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トランプ氏の仮想通貨(暗号資産)大統領令に関する考察:戦略的ビットコイン準備金および米国デジタル資産備蓄

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ビットコイン
Mar 12, 2025

米国政府は、国家の仮想通貨(暗号資産)準備金を設立するため、、戦略的ビットコイン準備金および米国デジタル資産備蓄に関する新たな取り組みを提案しました。2025年3月7日にドナルド・トランプ大統領が署名した大統領令は、急速に進展する仮想通貨業界おいて同国の地位を確立させることを目的としたものです。戦略的準備金には、時価総額世界最大の仮想通貨であるビットコイン(BTC)が含まれ、デジタル資産備蓄には、ビットコイン以外のデジタル資産が含まれる予定です。 

本記事では、トランプ氏の仮想通貨に対する構想、準備金および備蓄の詳細、対象となる仮想通貨、仮想通貨市場に生じうる影響、同氏の仮想通貨業界に対する幅広い取り組みについて詳しく解説します。

この記事のポイント

  • 米国の戦略的仮想通貨準備金に関する法案では、BTC、ETH、XRP、SOL、ADAが備蓄され、米国をデジタル経済のリーダーとして位置づけることが意図されています。

  • トランプ氏の仮想通貨支持姿勢は、AI・暗号資産(仮想通貨)担当長官としてデイヴィッド・サックス氏を任命するなどの重要な人事にも表れており、米国を「仮想通貨の首都」にすることを目的としています。

  • この準備金の発表によって対象仮想通貨の価格が急騰しました。最近の市場修正にもかかわらず、その影響は依然として続いています。戦略的SUI準備金などの新たな取り組みにより、市場に新たな勢いが生まれています。

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トランプ氏の仮想通貨構想

トランプ大統領は就任以来、仮想通貨を積極的に支持してきました。同政権では、仮想通貨の成長と革新を促進するために、仮想通貨支持政策を展開しています。特に注目された施策は、テクノロジーと金融の専門家であるデイヴィッド・サックス氏を「AI・暗号資産(仮想通貨)担当長官」に任命したことです。サックス氏は、デジタル資産の利用拡大政策を監督し、仮想通貨に好意的な米国社会を作るべく動いています。 

トランプ氏は自身のSNS「Truth Social」で、米国を「仮想通貨の首都」にすると宣言するなど、その熱意を公言しています。

トランプ氏の戦略的ビットコイン準備金

トランプ氏は、2025年1月、第1回ホワイトハウス仮想通貨サミットに先立ち、戦略的ビットコイン準備金および米国デジタル資産備蓄の計画を発表しました。同氏は大統領令14178に署名し、作業部会にこのデジタル資産備蓄を設立するよう指示しました。これは戦略的石油準備金(備蓄)の仮想通貨版、すなわち国家の将来に向けて貴重な資産を確保する手段と考えられます。 

デイヴィッド・サックス氏はX投稿でこの動きを取り上げ、これをゲームチェンジャー(革新の一手)と称しました。この準備金設立は、政府が仮想通貨を長期的な経済手段と考えていることを示唆しています。

戦略的ビットコイン準備金の仕組み

大統領令によって設立された戦略的ビットコイン準備金は、ビットコインが米国の戦略的資産として位置づけられることを目的としており、デジタル版フォートノックス(米政府の金保管庫)の呼称と同様に、価値備蓄機能としての可能性が強調されています。

準備金の資本は、連邦政府がすでに所有しているビットコインからのみ調達されます。ビットコインは、違法行為(薬物密売、マネーロンダリング、サイバー犯罪など)による没収など、民事および刑事における資産没収手続きを通じて取得されたものです。これにより、初期準備金として公的資金で新規ビットコインが購入されることはなく、納税者に新たに負担がかかることもありません。

推定によると、米国政府は現在約20万ビットコイン(現在の市場価格で約165億ドル相当)を保有しています。ただし、こうした保有資産には正式な会計処理が行われていないため、大統領令に従い、全面的な監査が必要とされます。

さらに米国政府は、戦略的ビットコイン準備金に追加されたビットコインを一切売却しないという方針を明らかにしています。同方針は、ビットコインの価値を長期的に保護し、仮想通貨の早期売却による経済的損失を回避することを目的としています。サックス氏によると、過去のビットコイン早期売却では、170億ドルを超える損失が発生したとされています。

最後に、大統領令では、財務省および商務省長官に対して、ビットコインを追加取得する「予算中立的戦略」の策定が承認されています。ただし、この戦略で米国納税者に負担増が発生しない場合に限定されています。予算中立戦略には、今後の没収収益や他の費用のかからない方法を利用するなどの手法が盛り込まれる可能性がありますが、追加取得に関する具体的な計画やタイムラインについては明示されていません。

米国デジタル資産備蓄

主な戦略的仮想通貨準備金に加えて、デジタル資産備蓄に関する新たな大統領令も発足されました。これには、Eleanor Terrett氏のX投稿にあるとおり、訴訟で没収された他の仮想通貨(ビットコイン以外)も含まれます。 

初期の仮想通貨準備金とは異なり、新規資産を積極的に購入するのではなく、財務省の下で既存の保有資産を適切に管理します。目標(ホワイトハウスのファクトシートによる)は、既存の資産価値を集約・最大化し、適切な監視を徹底することで、早期売却による過去の損失を回避することです。

ビットコインへの市場の影響

ビットコインの価格下落については、2025年3月7日に約5%減の8万5,000ドルとなりました。これは、政府によるBTC購入拡大や、より積極的な戦略の発表と期待が引き金となった可能性があります。直近1週間で、ビットコインは市場全体の売り圧力を受け、11.8%下落しました。

トランプ氏の仮想通貨への取り組み

トランプ氏は、仮想通貨について机上の空論に終わらず、実際に行動を起こしています。同氏の政権は、準備金に加えて、例えば、仮想通貨企業に対する複数の訴訟取り下げといった規制改革を進め、革新への道を切り拓いています。

SECによる仮想通貨関連訴訟の取り下げ

トランプ氏が就任して以来、SEC(米国証券取引委員会)は複数の仮想通貨関連訴訟を取り下げています。このような訴訟取り下げによって、不確実性が解消され、企業に試行と成長の余地が生まれました。これは規制体制が緩和されたことを明示する兆候であり、仮想通貨業界を抑圧するのではなく、育成しようとするトランプ氏の姿勢を反映しています。

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このような動きがビットコインを巡る世界的な競争を引き起こす可能性

トランプ氏によ戦略的仮想通貨準備金は、戦略的ビットコイン準備金および米国デジタル資産備蓄として拡大され、米国のデジタル資産にとって重要な転換点となっています。 

米国は、ビットコインなどの没収資産を備蓄する計画により、仮想通貨を巡る世界的な競争に参入し、ビットコインを正当な資産として認識することを示しています。これにより、ビットコインへの資本配分の検討を他国や政府系ファンドに促す可能性があります。 

しかし、一部の傍観者の考えとしては、この大統領令は単にトランプ氏が仮想通貨支持者への義務を果たしているに過ぎず、変革的というより象徴的なものである、とされています。反応の大きかった2024年1月の現物ビットコインETFのローンチというよりは、2021年のプロシェアーズ・ショート・ビットコイン戦略ETFのローンチに似ているとの声があります。この動きが世界的なビットコイン普及のパラダイムシフトを予兆するかどうかは、時間が教えてくれるでしょう。

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