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ライトコイン、ビットコイン、イーサリアムの違いを解説

中級者向け
アルトコイン
2023年9月14日

この数年間、暗号資産への関心は高まり続けています。様々な新しいデジタル通貨が生まれていますが、10年以上前から存在する3つの暗号資産があり、今でも市場における支配的地位を失っていません。

ビットコイン(BTC)は、総合的にトップクラスの暗号資産であり続けており、業界での支配的地位を維持しています。イーサリアム(ETH)は、その周辺に革新的な人々や企業が数多く集まったことにより、ビットコインと対等に競争できる暗号資産として認識されるようになりました。長年にわたり支配的地位を維持しているもう一つの暗号資産は、ライトコイン(LTC)です。

これら3つの暗号資産の詳細については、以下の記事を参照してください。

本記事では、3つの暗号資産の主な違いを解説し、投資対象としてどれが最適かについても検討します。

重要事項:

  • ビットコイン、イーサリアム、ライトコインにはそれぞれ独自の機能と利用事例があります。

  • ビットコインは、安全な価値貯蔵機能としての用途や、容易に海外送金できる点が有名です。イーサリアムはスマートコントラクトと分散型アプリ(DApp)に重点を置いています。ライトコインは取引が高速なため、決済方法として人気を集めています。

暗号資産市場の成長

ビットコインが誕生した2009年以来、暗号資産市場にはおそらく3回の強気相場がありました。具体的には2013年、2017年、2020年で、特に2020年は多くのアルトコインが過去最高値を更新する特別な年でした。また、ビットコインは2021年11月に最高値の6万9,000ドルを記録しています。

これらの強気サイクル以外にも、分散型金融(DeFi)、非代替性トークン(NFT)、メタバースの爆発的な拡大といった市場カタリストがあり、革新的な製品が市場にもたらされました。また、ドージコイン(2013年)や柴犬コイン(2020年)などのミームコインが時折登場し、暗号資産市場の拡大につながりました。

暗号資産は過去10年間に、企業(特にテスラなど)による採用が進み、機関投資家の投資ポートフォリオに追加されるようになりました。また、Web3の可能性も広がりつつあり、暗号資産がさらに幅広く採用されると予想されています。

なぜビットコインは人気なのか?

ビットコインは最初に登場した暗号資産であり、ブロックチェーン技術の可能性を探求する第一歩となりました。ビットコインはあらゆる強気サイクルで最高値を更新し続けています。人気となった理由の一つは、100ドル未満で取引されていた時期に買った人が天文学的な利益を得たことです。

たとえば、2013年7月6日(ほぼ10年前)に67.81ドルの最安値でビットコインを購入し、保有し続けていたとします。2023年5月26日現在の価格は26,278ドルですので、38,800%以上も上昇したことになります。そのため、ビットコインは、長期投資家が価値貯蔵手段として利用できる安全な資産と見なされているのです。

ビットコインは暗号資産の王としての地位を維持し続けています。ほとんどの場合、アルトコインの価格動向はビットコインと同じになります。また、ビットコインの強固なアーキテクチャを使用すると、従来の銀行システムよりも迅速かつ安価に海外送金を実現できます。

現在でもビットコインは優れた投資対象ですか?

はい。ビットコインはトップクラスの優良暗号資産であり、特に安全性の高い暗号資産と考えられています。他のコインよりも歴史が長く、多くのアルトコインで発生したような非常に不安定な値動きに見舞われたこともありません。

また、ビットコインの供給量は、半減期イベントが発生するたびに減少します。半減期イベントは約4年に1回発生します。ビットコインのマイニングが一層困難になるため、供給不足となって価値は高まります。次の半減期イベントは2024年4月に予想されていることから、来年はビットコイン価格が上昇すると考えられます。

イーサリアムの人気の理由は?

イーサリアムは、ビットコインに次ぐ人気を集めている暗号資産です。コミュニティで運営されているプラットフォームであり、スマートコントラクトの力と分散型アプリ(DApp)の有用性を世の中に紹介しました。

イーサリアムの人気の理由は安全な技術にあり、それが数多くの開発者を惹きつけてきました。また、イーサリアムはオペレーションのアップグレードを継続的に実施し、速度の向上とコストの削減に取り組んでいます。2021年にプルーフ・オブ・ワーク(PoW)ブロックチェーンからプルーフ・オブ・ステーク(PoS)ブロックチェーンへの移行を開始し、2022年9月に「マージ(The Merge)」を無事完了しました。

また、大規模アップグレードである「イーサリアム上海アップグレード」を実施し、2023年4月に稼働を開始しました。このアップグレードにより、同プラットフォームに2年近くステーキングされていたイーサリアム(ETH)の出金が可能になりました。

ETHには投資妙味がありますか?

はい。イーサリアム上海アップグレードの実装が成功し、改めて脚光を浴びています。このアップグレードにより、トークンの払い戻しがいつでも可能になりました(以前は無期限にロックされており不可能でした)。流動性を犠牲にせずにネットワークの安全性を確保できるため、イーサリアムプロジェクトに集まる投資家は増えると予想されています。

イーサリアムプロジェクトでは、「マージ」の成功やプラットフォームにおけるその他の継続的な改善を通じて、高額なガス料金(手数料)という課題に取り組み続けています。イーサリアムは、強固なアーキテクチャ、エコシステムの繁栄、長期にわたる安定性、プラットフォームの継続的なアップグレードなどの点から見て、投資する価値がある暗号資産だといえます。

ライトコインに投資するのは有効でしょうか?

現在、ライトコインへの投資は理想的な環境にあります。その理由は、決済システムが活性化していることや、2023年8月に予定されている半減期イベントに大きな期待が集まっていることです。

ライトコインは2011年に登場し、世界中で決済方法として高い人気を保っています。長年にわたり驚異的な成長を遂げてきました。ライトコインはビットコインの「軽量版」であり、高速で安全性の高い取引方法として利用され続けています。

ライトコインの価格は、近々発生する半減期イベントへの期待から急上昇を続けています。市場を観察している投資家の多くは強気です。その理由は、ライトコイン(LTC)のマイニングが今後さらに困難になって希少性が生じ、長期的に価格が上昇すると予想されるからです。

ライトコイン、ビットコイン、イーサリアムの比較

ビットコイン、ライトコイン、イーサリアムは、いずれもオープンソースのソフトウェアプラットフォームであり、コードは公開されています。これら3つの暗号資産はいずれもブロックチェーンベースですが、根本的な違いがいくつかあります。

詳細

まずは各暗号資産の詳細について見てみましょう。

暗号資産

ライトコイン

ビットコイン

イーサリアム

創設日

2011年10月7日

2009年1月9日

2015年7月30日

創設者

チャーリー・リー

サトシ・ナカモト

ヴィタリック・ブテリン

時価総額

(2023年5月)

63億ドル

5,180億ドル

2,170億ドル

コンセンサスメカニズム

ブロックチェーンは公開共有台帳であるため、ネットワーク上で行われる全取引が真正であることを保証できるように、実効性があり、公正かつリアルタイムで、信頼性も高い安全なメカニズムが必要となります。

基本的に、コンセンサスメカニズムとは、ブロックチェーン参加者が行った貢献の有効性を判定するためのガイドラインです。動的に変化するブロックチェーンの環境では、全参加者が台帳のステータスに関するコンセンサスに同意することにより、初めて取引の確認が可能になります。

主なコンセンサスメカニズムとしては、プルーフ・オブ・ワーク(PoW)とプルーフ・オブ・ステーク(PoS)の2種類があります。

PoWを使用するビットコインとライトコインはマイナーに依存しています。マイナーとは、専用ハードウェアを使用して複雑な数式を解くことにより、ネットワークにブロックを追加する人々です。一方、イーサリアムのブロックチェーンはPoSを使用しており、検証者は通貨をステーキングすることによりブロックチェーン上の新しいブロックを検証します。PoSが必要とする計算能力はPoWよりはるかに少ないため、ハードウェア要件とエネルギー消費量を低減できます。

ハッシュ生成のアルゴリズム

ハッシュ生成のアルゴリズムとは、受信データがどのようにブロックチェーンに組み込まれて検証されるかを決定するものであり、3つの暗号資産でそれぞれ異なります。ビットコインはSHA-256アルゴリズムを使用しており、ライトコインはScryptを使用しています。イーサリアムはEthashに依存していましたが、イーサリアム2.0アップグレードを通じてPoSに移行したため、現在ではEthashを使用していません。

ビットコインが利用するSHA-256アルゴリズムは、GPU(画像処理装置)の計算力と、それより少ない量ですがCPU(中央処理装置)の計算力も使用して、取引やブロックを検証しています。ビットコインマイニングの最も一般的な方法は、特定用途向け集積回路(ASIC)を使用することです。ASICとはビットコインのマイニングに特化したハードウェアシステムをいいます。

ただし、ASICは高価で、メンテナンスが難しく、専門知識も必要になるため、多くのマイナーはASICを使用しない方法を選びます。ASICの購入・設定・メンテナンスに必要なスキルやリソース、時間を持っているマイナーは少ないことから、ビットコインのマイニングは集中度と独占度が高まっています。こうした集中化は、ネットワークのセキュリティと回復力を損なう方向に作用します。

ScryptはSHA-256の改良版ですが、よりメモリ集中型であるため、GPU演算論理装置(ALU)への依存度が軽減され、ひいてはASICマイニング機器への依存度も軽減されると言われています。ASICのようなハードウェア機器はあらゆる利用者が購入できるとは限らないため、Scryptによって個人がマイニングしやすくすることを目指しています。これはブロックチェーンネットワークの分散化に貢献します。

ただし、2021年にScrypt ASICマイニング機器が導入されてからは、再び少数の参加者がライトコインのマイニングを支配する状況となっています。

流通

ビットコインとライトコインはトークンの供給量に上限があり、ビットコインは2,100万枚、ライトコインは8,400万枚となっています。ビットコインと比較すると、ライトコインはトークンの供給量が4倍であるため、ネットワークには大きな流動性があることになります。ただし、ビットコインの希少性は価値の向上につながっています。

一方、イーサリアムにはETH供給量の上限がありません。ただし、増加率は年4.5%に制限されています。

マイニング報酬

マイナーは、ブロックチェーンのネイティブ通貨の形でマイニング報酬を受け取ります。

2009年にビットコインが誕生した時点での報酬は、1ブロックのマイニング当たり50 BTCでした。その後3つの半減期を経て、現在では6.5 BTCに設定されています。

同様に、ライトコインの報酬は1ブロック当たり50 LTCから始まりました。2回の半減期を経た現在では12.5 LTCです。3回目の半減期は2023年に予定されており、報酬は6.25 LTCに減少します。

報酬を半減することにより、循環供給量に加わる各暗号資産の量を制限します。その結果として暗号資産の供給に不足が生じます。ビットコインのブロック報酬は21万ブロックごとに半減し、ライトコインのブロック報酬は84万ブロックごとに半減します。この差は供給量の上限の差に比例しています。

イーサリアムは現在PoSコンセンサスメカニズムを使用しているため、ブロックマイニングの報酬はありません。ネットワークでイーサリアムをステーキングし、ブロック検証に参加することで報酬を得られます。参加するステーキングプログラムにより報酬は異なりますが、2%から20%までの範囲となっています。

取引速度

もう一つの大きな違いは、各暗号資産の取引速度です。これはTPS(Transactions Per Second:秒ごとの取引件数)で表されます。

ビットコインの処理速度は約5 TPSであり、新しいブロックを作成するには約10分かかります。また、ネットワークのソフトウェアによる制限もあり、新しいブロックのサイズは1 MBに制限されています。ビットコイン取引が必ず10分以内に処理できるとは限りません。特に、大量の取引が原因でネットワークが渋滞している場合に当てはまります。

ライトコインの処理速度は54 TPSであり、新しいブロックを作成するには約2.5分かかります。ライトコインでの取引はビットコインより約4倍高速です。そのため、ライトコインは日常的な取引を行うための通貨と見なされており、ビットコインは価値貯蔵機能が高いと考えられています。イーサリアムネットワークの処理速度は、最近のアップグレードによって100,000 TPSまで向上しています。

取引手数料

(2023年5月)

ビットコイン:約3~6ドル

ライトコイン:約0.03~0.04ドル

イーサリアム:イーサリアムは、取引手数料ではなく「ガス」のメカニズムを採用しています。イーサリアムの「ガス料金」には50~70ドルの幅があります。

ネットワークのスケーラビリティ

ビットコインネットワークの特に大きな問題はスケーラビリティです。同じタイミングで送金を試みる利用者が多いほど、ビットコインネットワークの混雑が深刻になります。取引手数料はオークションベースで決定されるため、高額の入札者ほど先に取引確認を受けられます。

その結果、ネットワーク手数料が上昇し、確認時間が長くなります。ライトコインは手数料がはるかに安くなっていますが、そのネットワークでも同じ問題が発生しています。

ビットコインとライトコインは、取引時間の短縮と取引コストの低減を目的として、いくつかの改善を実施しました。たとえば、取引から署名データを取得してブロックサイズ制限を引き上げるSegWitや、取引当事者間にマイクロチャネルを開設するレイヤー2であるライトニングネットワークなどがあります。

イーサリアムはPoSに移行済みのため、スケーラビリティの問題はそれほど深刻ではありません。ただし、PoWコンセンサスを使用していた期間については、人気の高いイーサリアムネットワークにとってスケーラビリティは大きな問題となっていました。当時のイーサリアムの取引速度は12~15 TPSであり、部分的な救済策としてレイヤー2ソリューションが実装されました。

利用事例

3つの暗号資産の利用事例は大きく異なっています。

ビットコインは分散型のピアツーピア(P2P)決済を実現する技術として誕生しましたが、取引速度が遅いため、日常的な使用には向いていません。デジタルゴールドとも呼ばれ、主に価値貯蔵機能として利用されています。

ライトコインは、コストとスケーラビリティの問題を解消するために、ビットコインのコードからフォークされました。このような違いにより、送金や取引を低コストで実行できるため、ライトコインは商用に適しています。

イーサリアムはスマートコントラクト、資産所有権の移転、DAppの作成に重点を置いています。スマートコントラクトとは、事前に設定した基準が満たされた場合にアクションを実行するソフトウェアプログラムです。この手順により、あらゆるイーサリアム取引が利用者にとって安全であることを確認しています。

また、資産や金銭の譲渡といった交換をコントラクトに含めることができます。イーサリアムならではの機能は、プログラマーが基盤ネットワークと相互通信を直接行えることです。この機能はビットコインとライトコインにはありません。

投資対象として最適なコインはどれですか?

ビットコイン、イーサリアム、ライトコインは、強固なアーキテクチャと長期にわたる実績を有しているため、安定性の特に優れた暗号資産といえます。ただし、投資に最適な暗号資産について考える場合は、各々の時価総額、価格、エコシステムの発展状況を検討することが重要です。

ビットコインの半減期は2024年まで発生しないため、現時点では、半減期イベントが間もなく発生して価格上昇の可能性があるライトコインの収益性が最も高いと考えられます。投資家は大きなイベント後の数カ月間にわたり価格が上昇していくと予想するので、暗号資産の価格はイベント直前に上昇しやすいことが過去の事例から明らかになっています。

また、弱気な市況により暗号資産相場が低迷したにもかかわらず、ライトコインは驚異的な上昇を記録してきました。暗号資産市場は非常に変動が大きいため、保証は一切できませんが、ライトコインの購入によって良好なリターンが得られる可能性はあるといえるでしょう。

注:上記いずれかの暗号資産が投資対象として最も安定した暗号資産である可能性はありますが、暗号資産市場そのものの変動が非常に大きいため、必ずご自身で調査・研究を行い、余裕資金のみを投資するようにしてください。

おわりに

暗号資産業界は2011年の誕生以来、非常に大きな成長を経験してきました。また、セキュリティ侵害、規制当局による監視の強化、大規模導入の遅れなど、様々な課題にも直面してきました。

そうした課題にもかかわらず、ビットコイン、イーサリアム、ライトコインは堅調な推移を続けており、一層の価格上昇も予想されます。また、今後発生するライトコインとビットコインの半減期イベントは、投資家が大きなリターンを得る機会となる可能性があります。

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