフォーム間で、物理資産とデジタル資産の両方の連携やインタラクションを簡単に行えるシステムを作り出すことを目指しています。つまり、このプラットフォームでは、クリエイターとコンシューマーが、さまざまなデジタル環境で、非代替トークン(NFT)、トークン、トークン化された物理的な商品など、多様な資産を所有し、使用することができます。

LUKSOは、代替性トークンのLSP7およびNFTのLSP8など、革新的なトークン規格を複数導入しています。既存の対応するイーサリアム規格(ERC-20とERC-721)より優れた機能性とセキュリティを実現することを目的としています。このプラットフォームは、特にファッション、ゲーム、SNSなどの業界におけるデジタルな世界で、資産をトークン化し、転送し、やり取りする手段を効率化することを目指しています。

プラットフォームのカギとなる機能は、ユニバーサルプロファイルです。統合され、機能が充実したWeb3プロファイルを利用者が所有し、構築できるようにするユーザーアカウントです。

LUKSO:原点とユースケース

LUKSOのプロジェクトは2017年、ドイツ人のブロックチェーン開発者、Fabian Vogelsteller氏と、ベネズエラ出身のストラテジストでイノベーションコンサルタントのMarjorie Hernández氏によって立ち上げられました。共同創始者の2人は、それぞれの領域ですばらしいキャリアを歩んできました。Vogelsteller氏はブロックチェーンの初期に、イーサリアムの中心的な開発者の1人でした。Vitalik Buterin氏とともに、最初のERC-20規格を提案しています。Hernández氏は、イノベーションと戦略の輝かしいキャリアを有しています。ベルリンを拠点とするErnst & Young(EY)のイノベーションラボを率いてきました。

プラットフォームのメインネット(ブロックチェーンの本番環境)は、2023年5月に立ち上げられました。

LUKSOの主なユースケースは、クリエイティブな業界、クロスプラットフォームのソーシャルインタラクション、そしてアイデンティティ管理が中心となっています。たとえば、ブランドとデザイナーは、このチェーンを活用して、バーチャルの洋服やアクセサリーを表すデジタル資産を作成し、取引することができます。ブロックチェーン環境とほとんど関わりのなかった商品をオンチェーンで簡単に収益化できる場となっています。一方、SNSでは、個人が分散型アイデンティティ管理を通じて、バーチャルのアイデンティティを所有し、構築できるようにLUKSOがサポートします。このテクノロジーは、オンラインのレピュテーションシステム、認証情報の検証、およびクロスプラットフォームのSNSインタラクション全般で役立てられる可能性があります。

LUKSOのエコシステムは、クリエイターとコンシューマー向けのさまざまなアプリを特徴としています。エクスプローラーとウォレットアプリを包括したUniversal Everythingがあり、利用者は自身のユニバーサルプロファイルを活用できるようになっています。Universal Pageも重要なアプリです。Universal Pageは、このプラットフォームのネイティブ仮想通貨であるLYXのNFTマケプレおよびステーキングソリューションです。また、Universal Swapsアプリは、LYXおよびクリエイター固有のトークンのトークンスワップと流動性の提供をサポートします。 

このプラットフォームのエコシステムは、ファッションおよびライフスタイル業界で最も有名ないくつかのブランドのアプリもホストしています。たとえば、モード界の皇帝とも呼ばれるKarl Lagerfeldのファッションブランドや、雑誌Vogueのイタリア版などです。

LUKSOの仕組み

LUKSOは、Casper(CSPR)のプルーフ・オブ・ステーク(PoS)ブロック検証手法を使用します。イーサリアムが2022年にプルーフ・オブ・ワーク(PoW)からPoSに移行した際に採用したモデルとまったく同じです。チェーンのブロック確認時間も、イーサリアムとほぼ同じで、約12秒です。主な違いは、バリデーターノードの設定と実行に参加するための資金面の壁にあります。

LUKSOでは、バリデーターノードのステーキング要件として、必要な担保はわずか32 LYX(約27ドル)です。約59,506ドルに相当(2025年3月11日現在)する32 ETHというはるかに高額の担保を必要とするイーサリアムとは対照的です。

他のバリデーターとは異なり、32 LYX以上を入金しても、ノードにさらなる権利は付与されません。これにより、1人のバリデーターがブロック検証プロセスに対して過度な影響力を得ることを防ぎ、ネットワークの全体的な分散化を強化しています。イーサリアムで使用されているシステムと同様に、バリデーターはトランザクションの処理に対してブロック特典を受け取ります。しかし、バリデーターが不正行為を働いたり、オフライン状態が長すぎたりすると、スラッシングの形で金銭的なペナルティを科される可能性があります。

LUKSOの規格(LSP)

LUKSOの規格はLSPとして知られています。LUKSOのプラットフォームを、イーサリアムやその他の人気の高いPoSチェーンのプラットフォームと差別化するカギとなる要素です。規格は、2つの主なタイプに分けられています。 

  • インターフェース規格は、スマートコントラクトの実行時に使用できる一連の関数を定義しています。代替性資産タイプと非代替性資産タイプの関数があります。

  • メタデータ規格は、コントラクトで保存されるデータの形式を定義し、どのデータキーを使用するか、どのように情報を取得するかを指定します。

LUKSOはいくつかの規格を作り出しています。開発者に最も関わりがあるのは、おそらくLSP7、LSP8、およびLSP4です。それぞれ、これらの資産タイプの代替性トークン、NFT、メタデータの形式を定義しています。

LUKSOの主な特長

ユニバーサルプロファイル

ユニバーサルプロファイルは、LUKSOベースのユーザーアカウントであり、さまざまなDAppとのインタラクション中に、利用者の包括的な分散型アイデンティティとして機能するように設計されています。このプロファイルは、代替性トークン、NFT、パーソナライズされた利用者情報を保管することができます。統合された情報源から、これらすべてに簡単にアクセス可能です。

ユニバーサルプロファイルは、イーサリアムや他のチェーンで使用される標準的なアドレスより、はるかに柔軟性があり、安全です。ガスレストランザクション、不正検知、オンチェーンレピュテーション管理などの機能を利用できるようになっています。

セキュリティ機能が優れているだけでなく、プロファイルをカスタマイズして、利用者の写真、プロフィール、およびその他のパーソナライズされた詳細情報を簡単に追加することもできます。これにより、LUKSOの利用者は、ただ長いだけで面白みがなく、覚えにくいアルファベットと数字の記号が入った標準的なブロックチェーンアドレスより、具体性のある情報が豊富な真のデジタルアイデンティティを確立できます。

トークンとNFT

LUKSOネットワーク上の代替性トークンとNFTは、主に2つの重要な規格を用いて表されます。代替性トークンではLSP7、NFTではLSP8です。

LSP7規格は、LUKSOチェーン上の資産の形式と機能を定義しています。これを使用して、代替性資産と非代替性資産の両方を作成することができます。LSP7規格で作成されるアイテムは、分割可能でもあり、分割不可でもあります。つまり、資産を小さな単位に分割できる場合も、分割できない場合もあります。

LSP7には、イーサリアムのERC-20規格と比べて、いくつかのメリットがあります。 

  • 高度にカスタマイズされたメタデータをLSP7トークンに付加できます。一方、ERC-20トークンでは、きわめて限られたメタデータしか関連付けられません。 

  • ERC-20と比べると、LSP7トークンには大きなセキュリティ上のメリットもあります。たとえば、このトークン規格は、トランザクションが発生したときに、送信者と受信者の両方に通知する機能を備えています。この機能は、イーサリアムの代替性トークン転送では利用できません。 

  • ERC-20トークンとは異なり、LSP7の資産はバッチモードで送信できます。

LSP7、LSP8、およびNFT 2.0

開発者が独自の資産(つまり、NFT)を作成する必要がある場合、このプラットフォームのLSP8規格を使用することができます。LSP8規格は、コレクション内のそれぞれのアイテムに異なる識別子がある場合でも、そのコレクションに使用することが可能です。たとえば、デジタルウォッチ100個のコレクションで、それぞれに固有の刻印がある場合、アイテムを明確に識別できるようになります。

LSP7とLSP8の規格はともに、LUKSOブロックチェーンにおける新世代のユニークなトークンであるNFT 2.0の道を切り開き、従来のNFTよりはるかに高いカスタマイズ性と柔軟性を実現しています。LSP7とLSP8では、NFTが更新可能で豊富なメタデータを持つことができるようになっており、静的なメタデータのERC-721とは異なっています。LSP7は主に代替性資産向けに設計されていますが、コレクション内のアイテムがユニークでない限り、「NFTのような」コレクションをサポートします。一方、LSP8は、独自の特徴を持つユニークな資産に適しています。 

どちらの規格も、NFTはより詳細で、カスタマイズ可能なデータをオンチェーンで保管できます。対照的に、ERC-721はNFTの名前、シンボル、およびIDのみを保管します。これは、OpenSeaなどのNFTマケプレが閉鎖した場合、NFT保有者にとって問題となる可能性があります。NFTの視覚的な表現がプラットフォームとともに消えてしまう恐れがあるためです。

NFT 2.0は、ユニバーサルプロファイルを通じて、メタデータの変更を追跡し、クリエイターのアカウントを検証することもできるため、より動的で、IPFSや中央集権型ストレージなどの外部ソースへの依存度が低くなっています。

ミニアプリ

LUKSOブロックチェーンはミニアプリも備えています。ミニアプリは通常、大規模なアプリケーションやウェブサイトに組み込まれている、小規模な埋め込み型DAppです。ミニアプリを利用すると、ガバナンスの投票に参加する、クリエイターのLUKSOプロフィールで直接購入する、クリエイターが運営するエアドロップキャンペーンに参加する、他の多くの一般的な仮想通貨ベースの操作を実行するといったことができます。

LUKSOトークン(LYX)とは?

このブロックチェーンのネイティブ仮想通貨であるLYXは、主にガバナンス、ガス代の支払い、ステーキングに使用されます。本記事の執筆時点(2025年3月11日)で、LYXの総供給量は約4,200万、循環供給量は約3,000万です。トークンに供給制限はなく、供給割り当て数量は以下のチャートのとおりです。

LUKSO(LYX)の価格予測

2025年3月12日時点で、LYXトークンは0.8624ドルに達しています。2024年1月17日の過去最高値(ATH)である11.60ドルより92.5%低く、過去最低値(ATL)である0.8628ドルよりわずか1.7%高くなっています。

ビットコインとともに、ほとんどの仮想通貨に影響する現在の下方修正にもかかわらず、LYXの長期的な価格予想の多くは強気となっています。DigitalCoinPriceは、平均価格が2027年に2.92ドル、2030年に4.59ドルになると予想しています。CoinCodexは、トークンが2027年に約0.937ドルで取引されるようになり、2030年には、この数字が3.14ドルに上昇すると予想しています。

LUKSOは優れた投資対象か?

LUKSOのLYXトークンへの投資は、以下の点を考慮して検討してください。

  • LUKSOブロックチェーンネットワークは、利用者がまったく新しいデジタルライフスタイルを生み出せるようにするための複数のテクノロジーを推進しています。新しいクリエイティブ経済を支えるユニバーサルプロファイルや革新的な規格(LSP7とLSP8)があります。このようなイノベーションは、LUKSOプラットフォームとそのトークンであるLYXの将来的な成長の原動力となる可能性があります。

  • LUKSOは、ライフスタイルやファッション業界のクリエイターやブランドによる採用率を順調に伸ばしています。このような分野を直接ターゲットとするブロックチェーン技術に基づいたプラットフォームは多くはありません。LUKSOは、こうした収益性の高い分野に重点を置いているため、ネイティブLYXトークンの長期的な推進力となる可能性があります。

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終わりに

LUKSOのチームは、ブロックチェーン技術を活用して、Web3利用者がデジタルの世界で交流し、購入し、時間を過ごす手段を変えるイノベーションをもたらしています。ユニバーサルプロファイル、適応力の高いNFT 2.0資産、クリエイティブなIPの効率的なトークン化は、いずれもLUKSOをブロックチェーン空間における他の多くのプラットフォームと差別化する独自の機能です。

LUKSOプラットフォームは、クリエイターとコンシューマーの両方に、他では得られない独自の価値をもたらします。特にクリエイティブ業界や、Web3 SNSに強く関心を寄せている利用者の間で、さらなる成長を見せ、普及が進むことが、今何よりも必要とされています。

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